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DIY、とにかく戦い続ける

特殊耐久サバイバル部門前篇 その29

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 分身、そして加速。
 その他多くの要因によって、俺は魔獣領域からの脱出に成功するのだった。

「……あっ、もうこれダメだな」

 領域を抜け、戻ってきた谷の中立地帯。
 さっそく枝を『SEBAS』に解析してもらいつつ、俺は俺で森の方がどうなっているのか見ていたのだが……うーん、ヤバい。

 何がヤバいかと言うと、木々があからさまに蠢き周囲に枝を伸ばそうとしている。
 今は魔獣の支配領域から出れないため押し込まれているが、それも時間の問題。

 そして、彼らの狙いは間違いなく俺が持ち去った一本の枝。
 ──それはすでに、異空間に封じてあるのだけれど(脱出後は収納可能になった)。

「しかしまあ、そこまでの価値がある枝とはいったい……」

《旦那様、解析が完了しました》

「おっ、ナイスタイミング。それで、いったいなんだったん?」

《結論から申し上げますと──星樹の枝、でございます》

「…………ガチでヤバいな」

 EHOの世界において、基本的に『星』を冠する存在は何であれヤバいものが多い。
 アイテム然り、称号然り、そして生物たちにもそれを冠する存在が居るとのこと。

 そんな星を冠する、植物担当が星樹。
 俺の装備の一つ、『星樹の軽鎧』のメイン素材を担当したチート存在……まあ、そんな素材と今回の星樹は少し違うのだが。

 某英雄王のように、:DIY:で用意できるのは言わば初期状態。
 品質はともかく、素材として条件を満たせる必要最低限でしかない。

 だが今回の星樹の枝は、正真正銘本物。
 あそこに生えるまでの過程で吸い上げた膨大なリソース、そしてそれ以上のナニカを植物たちは求めているのだ。

「まあ、これからはうちで生成できるようになるわけなんだが」

《旦那様、それなのですが一つご提案が》

「ふむふむ、聞こうじゃないか」

《今回得た星樹の枝、可能であればアイスプルにて植樹させていただきたく》

 アイスプルの世界樹は、神の力を賜りやすくする『神・世界樹』。
 そこにいくつか派生が伸び、あと宇宙樹という軌道エレベーター的な性質もある。

 だが星樹は存在しない。
 アイスプルを発展させる過程で用意しようとも思ったのだが、コストというか前提条件が満たせておらず植樹できなかった。

「それは全然いいんだが、そもそも持って帰れるのか? あと、アイスプルで育つかどうかも不明なんだよな」

《問題ございません。一から植えるわけではないので、充分な土壌さえあれば育つことは可能です。また、持ち出しに関しても上位の入賞で一定の価値以上のアイテムを数個に限り持ち出せます》

「神・世界樹とリソースの奪い合い、みたいな展開にはならないのか?」

《はい。ですので、段階を踏みます。いくつかプランをご用意しておきます》

「……捕らぬ狸の皮算用、的な感じにならないよう頑張らないと」

 本来ならば、魔獣関連の素材でも想定していたのであろうそのルール。
 まあ、その分だけ高い順位に入らねばいかなくなったが……何とかなる、かな?

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