堕ちていく僕

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美容研究家仁科亜美(スピンオフ)

仁科亜美⑨

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翌日から樹理の稽古が始まった。

歩き方、所作、話し方から厳しく教育することにした。

「あなた何なの!その歩き方は、がさつ過ぎ!もっと優雅に美しく歩くように!」

「は、はい!」

「あなた何なの!その話し方は!言葉遣いが悪い!ちゃんとした敬語を使いなさい!」

「は、はい!」

凛と違いセンスが無く教えるのに苦労した。


「春奈、樹理の私服全部捨てといて」

「はい、かしこまりました」

「樹理、お稽古以外の時はこれを着てなさい」

樹理にはキツめのロングタイプのタイトスカートと真っ白のレースタイプのブラウスを渡した。

「は、はい……ありがとうございます」

樹理はタイトスカートに慣れず歩きにくくしていた。

「綺麗に歩けるまでタイトスカート履くのよ!」

「はい……」

「食事の時もそのブラウス汚したら許さないわよ」

「はい……」

厳しい指導が続き2ヶ月後ようやく合格点に達した。


「やっとまともになってきたわね、あとは春奈が教育しなさい。あなたのやり方でかまわないから」

「かしこまりました。」

翌日春奈は二階の美容室に樹理を呼んだ。


「樹理さん今回は時間かかるので楽に座ってて下さいね。」

「は、はい……」

春奈は準備をして樹理の髪にエクステを編み込みはじめた。

「あの……何してるんですか?」

「樹理さんの髪質ならショートヘアの方が似合うと思いますが、せっかく可愛い顔立ちなのでエクステ着けてロングヘアにしましょう。」

「そ、そんな事言われても……」

「樹理さんには断る権利ないからじっとしててね」

「う……」

3時間後

「はい、出来上がりました。」

そこには腰まで伸びたストレートロングヘアーの樹理がいた。

「よくお似合いですよ。稽古用にアップにしますね。」

春奈は慣れた手つきで髪を纏めた。

「なかなか綺麗ですよ」

「あ、ありがとう…ございます…」

樹理は照れていた。

「少しこのままだと寂しいからピアス開けちゃいますねー」

春奈はピアッサーを取り出した。

「え……ちょ、ちょっと待って下さい!痛そうですし……」

「大丈夫です。一瞬で終わるから」

「や、止めてください……」

「拒否権はないって言ったよね?」

「ひっ!?」

春奈は樹理の耳に消毒液を染みさせた脱脂綿で拭いた。

「ひゃあっ!?」

「動かないでね」

耳かきで穴を開ける位置を確認して針を突き刺した。

ブスッ

「ひぎっ!?」

「はい、次。反対ね」

ブスッ

「ぐっ!」

「はい、おしまい」

「あぁ……」

樹理の両耳にはキラキラ光るピアスがついた。

「うん、いい感じいい感じ」

「うぅ……」

「じゃあ着物に着替えてお稽古いきましょう」

「はい……」

春奈と樹理は美容室を出て稽古場へ向かった。

春奈と樹理が稽古場へ着くと華恋がいた。

「樹理………」

華恋は樹理の姿を見て驚いているが、こうなる事は予想していた。

「華恋、あなたも次はペナルティあるから覚えときなさい。」

「はい……ごめんなさい……」


ロングヘアを結い上げた樹理はどこか色気が漂っていた。

「歩き方はまあまあ良くなって来たわね」

「はい……」

「そろそろ私服にタイトスカート以外の服も買ってあげようかしら。」

「あ、ありがとうございます」

樹理は嬉しかったが本音は普通の男性の服にもどりたかった。


翌日春奈が樹理をデパートに連れて行った。


「さてと、樹理ちゃんどんな服がいいかな~」

春奈はウキウキしながら選んでいた。

「えっと……自分で選びますから……」

「だめなのよそれは」


「え?」

「あなたにはもう拒否権がないのだから大人しく着せ替え人形になってなさい」

「は、はい……」

春奈は店員を呼び出した。

「この子に合うロングスカートを何枚か持ってきてちょうだい」

「はい、かしこまりました」

数分後何種類ものロングスカートが用意された。

「樹理ちゃん試着してみて」

「はい……」

樹理は渋々スカートを手に取った。

「うーん、それもいいけどこっちの方が似合いそう」

「そうですね~こちらのお花柄のワンピースの方が合うと思いますよ~」

春奈と店員は楽しそうに話している。

樹理は諦めて黙っていた。

「じゃあ樹理ちゃんこれに着替えてきて」

「は、はい」

春奈は満足そうな表情をしていた。

そこには淡いピンク色の花柄のワンピースを着た樹理がいた。

「素敵ですよお客様!」

「そ、そうですか……」

恥ずかしそうになっている樹理を見て春奈はかつてユウを女性化させた時の事を思い出していた。

(懐かしい……あの時は色々したけど、今となってはいい思い出だわ)

こうして樹理のファッションは全て春奈によって決められていった。
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