【ドS勇者vsオレ】オレ様勇者に執着&溺愛されてるけど、ドSだから大変✨奨励賞受賞

悠里

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第3章

◆番外編 【*クリスマスパーティ*】2021年ver

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2021年。去年の/12/25時点のルカとソラの関係で書いたクリスマスものです。
今まで「うちのこの番外編置き場」というところに置いてたんですが、クリスマスについて質問がありまして。あそこだと分かりにくいと思うのでこちらにうつします。読んでない方も多いかも……と♡

しばらくしたら、2021年の12月付近に移動させようと思っています。


※この話は「番外編」で、本編には何の関係ない物としてお読みください。

※クリスマス、なさそうな世界だから、ルカソラは書けないかなと諦めてたんですが、去年のBL大賞でルカソラが奨励賞を頂いて、なにかお礼に♡ と書いたお話でした♡




【*クリスマスパーティ*】🎄


 ある町に来たら。
 町の真ん中に、もみの木そっくりな、大きな木があった。

「すごいー! でっかーい!!」
「?」

 思わず声に出したら、皆に、何が? て顔をされた。


「でっかいクリスマスツリーみたいだから」


 そう言ったら、何それ、と皆に不思議な顔をされる。


 ……無いんだ、クリスマス! それは残念!
 子供達プレゼントもらえないじゃん!

 
 って、本来の意味とは大分違う物欲的な方でしか考えられないオレは、そう思って、ひたすら、えー無いのー? つまんないじゃんーと言ってしまった。


「もう、この木、絶対すっごいクリスマスツリーになるのに。つまんないなあ、クリスマスないなんて……」

 見上げながら言うと。
 

「何だよそれ。説明しろ」

 ルカに引きずり寄せられて、何だか低い声で言われた。

「……??」

 ……怒ってますか??

 ドキドキしながら振り返ると。


「無いからつまんねえとか、何なんだよ。無いなら作ればいいだろ。説明。早く」

 ……つまんないって言ったから怒ってるのかな。
 この世界がつまんないって、言った訳じゃないんだけど……。

「クリスマスって言うのは……神様を信じてる人が、お祝いする日なんだけど……オレにとってのクリスリスは、綺麗なクリスマスツリーがあって、皆でパーティして、プレゼント交換して、ケーキとか美味しいもの食べて、イルミネーションが綺麗で……」

「イルミネーションって?」
「――――……あ、カジノって、ピカピカしてる?」

「ライトがすげーけど」

「そういうのの……もっと綺麗なやつ?」

「分かんねえな。ツリーってなんだ、絵に描け、絵に」

 ルカがなんだか意地になって、分かろうとしてくる。
 ゴウたち三人はおかしそうに笑いながらも、オレの説明や、へたくそな絵を見てる。

「……とにかく、あの木を飾って、美味いもんつくって、プレゼントを各自用意すりゃいいんだな?」
「この木の下でお祭りってことだよな? いーじゃんか、やろうぜ」
「町長に許可もらって、材料集めてくる」
「足りないものは私がよその町から集めるよ!」

 ルカと、ゴウと、キースと、リア。順番にそう言って、何だかやけに盛り上がり始めた。

「ソラ、そのケーキってやつ、お前作れるか? ジェイんとこ行っていいから」
「あ、うん。分かった」

「リア。ソラとミウを、ジェイのとこ置いてこい」
「うん!」

「こっちの飾りは任せとけ、ソラ」

 ルカはそう言って、笑う。そんな笑顔を見ながら、リアの側に立った。

 ミウと一緒にジェイの町に運んでもらって、ジェイに作らせてもらえるか確認。そしたら、良いよって事になって。一緒にケーキを作ってくれることになった。

 この世界の人達って。いつもだけど、ほんと柔軟……。

 ジェイからOKが出たので、リアは後で迎えにくると言って帰って行って。オレはジェイとケーキを焼いた。


 ルカ達が作ってるはずの飾りの元になっているのが。
 オレのドヘタクソな適当なイラストだっていうのが。かなり不安ではあるけど。
 まあでも、誰も本物を知らない訳だし、なんとなく綺麗になってたら、いっかーなんて思いながら、オレはケーキに専念した。

