初恋の兄嫁を優先する私の旦那様へ。惨めな思いをあとどのくらい我慢したらいいですか。

梅雨の人

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ローズ

里帰り1

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ローズが実家に到着すると、ハーゲンシュタイン公爵邸は一気ににぎやかになった。 

特に、可愛い双子たちの成長を目の当たりにしたローズの母は娘の里帰りを心から喜んでくれたようで、久しぶりの母と娘の時間をローズは楽しんだ。 

ローズの父も兄もキャサリンとロックリンのあまりの愛らしさに、ほおが緩みっぱなしになっていた。 

ローズが屋敷に到着したその日に、後を追うようにサミュエルが護衛を最小限引き連れて馬を駆けてハーゲンシュタイン邸を訪れた。 

かなり急いできたようで、いつも身ぎれいに整えているサミュエルの髪は乱れているのを、ローズは部屋の窓から眺めていた。 

娘に甘い父がサミュエルを追い返すねを眺めたローズは、すでに父がなぜ自分が屋敷に戻って来たのか知っていてサミュエルを追い返してくれたのだろうと理解した。 

切れ者と知られる父は離れていてもいつもローズを心配して、娘の様子を確認してくれていたのだと知ったローズは、戻って来て本当に良かったと胸を温かくした。 

それからというもの、忙しいはずのサミュエルが毎
日のようにローズに会うために屋敷に訪れてきた。

しかしローズはサミュエルに何と言い訳されるのか聞く勇気が持てず、そして、もう自分達の関係が後戻り出来なくなってしまいそうなのが怖くて面会を断り続けた。 

ハーゲンシュタイン邸に里帰りしてさらに十日経過した。 

天気が良いので、庭園で可愛い双子と母と一緒にお茶を楽しんでいたローズは、向こうから歩いてくるサミュエルを見つけて席を立った。 

今サミュエルと会ってしまえば醜い自分を抑えることが出来ないと感じたローズは、母親に双子をお願いして、淑女らしからぬ速足でその場を逃げ出した。 

「ローズ。」 

いくら急いで逃げてもサミュエルにとってはローズに追いつくことなど動作もなく、気が付いた時には背後からサミュエルに抱きしめられていた。 
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