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第3章

◆番外編 【クリスマス】2022年ver🎄

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とりあえず書きたいクリスマスは全部書いたかな……って思って、しめようとしたんですけど。
そしたら書きたくなってしまって……。
年が明けてから書き始めました……。
本編とは関係のない世界として、お読みください♡
パーティは去年してるので、今回は……
クリスマスのお出かけ話からの、ただのデート話、です(*´艸`*)♡


◇ ◇ ◇ ◇

 

 ある日。
 午後になってから、ルカと、ある町に行くことになった。
 リアが忙しいみたいで居なくて、今日は馬でって言ってはいたんだけど。

 馬を連れてきたルカを見た瞬間。

 馬に合うなあ、ルカ。さすが王子様というのか……。
 超カッコいい! とか思ったけど、言わない……なんか悔しいし。

 ひょいと抱えられて、馬に乗せられて、後ろにまたがるルカ。
 手綱を握って、オレの位置を後ろから動かして捕まらせて、落ちんなよ、と笑う。

「ゆっくり走るから」
「うん」

 魔物は出るけど、馬で駆け抜けてると、避けて行ける程度。
 しばらく走って、目的地の街に到着した。

 町長とルカが話してる間は、オレはその部屋の隅の本棚にあったこの国の絵本を借りて読んでいた。
 神様が生まれた日について書かれた絵本だった。
 どこの世界でも、こういうのはあるんだなあ。
 なんて思いながら見入っていると、話を終えたルカが近くにやってきて、それを覗き込んだ。

「興味あんのか?」
「……こういう日って、お祝いしないの?」
「ん?」
「神様が生まれた日」
「……しねえな?」
「あ、そうなんだね」
「するのか?」
「うん。まあ。クリスマスって言って……お祝いするよ」

「どう祝うんだ?」
「うーん……恋人同士なら、どっか出かけたり、綺麗な景色を見に行ったり」

「……それ、神は関係あるのか?」
「あー、無い、かも。オレの住んでた国は、クリスマスっていうと、神様の誕生日っていうよりは……皆でごちそうたべたり、プレゼントあげたり、そういう日になってる人も多かったし。オレは完全にそっちだったから」

 絵本を閉じて、町長さんの本棚に返して、お礼を言った。
 部屋を出ると、ルカが笑った。

「良く分かんねえけど、出かけたいなら、行くか? 綺麗な景色が見たいなら……少し遠出して良いなら、連れてってやる」
「え。……いいの? もう用事ないの?」
「終わった。なんか食べるもの買っていこうぜ」

 なんかルカはほんと、さすがの行動力というのか。

 日本みたいに、あれこれ予定が詰まってないからすぐ自由に動けるというのか。
 ルカには、やることは色々あるみたいなんだけど、全部自由な感じ。

 色んなお店で飲み物とか食べ物と、なぜか毛布みたいなのも買って、またルカと一緒に馬に乗った。


 しばらく走って辿り着いたのは、湖のほとり。

「ここ??」
「そ。先に食べてようぜ」
「うん」

 まあ、湖は綺麗だけど。

 なんかもうすぐ暗くなっちゃいそうだし。ルカが見せたかったのはこれなのかな。
 ……先にって?? なんの先に??

 思いながらも、一緒に木のベンチに並んで座って、買ってきたものを真ん中に広げる。

「ピクニックみたいだね。もう暗いけど」
「そうだな」

「魔物とか、出てこないの?」
「出てきたら分かるから大丈夫。心配すんな」
「うん」

 そうなんだ。
 ……まあでもこの世界で、一番安心な人と一緒に居る訳だもんね。うん。


「ソラ」
「ん」

 差し出された食べ物を、口を開けて食べる。
 
「これ何? 美味しい」
「魚かな。うまい?」

「うん。噛めば噛むほど味が……」

 するめみたいなものかな??

