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31 高みの見物ぅ!!
しおりを挟む三十一話 高みの見物ぅ!!
さて杉浦のやつ、どんな顔をしながら一人待ってるんだろうな早く見たいぜニヤニヤ。
そんなことを考えながら正面玄関へと向かっていたオレだったのだが、下駄箱の前……ちょうど運動靴に履き替えていた三好の姿を発見した。
「あ、三好。 ちょうどよかったぜ」
「えっ!?」
オレは後ろから三好の肩に腕を回し耳元に顔を近づける。
「ちょ……っ、え、福田? なに!?」
「面白いもの見れるから一緒に見ようぜ」
「はぁ!? 面白いものってなん……」
「いいからいいから」
オレは半ば強引に三好を連れ出し佐久間の言っていた公園へと向かった。
◆◇◆◇
「ーー……ってここかよ」
スマートフォンで地図を検索して向かった公園を目の前にして呟く。
「まぁ公園ってこの辺には二箇所くらいしかないからね。 反対側に大きな公園あるから、私はそこだと思ってたよ」
三好が画面を覗きながらその公園のある場所を指差す。
「ここって前に三好のパンツ見た場所じゃん」
「ちょ、ちょっと! 変な覚え方しないでよ!」
顔を赤らめた三好がグイッとオレに顔を近づけてくる。
こうして間近で見てみても三好って結構可愛い部類に入るんだよなー。 オレのロリコン補正がかかってるだけなのかもしれないけど。
「いいじゃん褒めてんだから」
「え、そうなの?」
「そりゃそうでしょ。 ブスのパンツ見たところで何も嬉しくねーよ」
「あ、ありがとう」
三好が少し顔を赤らめながら視線を外す。
ーー……ていうか、なんでこいつ照れてるわけ?
やはり小学生は謎。 しかしそんな話題を出して少しムラムラしたオレはジャブ程度のノリで三好にセクハラをすることに。
「ちなみに今日はどんなの?」とモジモジしていた三好に尋ねてみるとこれまた意外……三好はスカートをクシャリと握りしめ、若干内股になりながら小さく口を開いた。
「ぴ、ピンク」
Oh、Yes!!!
「いいねスバラ」
「ーー……変態」
「変態で結構。 あ、てか着いたぞ。 ほらあそこ見て」
下ネタ話してるとすぐに時間が過ぎてしまうよな。 目的地に着いたオレは少し離れたところから公園の中を指差す。
「なに? ……あ、杉浦じゃん。 どうしたの?」
三好がオレの指先に視線を向けて杉浦を発見。 「なんで1人でいるんだろ」と首をかしげる。
「佐久間いたでしょ? あいつが今朝水島さん殴ったのを誰かが杉浦に密告して呼び出されたんだって」
「うわぁ、佐久間どんまい。 それでその佐久間は?」
三好が周囲を見渡す。
「あ、佐久間なら来ないよ」
「へ?」
なんとも間抜けな声。 三好は目をまん丸に開かせながらオレに視線を移し見上げてきた。
「えっと……それは何で? 呼ばれたのに来ないの?」
「いやいや、逆になんで呼ばれたら絶対行かなきゃならないんだよ。 殴られるって分かってて行くとかバカでしょ」
「そ、それはそうかもしれないけどさ」
「まぁ行かなくていいんじゃないって助言したのオレなんだけどね」
「……佐久間。 福田の助言そのまんま受け入れんなよ」
オレの言葉を素直に聞き入れた佐久間に呆れたのか、はたまた同級生の無事に安心したのか。 三好は「はぁ……」と小さくため息をつく。
「とりあえずほら、来るはずのない相手を待つかわいそうな杉浦を観察するの楽しもうぜ」
「ほんと福田サイテーじゃん」
「オレを敵に回したからこうなるのだ」
「ーー……まぁ、そうなんだけどね」
それからしばらく。 オレはイライラしながら時折時間を気にする杉浦を見て楽しんでいたのだが……
「うーん、飽きたな。 どうせならもっと面白いの見ようぜ」
オレはスマートフォンを取り出し起動。 ニヤニヤしながら画面をタップしていく。
「ふ、福田? なにしてんの?」
「学校に電話」
「はあああああ!?」
「シッ。 大声出すな三好。 バレるだろ」
オレは学校の電話番号をインターネットで調べて電話をかけると5年生の学年主任に電話を代わってもらう。
電話に出たのは誰か分からないけど、お楽しみはここからだぜ。
