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きゅるるる~ん
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「何じゃよお主~、まだ持ってんなら持ってるって早く言えよ~」
「‥‥‥‥」
「ドルク様。シロは言葉は理解してますが、会話は出来ませんせよ~─────あ、ウマっこれ」
「そうじゃったな~アル坊そっちのも寄こせ」
一つのカツサンドの行方をめぐって断末魔を上げていた男二人は、料理長が気を利かせて白陽達用に用意した『おつまみセット』で盛り上がっている。
白陽としては、料理長が自分達用に用意してくれた物を二人に差し出す義理はないと思っているが、男どもがあまりに嘆く態度に呆れて、仕方なしと差し出したのであった。
「‥‥‥‥ぷし」
「ピィァ~‥‥‥‥」
「なんじゃなんじゃ。お前らにもちゃんとやるぞ?」
「拗ねんな、拗ねんな─────ほら食べろ」
─────なんか納得いかない。でも、食べてやる。
ご機嫌な男二人を胡乱な目で眺めながら、鳥魔獣と一緒に美味しく焼かれたお肉ちゃんをガツガツと食べてやる。
─────?
「なんだ?どうした」
肉にガッついていたフェンリルが急に頭をあげ、崖上方向に視線を向けたまま微動だにしない。
「む。襲撃か?アル坊解るか?」
「いえ、まだ」
自分達にはまだその気配が伝わってこないが、目の前にいるのは幻と云われたフェンリル。
人間には感じ取れない何かの気配を察知しているのではないか、と腰にある剣の柄に手をかける。
微動だにしなかったフェンリルが立ち上がった。
柄を握る手により力が込められた瞬間。
「「「 きゅ─────んっ 」」」
ぽぽぽっんと崖の上から小さい影が三つ飛び出してきた。
「ワンっ!ワン(お、お前たち!)」
真上から空中に飛び出してきたのは、小さな毛玉の影が三つ。
「「「 きゅ─────ん(にいたま─────) 」」」
上らか落下してくる毛玉に白陽は、あわあわあわあわと右に左と慌てた結果。背中に小さな身体がぽてぽてっと落ちてきた。
「きゅうきゅう(ほんとにいたまだ~)」
「きゃんきゃん(だからいるっていったじゃん~)」
小さくてもフェンリル。察しのいい三つ子は知らない人間が側にいると知って、キュンキュン声で白陽の背中から語りかけていた。
「ワフワフ─────ワンワン!(お前ら賢くなったな─────あれ、足りんぞ!どこだ!?)」
背中に乗っていたのは三つ子のうちの二匹だけ。
─────まさか落ちた!?
あわあわと焦りながら周囲を探す白陽の頭の上から、「きゅ~きゅ~ん(にいたまぼくここ~)」とのんびりした声が聞こえてきた。
見上げてみれば、アルヴァレスの両手の中から毛玉頭が覗いている。
「きゅ~んきゅ~きゅきゅき~ん(このにんげんおっきいね~にいたまをうえからみちゃう~)」
三つ子のうちの一匹を落下の衝撃から救ったアルヴァレスは、掌の中できゅうきゅう鳴いている毛玉を見つめながら震えていた。
「ら、らんぐ様。こ、こ、これって‥‥‥」
「‥‥‥‥フェンリルの幼体って所か?シロの態度からして兄妹か。もしくは近くに群れがいるとか?いや、群れはないか‥‥‥‥」
子犬にも見える白くて小さな毛玉を観察しながら思案するが、抱えている男にはどうでもよかったらしい。
「きゅう~?(なぁ~に~?)」自分の方をきゅるるんお目目で見つめて来た毛玉ちゃんに瞬殺されたアルヴァレスは、膝から崩れ落ちるのだった。
「か、かわい‥‥‥‥」
きゅるるん攻撃に耐えられる人間は、─────存在しないのである。
「‥‥‥‥」
「ドルク様。シロは言葉は理解してますが、会話は出来ませんせよ~─────あ、ウマっこれ」
「そうじゃったな~アル坊そっちのも寄こせ」
一つのカツサンドの行方をめぐって断末魔を上げていた男二人は、料理長が気を利かせて白陽達用に用意した『おつまみセット』で盛り上がっている。
白陽としては、料理長が自分達用に用意してくれた物を二人に差し出す義理はないと思っているが、男どもがあまりに嘆く態度に呆れて、仕方なしと差し出したのであった。
「‥‥‥‥ぷし」
「ピィァ~‥‥‥‥」
「なんじゃなんじゃ。お前らにもちゃんとやるぞ?」
「拗ねんな、拗ねんな─────ほら食べろ」
─────なんか納得いかない。でも、食べてやる。
ご機嫌な男二人を胡乱な目で眺めながら、鳥魔獣と一緒に美味しく焼かれたお肉ちゃんをガツガツと食べてやる。
─────?
「なんだ?どうした」
肉にガッついていたフェンリルが急に頭をあげ、崖上方向に視線を向けたまま微動だにしない。
「む。襲撃か?アル坊解るか?」
「いえ、まだ」
自分達にはまだその気配が伝わってこないが、目の前にいるのは幻と云われたフェンリル。
人間には感じ取れない何かの気配を察知しているのではないか、と腰にある剣の柄に手をかける。
微動だにしなかったフェンリルが立ち上がった。
柄を握る手により力が込められた瞬間。
「「「 きゅ─────んっ 」」」
ぽぽぽっんと崖の上から小さい影が三つ飛び出してきた。
「ワンっ!ワン(お、お前たち!)」
真上から空中に飛び出してきたのは、小さな毛玉の影が三つ。
「「「 きゅ─────ん(にいたま─────) 」」」
上らか落下してくる毛玉に白陽は、あわあわあわあわと右に左と慌てた結果。背中に小さな身体がぽてぽてっと落ちてきた。
「きゅうきゅう(ほんとにいたまだ~)」
「きゃんきゃん(だからいるっていったじゃん~)」
小さくてもフェンリル。察しのいい三つ子は知らない人間が側にいると知って、キュンキュン声で白陽の背中から語りかけていた。
「ワフワフ─────ワンワン!(お前ら賢くなったな─────あれ、足りんぞ!どこだ!?)」
背中に乗っていたのは三つ子のうちの二匹だけ。
─────まさか落ちた!?
あわあわと焦りながら周囲を探す白陽の頭の上から、「きゅ~きゅ~ん(にいたまぼくここ~)」とのんびりした声が聞こえてきた。
見上げてみれば、アルヴァレスの両手の中から毛玉頭が覗いている。
「きゅ~んきゅ~きゅきゅき~ん(このにんげんおっきいね~にいたまをうえからみちゃう~)」
三つ子のうちの一匹を落下の衝撃から救ったアルヴァレスは、掌の中できゅうきゅう鳴いている毛玉を見つめながら震えていた。
「ら、らんぐ様。こ、こ、これって‥‥‥」
「‥‥‥‥フェンリルの幼体って所か?シロの態度からして兄妹か。もしくは近くに群れがいるとか?いや、群れはないか‥‥‥‥」
子犬にも見える白くて小さな毛玉を観察しながら思案するが、抱えている男にはどうでもよかったらしい。
「きゅう~?(なぁ~に~?)」自分の方をきゅるるんお目目で見つめて来た毛玉ちゃんに瞬殺されたアルヴァレスは、膝から崩れ落ちるのだった。
「か、かわい‥‥‥‥」
きゅるるん攻撃に耐えられる人間は、─────存在しないのである。
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