初恋の兄嫁を優先する私の旦那様へ。惨めな思いをあとどのくらい我慢したらいいですか。

梅雨の人

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ブリアナ

許せない

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それがなぜ―――。 


サミュエルはローズと夫婦になってから変わってしまった。 

領地と爵位を賜ったサミュエルが城を出てから、私に全く会いに来なくなった。 

そのうちローズの懐妊の知らせを受け、祝いに駆けつけるウィリアムとルイスについてサミュエルの屋敷を訪ねた。 

屋敷はセンスが良く、落ち着いた空間が広がっていた。 

「やあ、兄さんとルイスにブリアナ義姉さんも。よく来たね。」 

そう言ってあらわれたサミュエルは、なんとその腕に恥ずかしげもなくローズを抱きかかえてやって来た。 

そしてソファに腰掛けてからローズを自らの膝の上に乗せ、今まで見たこともないようなとろけそうな顔でローズに時折視線を送っていた。 

ああ、この女は私と違って自分の夫に愛され、女としての喜びを与えられたのだと目の当たりにした瞬間だった。 

屈辱だった。
自分より下に見ていた女が幸せになっていた。 

おめでとうなんて口が裂けても言う気になれず、部屋に戻った私は怒りをあたりかまわずぶつけた。 

幸せになるはずの私が、夫であるウィリアムに見向きもされず愛されないのに、あの女が幸せになっているだなんて許せなかった。 

そうだ、ウィリアムを殺してサミュエルが王になり、私があの女のかわりにサミュエルの妻になればいいのだとふとひらめいた。

それからは、早くそれを実行したくて浮足立った。

手始めに、私にいつも熱い視線を送ってきていた近衛騎士の一人を手懐けることにした。 

初めての私の体を捧げることにはなったが、その騎士は案の定、私にすぐに溺れた。 

その男に抱かれて、なるほど愛されている女はこのように男に愛を囁かれ閨で愛撫を与えられるのだと知った。

見目も良かったその男に抱かれ愛を囁かれるのは悪い気はしなかった。

サミュエルもローズをこのように抱いたのだろうかと思うと、ローズに殺意が沸いた。

別にサミュエルを愛しているわけでもないのに。

何度も肌を重ねるうちに、その男に多少の情を感じるようにはなった。

しかし王妃の私の体を捧げてあげたのだからと、それからの計画に巻き込まれたこの男の将来を心配することはなかった。
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