学年主任に代わったことを確認したオレは声をできるだけ変えて「あの、匿名なんですけどー。 5年生の杉浦くん……出席停止中なのに公園で遊んでますよー」と報告。
するとどうだろう……すぐに信じたのか学年主任は驚きの声をあげながら近くにいたのであろう教師たちに伝言。 その後『すぐに向かいます!』と言われたのだった。
通話を終えたオレがやり切った顔でスマートフォンをポケットに戻していると、三好が「ーー……福田、大人の電話の仕方っぽい。 すごいね」と感心した表情をオレに向けてきていることに気づく。
「だろ?」
「うん、どこでそんな話し方とか教えてもらったの?」
「それはまぁ……あれだ、色々とな」
これでも社会人数年やってたもので。
しかしあれだな、いくら相手がJS……女子小学生とはいえ褒められると悪い気はしないぜ。
「さぁ、面白くなってきたぞー」
しばらくその場で待機していると学年主任と担任の2人がが急ぎ足で公園へと到着。 そこにはまさかの杉浦の母親も同伴している。
「こら五郎!! 勝手に家からいなくなったと思ったら!! 反省なさい!!!」
杉浦母は杉浦の目の前に立つや否や強烈なビンタをお見舞い。 気持ちのいい破裂音が周囲に響き渡る。
「いってーな!! てか先生もなんで……なんでここが分かったんだよ!!」
「匿名の通報があったからだ。 杉浦、またここで何かしようとしてたのか?」
「ちげーよ!!!」
「じゃあ何でお前1人なんだ」
「そ、それは……!!!」
「プーーーーーッ!! クスクスクス!!!!! これは傑作すぎるぜーー!!! おい三好、お前も写真撮っとけよ! これ暇なときに見たら絶対に爆笑できるぜ!!!」
オレは遠くからスマートフォンをかざし、拡大してこの状況をパシャり。 杉浦が頬を叩かれて半泣きで強がっている写真を何枚も連写していく。
「え、福田もしかしてその写真、壁紙にすんの?」
「いやいやまさか。 あんな野郎を壁紙にする奴があるか。 オレは今の壁紙が気に入ってるんだそう簡単に変更するかよ」
「へぇー。 どんなの?」
「ん? 三好のパンツ」
「は!!??」
三好が一気に顔を赤らめながらオレのスマートフォンの画面を覗き込んでくる。
しかし実際の壁紙はオレの好きだった小説……『絆創膏をアソコに貼った私が無双して世界を救う!?』の主人公・ナタリーちゃん。
壁紙を確認した三好は「え?」と声を漏らしながら視線を画面からオレへと移す。
「いや、アニメじゃん」
「当たり前だ、そんなの嘘に決まってんだろ。 誰かに見られたら一発アウトなことをわざわざするもんか」
「ほんっとにサイテーだね福田。 少しでも驚いた私がバカだったわ」
「なんだ? 実は三好お前、パンツを壁紙にして欲しかったのか?」
そう煽ってみるとどうだろう。
三好の顔はさらに赤く染まっていき、恥ずかしさからなのか全身がプルプルと震わせていく。
え、てことはもしかして……
「三好……お前ってやつは」
「な、なにさ!」
「まさかパンツを見て欲しい変態だったとは思わなかったぜ。 案外お前もエッチなんだな、そういうの好きだぜあははははは」
「う、うるさいーー!!!!」
そう叫ぶと三好は条件反射なのか思い切り足を蹴り上げ、その軌道上にはオレの股間部分。
まさか……こんな公共の場所でやるなんて!!!
避けようと思えば避けれた速さ。
しかしオレは思ってしまったんだ。
野外で蹴られるってどんな気持ちなんだろう……と。
グオオオオーーーーンン……!!!!
三好の足の甲がオレの弱点にクリティカルヒット。 まさに天地がひっくり返ってもおかしくないような一撃にオレの目はいろんな意味で涙が溜まっていく。
「ああ……うわあああ福田ごめんーー!! ついカッとなって蹴っちゃったあああーー!!!」
「な、ナイスシュート……バタリ」
「福田あああああああ!!!」
その日の夜、オレのもとには三好からの大量の謝罪メール。
そしてその通知音のせいもあるのだが、蹴られた箇所が激しくジンジンしていたためまったく寝付くができなかったのだった。
あ、ちなみに今回勝手に家を飛び出して公園にいた杉浦は反省の色が見られないとして出席停止の期限が伸びたんだってさ。 ワロワロ。
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