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序章
サイコな世界と田中
しおりを挟む「じゃあさ、秋じゃなくて、田中くんに出て行ってもらえばいいんじゃない?」
「はあ?」
倉本さんがさも良い提案を思いついたかのように、そんな事を呟いた。
俺は理解しきれず、情けない声を出す。
「だって、ほら‥私達3人はずっと一緒だから‥田中くんだって辛いでしょ?」
「別に‥俺は」
「え!いいんだよ!遠慮しなくて!!だって‥私ならきっと辛いもん‥」
「いや、話を」
「リーネさん!ここを出て行っても、支援、ちゃんとしてもらえるんだよね?」
「は、はい‥ですが、個人の意見が最優先でッ」
「なら、田中くんが出て行くで決定だね!!そうすれば、秋も落ち着いて一緒にいられるし!」
「あ、ああ‥そう、だな‥」
おいおいおい!何流されそうになってんねん村上!
「まってや!!俺の意見は!?」
「キャ!?な、なに?!急に怒鳴って‥田中くん、おかしいよ‥?」
「はあ?!おかしいのはアンタッ」
「な、なに!?田中くんが怖いよ!?」
「おい、田中!琴美が怖がってるからさ、少し声を小さく、な?」
そんな大袈裟な‥
いや、でも女の子やから怖いんか?
‥だけど、村上の怒鳴り声にだって平然としてる奴やぞ?
そうか。そうかよ。
ありえへんわ‥ほんまに‥腹ん中、真っ黒で笑ってまいそう。
「‥分かった‥声大きくてビビらせたのはごめん。でもさ、なあ、倉本さん?俺そんなに邪魔?そんな回りくどい言い方せんでいいで。正直に言ってや」
「っ、‥」
「なあ‥頼む‥」
「、ゔ‥ふ、‥グスッ‥」
都合が悪くなれば泣き真似‥
まあ、その瞳からは何も流れてないけどな
「っ、琴美!?おい、田中!何泣かせてんだよ!?」
また俺に詰め寄ってくる村上、
伸ばされた腕を掴んで、ぐいっとその顔に近づけた。
ちゃんと目、見て答えろよーー
「‥アンタもさ、正直に言えや。勝手に嘘つくのはいいけどさ、俺を巻き込まんといてくれへん?」
「っ!?は、俺は、嘘なんて」
嘘ばっかり‥信用できひん。
俺はいつまでも俺の目を見ない村上にため息をつく。
「はあ、お前、倉本さんのために、何かするつもりなんやっーーぐッーー」
途端首を押さえつけられて、呼吸がしづらくなる。
苦しい、けど、なんでも力で解決できると思うな
「てめえ‥いい加減にしろ‥今すぐここから、
出て行けーー!!!」
村上が叫ぶ。それはまるで子どものようで、
俺は呆れてもう何も言えんかった。
散々な1日やなーもう。
「皆さまっ、落ち着いてください!!ちゃんと話し合えば、解決する話ではありませんか!!」
王女さんが、必死で仲裁に入ろうとするけど、
3人から理不尽に睨まれた俺に為すすべはない。
ごめんな、気使わせて
「田中は俺の大事な仲間を傷つけた‥他の人も沢山傷つけるかもしれない‥。それに、俺は勇者なんだろ?なら、この国の為、魔王を倒してやる‥だけど、こいつと衣食を共にするなら、俺は勇者を降りて、秋と琴美と三人でここを出て行くよ」
頭の切れる奴なのか、
ただ、感情的に口走るアホなのか
だけど、今、その言葉は正しい。
ーーそんな!?勇者がいなきゃ国はっ
ーー俺には家族がいるんだ‥勇者を降りられたらどうしたらっ
ーー‥追い出せば、いいんじゃないか‥
ーーああ、そうだ‥
ーーイレギュラーの、あの男を
「おい、取り押さえろ!!」
ほら、自分の必要性を充分に周りに理解させることができるから。
木下はこうやって上手く生きてきたんやなって感心する。周囲のコントロールで自らを正義に変える。
その対象は必ず悪に
「ッ、何を!?」
「姫様、お下がりください!!これは国の為、そして姫様の為でもあるのです!!」
「っ、ダメです!?おやめなさい!!」
「この国の為、男を追放しろ!!ーー」
「‥素直な言葉ですら伝えられへんのやな‥残念やわ。いいよ王女さん。どうやら俺は邪魔者みたいやし、これ以上迷惑かけたくないからさ!俺、出て行くわ。支援の方は、後ほど‥そんじゃな」
俺は騎士に案内を頼み、
その後をついて行く。
3人から睨まれるも何もしてないし動じる事はない。
「ッ、お待ちをっ、タナカ様!!」
「王女さんも心配せんといて?大丈夫やからさ!支援の方は明日にでもお願いするわ!じゃあな、3人ともしっかり魔王退治?とかいうの頑張って~!俺はのんびり異世界観光でもするわー!はあー楽しみ!!」
「ッ」
「‥」
グッと唇を噛みしめる倉本さんに笑ってやる。
気まづそうに目を逸らす村上にも
ただ、おう!と元気よく返事をする木下にゾクリとする何かを感じて、
俺の頬は引きつりながらも城を後にしたのだった。
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