ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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30 学園祭 side 陸

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松野の渋面にも臆さず、纏わりついている麻野。
その首には、松野が修学旅行で購入した黄色の番避けがはめられている。
Ωの発情は、一般的に十代後半からだ。
まだ12、13歳の麻野には早い予防措置。

松野は今後のためにと購入したらしいが、それを受け取った麻野がわざわざそこに松野の名前を記入して早速着け始めたんだと。
これには、麻野の突拍子もない行動に慣れてる松野も仰天。
外せといっても言うことを聞かず、わざわざ自分がΩであること、松野の許嫁だと登校した朝に中等部で暴露。
高等部にそれが伝わってきたときの松野のは・・・他人事ながら面白かった。
あんなに動揺したとこなんか、見たことなかったしな。


「俺が戻ってくるまで、ここにじっとしていろ。
笹部、5分で戻る。
ここに居てくれない・・・」

「書類をどっかに届けに行くんすか?
俺もついてくっすよっ」

「結構だっ」

「わーった、わーった。
見とくから行けって」

麻野相手だと、松野のペースはおもしれぇくらい崩れる。
麻野は、最初こそ大人しく立ったまま松野の行った方向を忠犬ばりに集中して待っていたが、徐々にソワソワ、グルグル。
落ち着きを無くした。
俺が眺めてるのに気付いて、照れた表情を浮かべる。


「うぅ、ライトには内緒にして欲しいっす。
もうすぐ一緒に学園祭を回れると思ったら、じっととか無理っす」

「イチイチ言わねぇよ」

「ありがとうっす」


エヘへと笑う麻野。
つられてこっちも笑う。
松野の許嫁ってこともあるが、麻野が俺に対して構えてないし、怖がらねぇからな。
こっちも話しやすい。


「バラしてから、色々言われてんじゃねぇの?」

「あー、コレっすか?
べっつにどうってこと無いっすよ。
Ωだってことをからかってきたら、全力でヤッていいって親にも言われてるし、全員返り討ちっす」


好戦的な瞳でニィーーーッと笑う。
両頬のエクボが窪み、益々幼く見えるな。
その笑顔には、不思議なくらい翳りがねぇ。


「お前見てると、Ωに生まれてんのに全然悩んでなさそうだな」

「えー、笹部先輩じゃなかったら怒るっすよ。
流石に、一回とか二回とかは、悩んでるっす」


頬を膨らませるが、一回とか二回って少な過ぎ。
有り得ねぇだろうと疑ったのが顔に出たらしい。
疑いの先を勘違いした麻野は、声を張る


「あーーーっ、信じて無いっすねっ
えーっと、初めてΩだって親に教えてもらったときはめっちゃ落ち込んだっすよ?
でも、その後にらいとにぃが許嫁だって教えて貰って吹き飛んだんすよね。
んー、これは、悩んだで数えていいんすかねぇ」


麻野は、腕を組んで頭をひねった。
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