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DIY、広めに向かう
錬産術 後篇
しおりを挟む錬金術の基礎理論。
それは『抽出』や『貼付』、『収束』などによって、事象を短縮することにある。
まあ、それを言ってしまうと、生産のすべてがシステムによって地球の生産技術に比べて、さまざまなものを端折っているが。
そう、他の生産にもまたそうして、技術の短縮を行うための術式が存在する。
解析の結果、錬金術によってそれらを行うようにしたもの……錬産術というわけだ。
「い、いきます──『魔道錬産・火炎』!」
人造人間にして現『錬金王』たるユリルによって、放たれた火炎。
それは魔法スキルによるものではなく、魔道具に使われる回路によって生み出された。
なお、まだ未完成だからか、名称を変えたからか、システムの利用はまだできない。
故に一から、いやゼロから構築しなければいけないため、まだ使い手を選んでしまう。
「ふむ……では、次を」
「──『鍛造錬産・長剣』!」
次に発動させたのは、どこからともなく無数の剣を生み出す錬産術。
ただ剣に加工するのではない、鍛冶の技術によってより強度に、より強力になった。
「強度のチェックもしておくか……何か持ってないか?」
「でしたら──『完結鋼』を」
「……どうしてそんな物を持っているのか、なんて野暮なことは聞かない方がいいか」
「ええ、ぜひとも。ユリルさん、こちらの破壊をその剣でお願いします──ほいっ」
俺が無造作に投げた拳大の金属に対し、無数の剣が襲い掛かる。
世界最高峰とは言わずとも、一般に流通する金属ではかなり上位の代物。
だがしかし、そんな金属がスライスチーズのようにカットされた状態になった。
それもそのはず、『鍛造錬産』がベースとする金属はもっと上位のものだからな。
「強度も及第点か……刃毀れがあるぞ」
「おそらく、それに関してはユリルさんの技量の問題かと。角度や速度など、まだまだ改善できる点がありましたので」
「そうか……これを実用化するならば、これからはそれに適した練習も必要か」
「っ……!?」
おやおや、どこからともなく恨みの念が送られてきている気がする。
しかしまあ、ユリルの犠牲もあって無事に完成したわけだな。
「あとはこれを、システムに適した形にするだけですね。『錬金王』さん、これは登録できたので?」
「…………いや、まだ無理なようだ。簡易化は、やはり必須事項だな」
緑玉色の端末を操作しながら、俺の問いに答える『錬金王』。
あれには錬金術の情報が載るが、どうやら錬産術は錬金術に認定されてないようだ。
しかし、それも時間の問題である。
基礎はもう提供した、それをどうするかは彼女に任せておこう。
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