5 / 27
素敵な提案
しおりを挟む
マーカス様が留学してきてから二か月が経過した。
相変わらず、ランチと学園後はマーカス様と過ごすことが多くなってきた。
婚約者がいる身で異性と一緒に時間を過ごすなんて。
なんて、以前の私なら考えただろうけど、イザックにずっと放っておかれているので、まあいいんじゃないかと思う。
別に、恋人とかそういう関係でもないのだし。
華やかなマーカス様だって、私みたいな婚約者に放っておかれるパッとしない女なんて、そういった意味では対象外だろう。
うん。
そういえば先週末にかなり珍しいことがあった。
なんとあのイザックが、我が家を訪ねてきたというのだ。
一体何の用だったのかは全く分からなかったが、私の外出中に突然我が家に訪れたらしい。
そして、私の帰りを待とうとしていたらしいが、しばらくして王女様との約束の時間があったらしくそのまま立ち去ったというのだ。
大切な用ならまた、音沙汰があるだろうとあまり気にも留めていないが。
そして、マーカス様のことなのだが、彼はもうすぐ帰国するらしい。
本当に短期での留学で私もびっくりした。
でも、本人曰く学園滞在中にどうしてもこちらの文化を学んでみたかったのでご両親に頼みこんで実現したものらしい。
先週末にマーカス様と本を図書館で借りて、カフェでおしゃべりをしていた時にその話を聞いて、どうしても実現したいことをかなえたマーカス様がまぶしく見えた。
そのことをマーカス様にそのままお伝えしたら、マーカス様は以前のように顔を手で覆ってしまった上に、うつむいてしばらく動かなくなってしまった。
そっか、もうすぐこうやって週末や放課後、ランチをマーカス様と過ごせなくなるんだなと思ったら、胸のあたりがもやもやした。
しばらくして、いつもの様子に戻ったマーカス様だったが意を決したように私にシューゼント王国へ一緒に行かないかと提案してきた。
全く留学なんて考えたこともなかったけど、急に提案されたにもかかわらず意外に胸が躍ってしまった。
そもそも私が今留学をしたとしても、婚約者であるイザックは私を放置しているというか忘れているような状態だし、特に私の留学を引き留めるような要素は見当たらないし。
マーカス様に教えていただいていたあちらの文化を是非肌に感じてみたいと思った。
「ローズマリー嬢、良ければ僕の邸から学園に一緒に通えばいいよ。そうしたらいつだって僕が君を守ってあげられるし、僕の国のことだって教えてあげられる。考えてみてくれないか?僕の両親にも連絡を入れておくし、ローズマリー嬢はメリッサの友人だからね。姪のメリッサを大事にしている両親にとっても、その友人が僕たちのところに来るというのは大歓迎だと思うよ。」
「マーカス様、素敵な提案をありがとうございます。今まで留学なんて考えたことなかったのですが、考えただけですごくワクワクしてきました!今日、両親にも相談してもしも許可が下りましたらその時はどうぞよろしくお願いいたします。」
「ほぉっ!よかった。ありがとう!」
「え?なんでありがとうなんですか?ふふふっ。おかしなマーカス様ですね。」
「えっ?いや、あの、すこしうかれてしまったかな。ごめんね?」
「ごめんね?って。?ふふふっ」
こてんっと首をかしげて、おかしな様子のマーカスに笑顔を向けるローズマリー。
そんなローズマリーを見て、悶え死に寸前のマーカス。
再びその可愛さを直視できなくなったこの悶え死に寸前の若者が、本日二度目、両手で顔を覆って下を向いてから、色々と己を落ち着かせることになるのだった。
相変わらず、ランチと学園後はマーカス様と過ごすことが多くなってきた。
婚約者がいる身で異性と一緒に時間を過ごすなんて。
なんて、以前の私なら考えただろうけど、イザックにずっと放っておかれているので、まあいいんじゃないかと思う。
別に、恋人とかそういう関係でもないのだし。
華やかなマーカス様だって、私みたいな婚約者に放っておかれるパッとしない女なんて、そういった意味では対象外だろう。
うん。
そういえば先週末にかなり珍しいことがあった。
なんとあのイザックが、我が家を訪ねてきたというのだ。
一体何の用だったのかは全く分からなかったが、私の外出中に突然我が家に訪れたらしい。
そして、私の帰りを待とうとしていたらしいが、しばらくして王女様との約束の時間があったらしくそのまま立ち去ったというのだ。
大切な用ならまた、音沙汰があるだろうとあまり気にも留めていないが。
そして、マーカス様のことなのだが、彼はもうすぐ帰国するらしい。
本当に短期での留学で私もびっくりした。
でも、本人曰く学園滞在中にどうしてもこちらの文化を学んでみたかったのでご両親に頼みこんで実現したものらしい。
先週末にマーカス様と本を図書館で借りて、カフェでおしゃべりをしていた時にその話を聞いて、どうしても実現したいことをかなえたマーカス様がまぶしく見えた。
そのことをマーカス様にそのままお伝えしたら、マーカス様は以前のように顔を手で覆ってしまった上に、うつむいてしばらく動かなくなってしまった。
そっか、もうすぐこうやって週末や放課後、ランチをマーカス様と過ごせなくなるんだなと思ったら、胸のあたりがもやもやした。
しばらくして、いつもの様子に戻ったマーカス様だったが意を決したように私にシューゼント王国へ一緒に行かないかと提案してきた。
全く留学なんて考えたこともなかったけど、急に提案されたにもかかわらず意外に胸が躍ってしまった。
そもそも私が今留学をしたとしても、婚約者であるイザックは私を放置しているというか忘れているような状態だし、特に私の留学を引き留めるような要素は見当たらないし。
マーカス様に教えていただいていたあちらの文化を是非肌に感じてみたいと思った。
「ローズマリー嬢、良ければ僕の邸から学園に一緒に通えばいいよ。そうしたらいつだって僕が君を守ってあげられるし、僕の国のことだって教えてあげられる。考えてみてくれないか?僕の両親にも連絡を入れておくし、ローズマリー嬢はメリッサの友人だからね。姪のメリッサを大事にしている両親にとっても、その友人が僕たちのところに来るというのは大歓迎だと思うよ。」
「マーカス様、素敵な提案をありがとうございます。今まで留学なんて考えたことなかったのですが、考えただけですごくワクワクしてきました!今日、両親にも相談してもしも許可が下りましたらその時はどうぞよろしくお願いいたします。」
「ほぉっ!よかった。ありがとう!」
「え?なんでありがとうなんですか?ふふふっ。おかしなマーカス様ですね。」
「えっ?いや、あの、すこしうかれてしまったかな。ごめんね?」
「ごめんね?って。?ふふふっ」
こてんっと首をかしげて、おかしな様子のマーカスに笑顔を向けるローズマリー。
そんなローズマリーを見て、悶え死に寸前のマーカス。
再びその可愛さを直視できなくなったこの悶え死に寸前の若者が、本日二度目、両手で顔を覆って下を向いてから、色々と己を落ち着かせることになるのだった。
1,476
お気に入りに追加
8,315
あなたにおすすめの小説

