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第2章

「感動」

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 ゲームの世界でキャラを操っていた、というのがどうにも言いにくいので、そこだけは「本」に置き換えて、話してみる事にした。

「――――……元の世界に居る時、この世界の本を見た事があって。魔王や魔物や、この世界の事や、ルカ達の事も見てて……」
「――――……」

「全部一緒かと言われると……ミウとか居ないし、町の人とか覚えてないし……町も完全には覚えてなくて……お城もこんな感じ、ではあるけどはっきりとは……」

 言ってる内に、きっと全然意味が分からないんだろうなあと思いながら、悩みながら言っていると。

「……魔王の変異体も見た事があったんですか?」
「……はい」

 だって直前まで、ゲームで戦ってたんだもん……。知ってる。
 と言っていいのか、オレの戦っていたものと、あれが同じものだったかも分からないけど。

 でも、ルカたちは、皆、見た目も性格もできる事とかも、同じ。
 だから、きっと、何かしらの関係はある。


 ……意味は分からないけど。


「――――……先程、信じるという前提で話は聞きましたが。やはり私はまだ、あなたを完全に信じてはいないんですが」

 レジーが言う。
 まあでも。そりゃそうだよね。よく、分かる……。

「王子は、本当に、完全に信じているんですか?」

 レジーの視線がルカに流れて、オレもそれを追って、ルカを見た。
 すると、ルカは、オレを見下ろして。ふ、と笑って。


「ああ、信じてる」

 即言い切って。

「――――……」

 そんな簡単に、言い切るとか……。
 何だか、不覚にも感動してるオレの頭に手を置いた。


「言ってる事意味わかんねえのは、ほんとにそうだからだと、思ってる」
「ルカ……」

「だから、レジーも、信じた上で調べてくれよ」

 レジーに向けるルカのまっすぐな視線。
 レジーは数秒黙っていたけれど。少し息をつきながら。不意に微笑んだ。


「分かりました、王子」


 なんか。
 急に、優しく笑んだレジーに、ちょっと驚いた。
 その時だった。


 急に、書物庫のドアの方で、ドンドン叩く音と、大きな声。



「ルカ―! あけろーー!」


 あ。絶対ゴウだ。リアとキースも居るのかな。
 ちょっと離れてたので、何だか嬉しくなりながら、ルカと顔を見合わせた。



「今開けるから騒ぐなよ」

 ルカがそう言って、ドアの元に近付きながら、呪文を唱える。
 扉が開くとともに、ゴウとキースとリアが現れた。


「おう。ルカ、ソラ」

 良かった、ゴウとキース、元気そう。


「問題なく倒せたか?」


 ルカがすぐにそう聞くと、ゴウとキースが頷いた。


「全然問題なし。――――……でも、オレ達にとっては、かな」
 
 キースの言葉に、ルカがキースを見つめる。


「あれ、一般の人達には倒せないな。やっぱりあそこらへんの魔物、強くなってたんだろうね。魔王があの付近を離れたはずだから、その内弱体化するといいけど……」
「ああなると、海の魔物とか、どんなんが来るか、ちょっとうんざりだなぁ……」

 キースとゴウの言葉に、そーか、とルカが頷く。
 そこに、レジーがやって来た。


「魔物退治に行っていたんですか?」

「ああ、レジー、ちょっと久しぶり」
「元気?」
「相変わらずテンション低いな?」

 キースとリアとゴウがレジーに話しかけて、笑ってる。



 ああなんか。
 今日少しだけ、離れてたけど。



 やっぱりこのメンバーで揃うと、ほっとする。


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