愛しの婚約者は王女様に付きっきりですので、私は私で好きにさせてもらいます。

梅雨の人

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素敵な提案

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マーカス様が留学してきてから二か月が経過した。

相変わらず、ランチと学園後はマーカス様と過ごすことが多くなってきた。
婚約者がいる身で異性と一緒に時間を過ごすなんて。
なんて、以前の私なら考えただろうけど、イザックにずっと放っておかれているので、まあいいんじゃないかと思う。
別に、恋人とかそういう関係でもないのだし。
華やかなマーカス様だって、私みたいな婚約者に放っておかれるパッとしない女なんて、そういった意味では対象外だろう。
うん。

そういえば先週末にかなり珍しいことがあった。
なんとあのイザックが、我が家を訪ねてきたというのだ。
一体何の用だったのかは全く分からなかったが、私の外出中に突然我が家に訪れたらしい。
そして、私の帰りを待とうとしていたらしいが、しばらくして王女様との約束の時間があったらしくそのまま立ち去ったというのだ。

大切な用ならまた、音沙汰があるだろうとあまり気にも留めていないが。

そして、マーカス様のことなのだが、彼はもうすぐ帰国するらしい。
本当に短期での留学で私もびっくりした。
でも、本人曰く学園滞在中にどうしてもこちらの文化を学んでみたかったのでご両親に頼みこんで実現したものらしい。

先週末にマーカス様と本を図書館で借りて、カフェでおしゃべりをしていた時にその話を聞いて、どうしても実現したいことをかなえたマーカス様がまぶしく見えた。

そのことをマーカス様にそのままお伝えしたら、マーカス様は以前のように顔を手で覆ってしまった上に、うつむいてしばらく動かなくなってしまった。

そっか、もうすぐこうやって週末や放課後、ランチをマーカス様と過ごせなくなるんだなと思ったら、胸のあたりがもやもやした。

しばらくして、いつもの様子に戻ったマーカス様だったが意を決したように私にシューゼント王国へ一緒に行かないかと提案してきた。

全く留学なんて考えたこともなかったけど、急に提案されたにもかかわらず意外に胸が躍ってしまった。
そもそも私が今留学をしたとしても、婚約者であるイザックは私を放置しているというか忘れているような状態だし、特に私の留学を引き留めるような要素は見当たらないし。

マーカス様に教えていただいていたあちらの文化を是非肌に感じてみたいと思った。

「ローズマリー嬢、良ければ僕の邸から学園に一緒に通えばいいよ。そうしたらいつだって僕が君を守ってあげられるし、僕の国のことだって教えてあげられる。考えてみてくれないか?僕の両親にも連絡を入れておくし、ローズマリー嬢はメリッサの友人だからね。姪のメリッサを大事にしている両親にとっても、その友人が僕たちのところに来るというのは大歓迎だと思うよ。」

「マーカス様、素敵な提案をありがとうございます。今まで留学なんて考えたことなかったのですが、考えただけですごくワクワクしてきました!今日、両親にも相談してもしも許可が下りましたらその時はどうぞよろしくお願いいたします。」

「ほぉっ!よかった。ありがとう!」
「え?なんでありがとうなんですか?ふふふっ。おかしなマーカス様ですね。」
「えっ?いや、あの、すこしうかれてしまったかな。ごめんね?」
「ごめんね?って。?ふふふっ」

こてんっと首をかしげて、おかしな様子のマーカスに笑顔を向けるローズマリー。
そんなローズマリーを見て、悶え死に寸前のマーカス。
再びその可愛さを直視できなくなったこの悶え死に寸前の若者が、本日二度目、両手で顔を覆って下を向いてから、色々と己を落ち着かせることになるのだった。
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