婚約者から婚約破棄をされて喜んだのに、どうも様子がおかしい
棗
恋愛
婚約者には初恋の人がいる。
王太子リエトの婚約者ベルティーナ=アンナローロ公爵令嬢は、呼び出された先で婚約破棄を告げられた。婚約者の隣には、家族や婚約者が常に可愛いと口にする従妹がいて。次の婚約者は従妹になると。
待ちに待った婚約破棄を喜んでいると思われる訳にもいかず、冷静に、でも笑顔は忘れずに二人の幸せを願ってあっさりと従者と部屋を出た。
婚約破棄をされた件で父に勘当されるか、何処かの貴族の後妻にされるか待っていても一向に婚約破棄の話をされない。また、婚約破棄をしたのに何故か王太子から呼び出しの声が掛かる。
従者を連れてさっさと家を出たいべルティーナと従者のせいで拗らせまくったリエトの話。
※なろうさんにも公開しています。
※短編→長編に変更しました(2023.7.19)

【完結】彼の瞳に映るのは
たろ
恋愛
今夜も彼はわたしをエスコートして夜会へと参加する。
優しく見つめる彼の瞳にはわたしが映っているのに、何故かわたしの心は何も感じない。
そしてファーストダンスを踊ると彼はそっとわたしのそばからいなくなる。
わたしはまた一人で佇む。彼は守るべき存在の元へと行ってしまう。
★ 短編から長編へ変更しました。

別に要りませんけど?
ユウキ
恋愛
「お前を愛することは無い!」
そう言ったのは、今日結婚して私の夫となったネイサンだ。夫婦の寝室、これから初夜をという時に投げつけられた言葉に、私は素直に返事をした。
「……別に要りませんけど?」
※Rに触れる様な部分は有りませんが、情事を指す言葉が出ますので念のため。
※なろうでも掲載中

病弱な幼馴染と婚約者の目の前で私は攫われました。
鍋
恋愛
フィオナ・ローレラは、ローレラ伯爵家の長女。
キリアン・ライアット侯爵令息と婚約中。
けれど、夜会ではいつもキリアンは美しく儚げな女性をエスコートし、仲睦まじくダンスを踊っている。キリアンがエスコートしている女性の名はセレニティー・トマンティノ伯爵令嬢。
セレニティーとキリアンとフィオナは幼馴染。
キリアンはセレニティーが好きだったが、セレニティーは病弱で婚約出来ず、キリアンの両親は健康なフィオナを婚約者に選んだ。
『ごめん。セレニティーの身体が心配だから……。』
キリアンはそう言って、夜会ではいつもセレニティーをエスコートしていた。
そんなある日、フィオナはキリアンとセレニティーが濃厚な口づけを交わしているのを目撃してしまう。
※ゆるふわ設定
※ご都合主義
※一話の長さがバラバラになりがち。
※お人好しヒロインと俺様ヒーローです。
※感想欄ネタバレ配慮ないのでお気をつけくださいませ。

【完結】初めて嫁ぎ先に行ってみたら、私と同名の妻と嫡男がいました。さて、どうしましょうか?
との
恋愛
「なんかさぁ、おかしな噂聞いたんだけど」
結婚式の時から一度もあった事のない私の夫には、最近子供が産まれたらしい。
夫のストマック辺境伯から領地には来るなと言われていたアナベルだが、流石に放っておくわけにもいかず訪ねてみると、
えっ? アナベルって奥様がここに住んでる。
どう言う事? しかも私が毎月支援していたお金はどこに?
ーーーーーー
完結、予約投稿済みです。
R15は、今回も念の為

王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です

明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。
四季
恋愛
明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。

どうやら婚約者が私と婚約したくなかったようなので婚約解消させて頂きます。後、うちを金蔓にしようとした事はゆるしません
しげむろ ゆうき
恋愛
ある日、婚約者アルバン様が私の事を悪く言ってる場面に遭遇してしまい、ショックで落ち込んでしまう。
しかもアルバン様が悪口を言っている時に側にいたのは、美しき銀狼、又は冷酷な牙とあだ名が付けられ恐れられている、この国の第三王子ランドール・ウルフイット様だったのだ。
だから、問い詰めようにもきっと関わってくるであろう第三王子が怖くて、私は誰にも相談できずにいたのだがなぜか第三王子が……。
○○sideあり
全20話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる