初恋の兄嫁を優先する私の旦那様へ。惨めな思いをあとどのくらい我慢したらいいですか。

梅雨の人

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ローズ

茶会での茶番劇2

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「…ローズ様…。」

はっとして振り返るとそこには何ともやるせない顔をしたサミュエルの側近が、申し訳なさそうに頭を下げていた。

「別にあなたのせいではありませんのでお気になさらず…。しかし、なんといってもお二人のお邪魔をしては申し訳ないので今日はこのまま帰らせていただきます。」

自分の仕える主の不貞現場といえる場面を何とも言えないタイミングで見せられた側近の方はこぶしを握り締め何かに耐えているかのように見えた。

そして茶会をキャンセルし帰路につこうとしている私に従い、公爵家の馬車までエスコートをしてくれたのだった。

帰路につき、ローズは先ほどの光景を思い出し、ああ、やはり自分とサミュエルの間には義務としての感情しか生まれ得ないのだとつくづく感じた。

婚約者である自分が妃教育を終えた後と、ブリアナが妃教育を終えた後でのサミュエルの態度の違いといったら、もはや滑稽としか思えなかった。

貴族として自分たちの感情が常に優先されるものではないと理解はしている。

でも、縁あって生涯を共にすることになる婚約者と、少しでも歩み寄って互いを尊重しあえる関係になれたらいいと思っていたローズの期待は早速打ちのめされてしまった。

それから一か月後、再びサミュエルとの茶会が開かれた。

「ローズ嬢、前回は君に急な予定が入ってしまって茶会が出来なくて本当に残念だった。こうして君とゆっくりお茶をしたかったから今日が待ちきれなかったよ。」

「そのようにおっしゃっていただいて嬉しいですわ。ありがとうございます、サミュエル殿下。ですが、急な用が入ってしまって本当に申し訳ございませんでした。」

前回の茶会の前のブリアナとの不貞ともとれる場面をまさか目撃されていたと知らないであろうサミュエルを、滑稽だとローズや側近に思われていると知らないサミュエルと白けた気持ちで会話を続けた。

やはり妃教育のことばかり話題にあげてくるサミュエルに辟易したローズは、途中でなんとか話題を変えサミュエルについて聞いてみたりしたものの、サミュエルがローズについて何か知ろうとするようなことはなかった。

そんな中突然、ここにいるはずのない人物が近づいてきた。
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