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DIY、広めに向かう
錬産術 中篇
しおりを挟む──錬産術。
仮にではあるが、俺と『錬金王』が定義づけた彼の生産世界の技術名だ。
理論的な部分は大まかに暴けたものの、まだ既存の術式の模倣でしかない。
「ハァ、ハァ……」
「これも失敗か。こちらの魔力運用回路に間違いは無かったはず。『生者』、やはり錬金術師以外の要素が必要なのでは?」
「それを考えてしまうと、そこで頓挫してしまいますので。少なくとも、『錬金王』さんの仮設通り、『抽出』や『貼付』で他の生産技術を再現していること自体は間違いありません。もう一度、別の観点から考えては?」
「ハァ、ハァ……」
少し離れた場所で、現『錬金王』たるユリルが疲労困憊で立てない状態だが……ひたすら討論する俺と『錬金王』は、彼女のことはスルーしてひたすら話し合っている。
「し、師匠様、『生者』さん……もう、休ませてくださ~い」
「本気でそんな戯言を言いたいなら、まずそのすぐに溜まる魔力を隠してから言え」
「……申し訳ありませんが、まだ余裕もあるみたいですので。どうか、もう少し」
「うぅ……分かっていたけど、『生者』さんも師匠様と同じタイプですね」
ユリルはこの世界最高峰の錬金技術を保有しているので、まず彼女が運用できる形に錬産術を完成させる。
そのうえで、誰でも使えるようにある程度調整するのだが……今はまだ失敗続き。
トライ&エラーを繰り返しているのだが、ユリルの消耗は激しい。
──激しいのだが、そこは人造人間のハイスペックの弊害か。
特定の条件を満たせば、彼女の魔力量はほぼ無限に等しくなる。
そのため、何度失敗してもすぐに挑戦させられていた。
「ご安心を。見ての通り、蘇生薬も万能薬も充実させておりますので。ご安心を」
「ど、どうして二回……」
「安心させたいので。ええ、ご安心を」
「よ、四回……もう、逆に不安になっちゃいますよ!?」
実際問題、俺も『錬金王』も本当にダメなら休ませるつもりだ。
しかし、彼女はこれを機会に弟子を育てたいらしく……かなり粘るらしい。
「まあ、その前に私たちが錬産術を完成させてしまえばいいだけの話ですね」
「……ふんっ」
「さて、そうと決まれば! まだ未検証だったコードを試してみましょう」
「未検証か……いったんこちらに預けろ。話はそれからだ」
致命的に問題のありそうな部分は、先んじて『錬金王』が取り除いてくれている。
だからこそユリルも、疲労困憊程度で済んでいるのだ。
形はどうあれ、彼女たちの協力によって全貌の解析は着実に進んでいる。
完全に完成したとき……彼女たちは、それらをどう使うのだろうか。
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