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DIY、お披露目する
マラソンイベント その20
しおりを挟む擬似迷宮に参加者全員を取り込んだ。
本来なら映像なども途絶えるのだが、そこは『SEBAS』が一時的にジャックすることでどうにかした。
ドローンを用いた中継映像が、外の会場ではきっと映っているだろう。
俺もその映像を観ながら、ゲームマスター(仮)としてやるべきことをやっておく。
「──『星域』を展開、及び“精辰星意”を起動してくれ」
《畏まりました》
一定空間にしか使えない擬似神代魔道具だが、そもそもこの場所そのものが俺の創りだした世界だからか、大規模な擬似迷宮すべてに影響する形で『星域』が展開された。
能力の効果は相手にマイナス補正を掛けるものだが、今回はそれが目的ではない。
「指定値で制限。能力値を平均とした計算がしやすいようにしてくれ」
補正値の計算は、能力値が一定の方がやりやすいという子供染みた理由だ。
しかし、『SEBAS』は全参加者の行動すべてを把握しなければならない。
職業・スキル・装備・『プログレス』、それらが施す無数の補正値。
俺の領域ということで演算にも若干の余裕があるらしいが、それでも時間が掛かる。
なので、ここからは俺が時間を稼ぐ。
すぐにゴールさせるわけでも、諦めを抱かせてリタイアさせるわけでもない……じわじわと粘り、解析する時間を稼ぐのだ。
「──というわけで、『プログレス:ポイントシャッフル』をセット。能力行使開始──“トラップシャッフル”」
俺用の『プログレス』装置は特別製で、他者の『プログレス』情報を上書きできる。
ちなみに、今回の『ポイントシャッフル』はランダム転移を行う『プログレス』だ。
俺の領域を対象に、発動した能力。
レベル分のポイントに転移罠が設置され、踏むと別の転移罠まで飛ばされる。
一度踏んだ場所は一定時間が経過するまで踏めないし、踏んでもまた別の場所に飛ばされる可能性が高い。
まさに乱雑転移。
非常に錯乱や時間稼ぎとしては便利で、しかも一度発動すれば使用者が死んでも一定時間はそのまま残る。
「だから、組み合わせて別の『プログレス』といっしょに使う。『プログレス:トラップマスター』セット──“ワイドトラップ”」
効果はシンプル、自分で配置した罠すべての発動距離を拡張するというもの。
元は罠を好んで使う休人が使っていたものだが、組み合わせればこんなこともできる。
「要するに、一人が踏めば周りもいっしょに巻き込まれるわけだ……しかも、全員別の場所に飛ばされる嫌がらせ付き。さて、いっぱい使ってくれよ」
調べれば調べるほど、それらは解析されて俺の糧となるのだ。
脱出できれば即座にゴールできる、そこに嘘は無いのだから頑張ってもらいたい。
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