 スポンジケーキをいっぱい焼いて、クリームいっぱいぬって、甘い実を並べて。まあ、もう、これで十分!ていう大きさのケーキが完成した。

 ジェイも参加するっていうから、アランや、ジェイの友達を何人か呼んで。その皆と買い物。

 皆とのプレゼント交換用に一つと。
 何となく、もう一つ。ルカへのプレゼントも選んだ。悩んで悩んで決めた。

 そうこうしてる間に、リアが迎えにきて、ミウとジェイやアラン達皆と、ケーキとプレゼントを持って、リアの魔法で飛んだ。

 町の前に着地したら、リアがオレの目に手をかざす。

「え?」

 リアがクスクス笑ってくる。

「ジェイ達ケーキ持ってってくれる? ソラは、目つむって来いって、ルカが言ってたから、腕組ませてね」
「え。そうなの?」
「ツリーの前までつれていってあげるから」

 ちょっとワクワクしながら目をつむって。
 リアの腕を頼りに、歩く。

「ソラ、まだ目ぇあけんなよ」

 あ。ルカの声。
 リアの手が外れて。ルカの手が、オレの背中に触れる。そのまましばらく歩いてから。

「じゃあゆっくり目ぇ開けろ」
「――――……」

 ゆっくり、開けたら。

 さっきの、でっかい緑の木が。
 めちゃくちゃ綺麗に光ってて。ナニコレ、どうやってるの。と思ったら。

「ここら辺、色んな色に光る虫がいるんだよ。それを町の皆が捕まえてきて、カゴごとぶらさげた」

 あ。ほたるみたいな虫? すごい、虹みたいな色。
 綺麗……。

「終わったら逃がすから」

 ルカがクスクス笑って、オレを見る。

「一番上の、星はどうやって光ってるの?」
「さあ。絵を見せたら、町の電気職人がすげえ苦労して作ってたぞ」
「そうなんだ……」

 うわー。ちゃんと、ツリーになってる。
 ……すごい。

「こんな感じか?」
「うん。知ってるツリーより――――……綺麗かも……」

 そう言うと、ルカが、すごく嬉しそうに、鮮やかに、笑う。

 木の下には、これでもかというほど、テーブルが並んでて、やまもりの食べ物や飲み物が並んでて。

「町の人間にそれぞれ料理を作らせて、テーブルと料理一品、大盛りで持ち寄って参加ってことにしたからさ。すげえ量だろ」

「うん。……すごい」


「これでいいんだろ、クリスマスパーティ」

 ルカや、ゴウたちや、周りの人達がすごく楽しそうで。

 ――――……なんだか。感動。


「…うん。なんか――――……ありがと……」


 泣きそうになった所で、顔上げさせられて、キスされた。

 ああもう、全員見てるようなとこで!!
 ……泣かずに済んだといえばそうだけど。

 その瞬間。音楽が鳴り始めて、そっちを見ると、楽器を持って、演奏が始まって。クリスマスソングではないけれど。


「完璧?」

 ルカがクスクス笑ってオレを見る。


「うん、完璧! ……っていうか、今までで一番、すごいかも」

 とにかく、町全体とか。
 大がかりな点で評価するなら、圧倒的に、一番だ。

「じゃあ始めようぜ」

 ルカの声でパーティが始まって。
 大騒ぎ。

 全員で回すプレゼント交換もして。変なものが出て文句言ったり、イイのが出て羨ましがられたり。そういうの、どこの世界でも一緒なんだなあ、なんて思うと、楽しかった。





 ――――……少し飲んだお酒で、ぽー、として。
 綺麗すぎるツリーを、少しの間黙って見つめてたら。

 少し離れて騒いでたルカが、戻ってきて、オレの腕を引いた。


「ソラ。すぐそこの宿、二階行こうぜ」
「――――……うん」

 頷いたら、ルカが、じっとオレを見る。


「なに?」
「嫌がるかと思った」

「――――……行く」


 ふ、と笑うルカの後をついていくと、宿の二階の部屋に入る。

 
 ちょうど、窓から、ツリーの上半分が見えて。
 すごく綺麗に、部屋の中が光ってる。


 ルカと一緒に外をしばらく見て。
 下で楽しそうな皆も見えて。


「適当な所できりあげて、片づけてもらうことにしてきた」
「うん……」

「――――……ケーキも、うまかったな」
「……ありがと」


 嬉しくて笑うと。ふ、と笑い返されて。

 首筋にルカが触れる。


