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僕の大切な人 マーカス視点2
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あの日、学園での剣術の訓練をしていた僕の視界はローズマリー嬢をとらえた。
こんな時にでも、彼女の姿を確認してしまう僕はもうおかしいのだろうか。
単純な僕は彼女に、僕のいいところをもっと見てもらいたくていつもより気合を込めて訓練に励んだ。
でも、彼女が現れた瞬間そこらの男どもが彼女に見惚れているのに気が付いた。
声を大にして彼女を見るなと言ってやりたかったが、それよりも‘彼女が僕を見てくれているのが嬉しかった。
訓練が終わるとまるで雲の上を走っているかのようにフワフワした心地で彼女の元に駆けつけた。
ザッカリーが婚約者であるバネッサ嬢にいつものように差し入れを貰っていた。
少し羨ましいと感じたこともあるが、僕には無縁のものだとそれまであきらめていた。
婚約者を作らなかったのは僕の意思で、女の子たちがしょっちゅう持ってくる差し入れも一切受け取らなかったし、変な誤解もされたくない僕はうまくそれらを躱していた。
でもその日、ローズマリー嬢が僕に差し入れを持ってきてくれていたんだ。
好きな子の差し入れがこんなに嬉しいものだなんて知らなかった。
さすがに僕の汗は渡されたタオルで自ら拭いたんだけど。
ローズマリー嬢の差し入れはさっぱりとした冷たい果実水と、サンドイッチに美味いビスケットの間にチーズを挟んだものだった。
実は、バネッサ嬢がザッカリーにその日に差し入れを持っていく話を前日にしたようだ。
だから、こっそりと朝僕に気づかれないように厨房で彼女自ら僕の為に用意してくれたものらしい。
彼女自らが僕に用意してくれてたことも、わざわざ差し入れを持ってきてくれたことも嬉しすぎて思わず彼女を抱きしめたい衝動をぐっと耐えた。
すると彼女が僕の拭いきれなかった汗に気が付いたらしく、彼女自らのハンカチで僕のその汗を拭いてくれた。
もう本当に、幸せすぎてそのまま昇天してしまいそうになった。
狡猾な僕はすぐにそのハンカチが汚れてしまったからとそれを僕の懐にしまい、代わりにその週末に一緒に買い物に出かけようと約束を取り付けた。
僕の汗がついてしまってはいるが、彼女のあのハンカチは今でも僕の自室の机の引き出しに大切にしまってある。
今すぐにでも彼女に婚約を申し込みたいところだったが、彼女が婚約を解消してからそう日はたっていなかった。
あの時の彼女の憔悴した様を間近で見ていた僕は、まだ彼女に何も言い出せないでいた。
待ちに待った週末、ハンカチだけ買って屋敷に戻るだけなんてそんなもったいないことは、はなから頭にない僕は、ここぞとばかりに彼女を連れ立っていろんな店へ立ち寄った。
彼女の好きそうなものはもう大体わかってはいるが、彼女本人からそれを聞きだしたい僕は、彼女の意見を聞きながらこっそりとプレゼントを購入した。
どうしても彼女に僕の色を纏ってほしい僕は、僕の瞳の色である翡翠色の蝶々の髪飾りを選んだ。
途中途中でかわいらしい小物を購入していた彼女が、その柔らかそうな頬を赤くして買いすぎてしまったなんていうものだから、もう僕は何なら店中のものを買ってやりたい衝動に駆られてしまった。
彼女と選んだハンカチは翡翠色のハンカチで薔薇の花の刺繡がすみに綺麗に入れられていたものだった。
ここでも、僕の瞳の色をしたハンカチを選んだ僕は、己の執着心に苦笑してしまった。
こんな時にでも、彼女の姿を確認してしまう僕はもうおかしいのだろうか。
単純な僕は彼女に、僕のいいところをもっと見てもらいたくていつもより気合を込めて訓練に励んだ。
でも、彼女が現れた瞬間そこらの男どもが彼女に見惚れているのに気が付いた。
声を大にして彼女を見るなと言ってやりたかったが、それよりも‘彼女が僕を見てくれているのが嬉しかった。
訓練が終わるとまるで雲の上を走っているかのようにフワフワした心地で彼女の元に駆けつけた。
ザッカリーが婚約者であるバネッサ嬢にいつものように差し入れを貰っていた。
少し羨ましいと感じたこともあるが、僕には無縁のものだとそれまであきらめていた。
婚約者を作らなかったのは僕の意思で、女の子たちがしょっちゅう持ってくる差し入れも一切受け取らなかったし、変な誤解もされたくない僕はうまくそれらを躱していた。
でもその日、ローズマリー嬢が僕に差し入れを持ってきてくれていたんだ。
好きな子の差し入れがこんなに嬉しいものだなんて知らなかった。
さすがに僕の汗は渡されたタオルで自ら拭いたんだけど。
ローズマリー嬢の差し入れはさっぱりとした冷たい果実水と、サンドイッチに美味いビスケットの間にチーズを挟んだものだった。
実は、バネッサ嬢がザッカリーにその日に差し入れを持っていく話を前日にしたようだ。
だから、こっそりと朝僕に気づかれないように厨房で彼女自ら僕の為に用意してくれたものらしい。
彼女自らが僕に用意してくれてたことも、わざわざ差し入れを持ってきてくれたことも嬉しすぎて思わず彼女を抱きしめたい衝動をぐっと耐えた。
すると彼女が僕の拭いきれなかった汗に気が付いたらしく、彼女自らのハンカチで僕のその汗を拭いてくれた。
もう本当に、幸せすぎてそのまま昇天してしまいそうになった。
狡猾な僕はすぐにそのハンカチが汚れてしまったからとそれを僕の懐にしまい、代わりにその週末に一緒に買い物に出かけようと約束を取り付けた。
僕の汗がついてしまってはいるが、彼女のあのハンカチは今でも僕の自室の机の引き出しに大切にしまってある。
今すぐにでも彼女に婚約を申し込みたいところだったが、彼女が婚約を解消してからそう日はたっていなかった。
あの時の彼女の憔悴した様を間近で見ていた僕は、まだ彼女に何も言い出せないでいた。
待ちに待った週末、ハンカチだけ買って屋敷に戻るだけなんてそんなもったいないことは、はなから頭にない僕は、ここぞとばかりに彼女を連れ立っていろんな店へ立ち寄った。
彼女の好きそうなものはもう大体わかってはいるが、彼女本人からそれを聞きだしたい僕は、彼女の意見を聞きながらこっそりとプレゼントを購入した。
どうしても彼女に僕の色を纏ってほしい僕は、僕の瞳の色である翡翠色の蝶々の髪飾りを選んだ。
途中途中でかわいらしい小物を購入していた彼女が、その柔らかそうな頬を赤くして買いすぎてしまったなんていうものだから、もう僕は何なら店中のものを買ってやりたい衝動に駆られてしまった。
彼女と選んだハンカチは翡翠色のハンカチで薔薇の花の刺繡がすみに綺麗に入れられていたものだった。
ここでも、僕の瞳の色をしたハンカチを選んだ僕は、己の執着心に苦笑してしまった。
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