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DIY、とにかく戦い続ける
特殊耐久サバイバル部門前篇 その30
しおりを挟む魔獣の森林領域から持ち去ったのは、星樹の枝だった。
イベント終了後、それをお持ち帰りするためにも高順位を出さなければならない。
「──とりあえず、:DIY:への登録と余り物でいくつかポーションを作ることはできたな。木の加工については、もう少し様子を見てからかな?」
ログハウスでも作れば高得点を貰えるかもしれないが、あの領域から必要量の木を伐採するために掛かる苦労を思えば……うん、文字通り死に物狂いになりそうだ。
各種葉っぱと一部の木の本体、それが枝以外の今回の収穫である。
あの領域に植物以外の生物は居ない、というかそれが強いられているからな。
湖にも有った法則の強制、その植物版が敷かれているのだ。
植物関連のバフがてんこ盛り、そのため動物たちは抗うこともできずに呑まれていく。
そんな環境で人が生きていられるか、と言うと正直微妙である。
一部、生物を短期間であれば休ませてくれる植物もあるにはあったんだけどな。
「あそこに滞在すればまあ、集められるかもしれないが…………俺はもう、出禁というか殺してでも奪い取る認定だろうし、無理だよなぁ。むしろ、協力者として他の連中が入れる可能性の方が高い」
たとえ周囲の領域を侵食して外部に出ようとも、俺がその周辺に居るとは限らない。
すべての領域を侵略できるとは、さすがに魔獣も思ってはいないだろう。
ならば次点で協力者、文字通り甘い蜜で都合のいい存在を用意すればいい。
なんせ植物の楽園だ、衣食住だって植物があれば何でも解決可能だからな。
「……植物の研究も今度進めておこう」
なんてことを考えながらも、現在やっていること──次なる領域への移動を続ける。
谷の中立地帯からまた別の方角へ、新たな魔獣の領域を目指して絶賛移動中だ。
「それにしてもあれだな、まさかイベントで星関係のアイテムを出してくるなんて……何者かの差し金、って可能性はあるか?」
《いえ、おそらくは偶然……それも予期せぬものでしょう。星樹は星々にとって、得難い代物。このような場に出すよりも、秘密裏に奪取する方が好ましいはずです》
「今まで休人ばっかり見ているけど、原人も参加しているもんな……逸脱した連中がどこで何をしているのか、こればかりはちょっと予測できないけど」
逸脱しているからこそ、予想など立てたところで外れてしまう。
……最悪、すでに領域を支配しているとか言われても全然不思議に感じないな。
「っと、そろそろ見えてきたな……うん、これまた自然界じゃお目に掛かれないレベルの絶景(?)だな」
線引きされたように境界が築かれた新たな魔獣の領域。
俺が目にしたものは──
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