 キスされるのかと思ったら。
 なにか、冷たいものが、喉に触れた。


「――――……?」
「首飾り。ソラに似合うと思ったから。つけたい時、つけろよ」


 ……ああ。もう何なのかなあ、この人。

 今度こそキスしようと首を傾けたルカを、あ、と、止める。


「ルカ、待って」
「……ん?」

 ポシェットに入れてたルカへのプレゼント。それを出して、ポシェットを外して窓際のテーブルに置いた。

 今ルカにされたみたいに、後ろに手を回して、ルカの首にも、それを付ける。


 チョーカーみたいなのに、青い石。
 ルカの瞳みたいな色の。


 ルカが選んでくれてたのは、オレが選んだのと多分ほとんど同じもので、ただ色だけ違う、水色の石だった。


「――――……あーなんか……」
「?」


「もう、抱く」


 ぐい、と引き寄せられて抱き上げられて。
 ベッドに、降ろされた。


 上に押し乗られて。
 ルカの手が、服の下から、遠慮の欠片も無く滑り込んで、腰から胸を撫でる。



「……ん――――……」


 くすぐったい。

 びく、と竦んだら、片方の手で顎をとられて、キスされる。
 仰向かされて、深い、キス。


 一度少し離れたルカが、服を脱ぎ捨てると。
 綺麗な体に、今あげた飾りが、何だか、すごく――――……色っぽく見える。

 今から、この人に、また、抱かれるのか。
 そう思うと。

 なんだか――――……胸が、痛くなるような。
 鼓動が、早くなる、ような。
 

「――――…………っ」



 性急に慣らされて。
 深く繋がる。


「……ア……ッ――――……ん……」


 はあ、と息をついて。
 まだゆっくりと動いて、慣らしてるルカに。
 きつく、抱き付いた。


「ル、カ――――……」
「……ん?」

 キスで塞がれながら。ルカの名前を呼ぶ。



「……すごい……楽しかった。……ありがとね」


 至近距離の、青い瞳を見つめながらそう言ったら。

 また深くキスされて。息も、出来ないでいる内に、今度は、奥まで、突き上げられた。


「……ん、ぁっ…… あ、ぅ――――……っ……」
「――――……ソラ……」


 可愛い、と囁かれる。


 気持ち良すぎて、零れる涙を舐め取られる。
 ゾクゾクしすぎて――――……ぎゅ、とルカにしがみつく。

 耳元で、ふ、と笑われて。
 

「……ル、カ――――……」



 そのまま、何度も抱かれて。

 ――――……やっと、終わって、抱き締められた時には、もう、ウトウトで。


 抱き寄せられて、髪の毛を静かに弄られてて。しばらく動けなくてそのまま。

 さっきまで部屋の中も光っていた、あの光ももう無いから、皆で片づけたんだろうなぁと、ぼんやりと思う。


 
「……ルカ……?……」

 そう言ったら、ルカは、ふ、と笑った。


「……あぁ。起きてたのか?」
「……ルカって、すごすぎ」


「ん?」

「……オレがちょっと話した事……あんな風にしてくれるとか……そんなことできる人、ルカしか居ないと思う……」

「ああ。……まあ。そうだろうな」


 そう答えながら、ルカはクスクス笑う。


「……すっごいなー……って……よく思うよ、ルカ……」


 ……眠い。しゃべりながら寝ちゃいそうだけど。

 ルカを振り返って見上げると。


 なんか嬉しそうな顔に、胸が少し締め付けられる、気がする。



「――――……すっごい、楽しかった」

「……さっきも聞いた」


 クスクス笑うルカに。


「何回でも言いたい位、楽しかった……」
「……ん」

 普段、意地悪する時のルカが、嘘みたい。
 優しく頷いたルカに、ちゅ、とキスされた。


 そのまま撫でられていたら。
 眠ってしまって。


 ……クリスマス知らないのに。
 めいっぱいクリスマスをしてくれた、ルカに。


 めちゃくちゃ感謝しながら。


 幸せな気分で、眠りに、ついた。




(2021/12/25)

merryXmas🎄




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