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ブリアナ
思い道理に
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私は小さなころから自分はいつか王妃になるのだと信じて疑わずに育った。
そして当たり前のように、当時の王太子ウィリアムの婚約者に選ばれた。
ウィリアムの弟サミュエルは私をたいそう気に入ったようで、サミュエルとウィリアムに慕われる私を周囲の女たちが羨ましそうにしているのを見るのは気分がよかった。
特にサミュエルの婚約者となったローズの悲壮感漂う顔を見ると、胸がスカッとして面白かったので、特にあの女の前ではサミュエルに寄り添うようにしてやった。
待ちに待ったウィリアムとの盛大な結婚式を終え初夜を迎えたあの日。
「ブリアナ嬢、いや、もう結婚してしまったのだからブリアナと呼ばせてもらうが。私は次の後継者には弟達の子供を据えることに決めている。だから君とは閨を共にする気はない。」
「何を…っ何を今さらおっしゃっておられるのですか?!」
ショックだった。
今更何を言い出すのかと耳を疑ってしまった。
婚約者時代、彼が私のことを時折冷めた目で見ているのは気がついていた。
それでもウィリアムが自分のことを好ましく思っているだと信じていた私は、ウィリアムがそんなことを言い出すなんて考えもしていなかった。
こんな完璧な私が夫に初夜から閨を拒否されるなんて…。
夫婦になって閨を共にしウィリアムをもっと自分に夢中にしてやろうと思っていた。
それで私達の夫婦仲に嫉妬したサミュエルが私にさらにいい寄って来るのを、ローズに見せつけてやろうと心待ちにしていたのに。
そして、閨を拒否したウィリアムはその後すぐに彼の部屋へ戻って行ってしまった。
取り残された私は、どうすることも出来ずに屈辱の朝を迎えた。
宣言通り、それからもウィリアムが私と閨をともにすることはなかった。
次代の後継者を産むという王太子妃にとって大事な役目が果たせない状況と、ウィリアムに拒絶されたことに焦燥と苛立ちが増していった。
だから結婚後も、サミュエルにこれ見よがしに近づいてローズやウィリアムに私たちの仲の良さを見せつけ嫉妬させるようにして鬱憤をはらし続けた。
そして当たり前のように、当時の王太子ウィリアムの婚約者に選ばれた。
ウィリアムの弟サミュエルは私をたいそう気に入ったようで、サミュエルとウィリアムに慕われる私を周囲の女たちが羨ましそうにしているのを見るのは気分がよかった。
特にサミュエルの婚約者となったローズの悲壮感漂う顔を見ると、胸がスカッとして面白かったので、特にあの女の前ではサミュエルに寄り添うようにしてやった。
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次代の後継者を産むという王太子妃にとって大事な役目が果たせない状況と、ウィリアムに拒絶されたことに焦燥と苛立ちが増していった。
だから結婚後も、サミュエルにこれ見よがしに近づいてローズやウィリアムに私たちの仲の良さを見せつけ嫉妬させるようにして鬱憤をはらし続けた。
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