「かたいけど」
「そっか」

 ルカが、もぐもぐ噛むのをずっとしてるオレを見て、ぷ、と笑う。

「何でお前は、そんなに……」
「ん?」

 ルカを見上げると、またクスクス笑いながら、オレの頭をヨシヨシと撫でる。


「ほんと面白ぇな?」

「面白いってなんだよー?」
「いや。可愛いってこと」

 クックッと、笑いながら言われても、素直には受け取れないけど。

 何だかやっとの感じで噛み終えて飲み込んだ時、ルカが、あ、と声を出した。


「ソラ、ちょっと来いよ」
「ん?」

 立ち上がったルカに手を引かれて立ち上がる。
 少し湖の際まで歩いて、なんだろ、とルカを見上げる。

 ふ、と笑ってオレを見下ろしたルカが、オレの肩に触れる。

「ちょっと冷えてきたろ」
「……うん、そういえば」

「急に気温が下がるんだよな、ここ」

 そう言いながらルカは馬にかけてた荷物の中から、さっき、買ってた布をオレの肩にかけて、そのまま後ろから抱き締めた。


「……でな、下がってすぐなんだけど。空を見てろよ?」
「うん?」


 なんだろ。空を??

 不思議に思いながら、湖の上の広い、暗い空を見上げていると。


 何だか、キラキラしたものが見えた気がして、瞬き。

 ん。 ……なに?

 そう思っている間に、ますますキラキラしてきて、そのキラキラに色が反射して。
 水色や黄色やピンク――――……。


 なんか。
 あれみたい。

 オーロラ。みたい。


 キラキラした光のカーテンみたいなのが、空一面を覆って、揺れる。


「うわぁ……」


 すっごい、綺麗。

 ずっと上を向いて、それが流れていくまで、見つめ続ける。
 しばらく見ている間に、それは、どんどん薄くなっていって、消えていった。 

 最後の光が消えて。
 すると、ルカが後ろから、のぞき込んできた。
 
「……どうだった?」


 笑いを含んだ声に、ルカの方を振り返って見つめ返す。

「めちゃくちゃ、綺麗だった。何、あれ?」
「さあ。なんかこの地方で、見られる現象。急に冷えて、あれが流れて、しばらくしたら消えてく」
「――――……よく見れるの?」

「少し寒くなり始めのこの時期に見られる。まあ、見れてラッキーだったな?」
「うん! ありがと!」

 なんだか、すごい、心の中まで綺麗になったみたいな気がする。
 それくらい、綺麗だった。

「お前が見に行った、綺麗な景色と、どっちが綺麗だった?」
「――――……」

 え、と思いながら、ルカを見上げる。
 じっと見つめあって、それからオレは。

「……こっち」

 そう言うと、ふ、とルカが嬉しそうに笑う。

 ――――……なんか。
 …………ルカがまた、可愛い。気がする……。


 オレが前に見てた綺麗な景色より、
 ……綺麗な景色を見せたかった、てことなのかな……。

「……すごく、綺麗だった。ありがと」

 ルカの腕を引いて、キスした。
 ……だって、なんか。可愛く見えて。

 すぐに離そうとしたんだけど。
 包まれるみたいに、抱き締められて、深く、唇が合わさる。


「――――……ん」

 めちゃくちゃ深くキスされて。
 あっという間に涙が滲んだ瞳で、ルカを見上げると。

 クス、と笑うルカの指に、涙をぬぐわれる。


「……冷えるから、町に戻るか。――――……泊まってこうぜ?」

 ん、と頷くと、ひょい、と抱きかかえられる。 
 馬に座らされて、少し待ってろと言われて、馬につかまっていると、ルカが魔法で広げていたものを片付けて、馬にひっかける。

「……いいなあ、オレもやりたい、それ。ずるいー」

 オレのセリフに、クスクス笑うルカは特に何も言わず、布でオレを巻いたまま、腕の中に引き寄せた。

「寒くないか?」
「大丈夫だよ。ルカ、体温高いから、あったかい」

 頷いてそう言うと、ふ、と笑うルカ。


「――――……着いたら、もっとあっためてやるから」
「…………」


 その意味を少しの間考えて。
 頷かずにいると。


「返事は?」
「……考えとく……」


 そう言うと、後ろで、可笑しそうにクッと笑う。



 綺麗な景色。見せてくれたし。

 前の綺麗な景色にちょっと対抗してるのとか、可愛いし。 

 ……なんか。
 こんな風に、大事そうにあっためられて包まれてると。


 …………なんかおかしいくらい、ちょっと、胸が痛いというか。



 なんかもう絶対断れないよなあ。と。
 ……オレは、思ってた。



 ……すぐは言わないけど。







- Fin - 




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