堕ちていく僕

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美容研究家仁科亜美(スピンオフ)

仁科亜美⑧

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ピンポーン


「こんにちは~」

「はーい」

ドアを開けるとそこには冴えない男が立っていた。

「は、はじめまして……田無樹理(たなしじゅり)と申します…お世話になります…)


背は男性にしては低めでうつむき加減の髪は肩まで伸びボサボサだった。


(この人が華恋の彼氏?)

「よろしくね、さっそくだけど中に入ってくれるかしら?」


「はい、失礼いたします」


リビングに通して華恋とソファーに座らせた。

(華恋はなんでこんな男が好きになったんだろ……)



私はコーヒーをいれて2人に渡した。

「ありがとうございます……」

「ありがたくいただきます……」

2人とも頭を下げた。

「早速本題に入るけど……あなた本当にここでいいのね?」

「はい、彼女と一緒に居られるならどこでも構いません」

「当面はこの家での掃除、買い物、雑務をしてもらうから、サボったり手を抜いたら即出てってもらいます」


「わかりました」

「華恋もそれで良いのね?」

「はい!お願いします!」

「そう……それじゃあ、もう遅いし今日は寝ると良いわ」

「ありがとうございます」

「ありがとうございます!」

こうして新しい住み込みが入り新生活が始まった。

働かせてみると意外とテキパキ掃除、洗濯をこなし華恋と春奈の負担が減り助かった。


普段から春奈や華恋には週に1日は稽古や家事をしなくてもいい自由な休みを与えていた、華恋と樹理が同じ休みになった時だった。


二人は午前中から出かけて行った、基本プライベートまで干渉はせず好きにさせていた。

二人で出かける時は早く帰ってくる事もあったが夜まで帰ってこないこともあった。


そんなある日華恋に食料品の買い出しを頼んだ。
すると華恋は。

「あの……先生…手持ちのお金が無くて先に頂いても宜しいでしょうか?」


「あら珍しいわね、いいわよ。」


そう言ってお金を渡したが何か怪しかった、普段から華恋と春奈には家賃と生活費を差し引いても多いくらい給料を払っていたからだ。


「あ、ありがとうございます!では行って参ります!」

「ええ、気をつけて行くのよ」

しかし1時間経っても戻って来なかった。

(おかしいわね?何してるのかしら?)


3時間経ってから華恋は手ぶらで帰ってきた。


「あなたどこまで行ってたの?しかも手ぶらじゃない!」

「ごめんなさい……実は……」

話を聞いたところパチンコ屋に入り浸っていたらしい。さらに運悪く負けてしまい借金まで作ってしまった。


「あなたあんな男と付き合うようになったせいでこんな事になったのよ!」

「すみません……先生……これからは真面目に働きます!」

「そんな事当たり前よ!樹理を呼んできなさい!」

樹理が来て事情を話した。

「すみません……自分のせいです……」

「当たり前じゃない!」

「はい……本当に申し訳ありません……」

「樹理は明日からこの子達と同じように稽古に参加してもらいます。」

すると華恋が

「先生それだけは………」

華恋は知っていた、稽古に参加するとは以前いた凛のように見た目も中身もガラリと変えられてしまうことを。


「だめよ。」

「うぅ……」

「もし、またこんなことしたら容赦なく辞めてもらうわ」

「はい……頑張ります……」

「春奈今回はあなたに任せるわ、あなたのセンスに任せるわに」


「はい、かしこまりました。」

「じゃあ樹理さん二階の美容室へ行きましょう」

「は、はい……」

春奈は樹理にケープをかけてカットを始めた。

「まずシンプルなボブにしますね」

「は、はい」

本人はどうなるかわからず動揺していた。

春奈は手早く伸びた髪を顎ラインで一直線で切り揃え眉上で前髪を揃えた。

「じゃあ次は縮毛矯正しますね」

「え……は、はい」

二時間後春奈のカットはおわった。

「先生、終わりましたよ」

そこにはさっきまでの冴えない男ではなく サラサラな髪質の美少年がいた。

「うん、いい感じいい感じ」

「さすが春奈だわ」

「こ、これが自分ですか……」

鏡を見て驚いている樹理。

「春奈、樹里の眉ボサボサだから全部剃り落としなさい。これから毎日メイクするようになるからいらないわ」

「はい、かしこまりました。」

「ちょ、ちょっと待って下さい、いくらなんでもそれはやりすぎでは?」

慌てる樹理だったが

「うるさいわね、黙って言う通りにしなさい!」

「ひぃっ!?」

春奈は樹里の眉を丁寧に剃り落とした。

そこには眉のないおかっぱの樹理がいた。

「よし、これでベースはいいわね。」

「はい、完成しました」

「華恋、あなたが樹理にメイクしてあげなさい」

「え……でも……」

「あなたにも責任があるんだからやりなさい」

「は、はい……わかりました……」

そして華恋のメイクにより樹理の顔には可愛らしい顔立ちの美少女のようになっていた。
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