724 / 911
30 学園祭 side 陸
19
しおりを挟む
一応、禁止されてる攻撃フェロモンは出してねぇが、なんでそんなに怒ってるんだ?
背中からでも、稲葉への敵意が透けて見える。
廊下を騒がしたが、教室からわざわざ乗り出してくるほどでもねぇだろう。
目の前にいるのも怪しむ美形の登場に、居合わせていた生徒も来校者も見惚れて動けない。
野次馬が増えるばっかで、収集がつかねぇし、生徒会としてペナルティーを確定してんのにこれ以上追加されたら菊川の立つ背も無くなる。
あー、話しかけたくねぇ。
関わりたくねぇ。
けど、そう言うわけにもいかねえし。
「菊川の、兄貴、だよな?」
「あ"ぁ"?」
行動を遮ろうとする俺を、邪魔だと睨みつけてくる菊川の兄貴。
頬についた青色のやっすいキスマークシールでさえ、メイクみてぇに馴染んでる。
ここまで整ってると、何してもプラス効果になるんだな。
はぁ。
足は止まったが、止まったが、だ。
あー、コレって話が通じんのか?
菊川からは、あまり仲良くねぇとしか聞いて無かったしなぁ。
菊川のような緩さがねぇのは、僅かな時間でも十分わかった。
俺の呼びかけに反応するってことは、取り付くしまもねぇわけじゃ・・・無いんだよな?
「・・・菊川の下にいる笹部です。
生徒会役員も一緒にしています」
「・・・」
清人さんの仄暗く、冷たい雰囲気に押され、言葉が喉でつっかえそうになった。
なんとか振り絞ったが、頭が回らず倭人さんと言うべきところをいつもの調子で菊川と言ってしまう。
「だから、なんだ」と俺を見る目が無言で問いかけてくる。
今の俺の言い間違いには興味すら無いようだ。
怯えた稲葉を見て、苛立ちは多少収まったのか?
底無し沼みてぇな真っ黒の目には、怒りや苛立ちもねぇな。
「生徒会から、ソレにはペナルティーを既に科したので、手荒なことは止めて欲しい」
「退場、だったか?
そんなことで、コレは躾けられるのか?
万一、俺のハルに向けられていたら、縊るどころじゃ済まなかったぞ」
腕を組み、俺を見下ろす菊川の兄貴。
フェロモン無しのプレッシャーがジワジワ締め付けてくるみてぇで息苦しい。
つーか、教室ん中を自分のフェロモンで密封しといて、締め切った扉のこっち側にまで気を配ってたのかよ。
この人にそうまでさせるハルって一体・・・
所有フェロモンまみれの教室にも、この騒ぎは当然伝わっている。
何人かが、開けっ放しの扉から顔を出してこっちを見に来てたんだが。
「ごめん~、通してぇ」と、その山を縫って三枝ともう一人が顔を出した。
三枝と、どんな顔で会えば良いのかわからねぇ。
視線はもう一人に自然と流れた。
黒目黒髪のどこにでもいそうなβ、いや、Ωか。
ふっくら膨らむお腹を庇うように手を添えているってことは妊娠してんのか?
異様なのは、その周りのフェロモンだ。
所有フェロモンの瓶詰め。
そのフェロモンの域に入っている三枝の姿も歪んで見える。
集中していた菊川の兄貴への対応から、完全に気が逸れていた。
背中からでも、稲葉への敵意が透けて見える。
廊下を騒がしたが、教室からわざわざ乗り出してくるほどでもねぇだろう。
目の前にいるのも怪しむ美形の登場に、居合わせていた生徒も来校者も見惚れて動けない。
野次馬が増えるばっかで、収集がつかねぇし、生徒会としてペナルティーを確定してんのにこれ以上追加されたら菊川の立つ背も無くなる。
あー、話しかけたくねぇ。
関わりたくねぇ。
けど、そう言うわけにもいかねえし。
「菊川の、兄貴、だよな?」
「あ"ぁ"?」
行動を遮ろうとする俺を、邪魔だと睨みつけてくる菊川の兄貴。
頬についた青色のやっすいキスマークシールでさえ、メイクみてぇに馴染んでる。
ここまで整ってると、何してもプラス効果になるんだな。
はぁ。
足は止まったが、止まったが、だ。
あー、コレって話が通じんのか?
菊川からは、あまり仲良くねぇとしか聞いて無かったしなぁ。
菊川のような緩さがねぇのは、僅かな時間でも十分わかった。
俺の呼びかけに反応するってことは、取り付くしまもねぇわけじゃ・・・無いんだよな?
「・・・菊川の下にいる笹部です。
生徒会役員も一緒にしています」
「・・・」
清人さんの仄暗く、冷たい雰囲気に押され、言葉が喉でつっかえそうになった。
なんとか振り絞ったが、頭が回らず倭人さんと言うべきところをいつもの調子で菊川と言ってしまう。
「だから、なんだ」と俺を見る目が無言で問いかけてくる。
今の俺の言い間違いには興味すら無いようだ。
怯えた稲葉を見て、苛立ちは多少収まったのか?
底無し沼みてぇな真っ黒の目には、怒りや苛立ちもねぇな。
「生徒会から、ソレにはペナルティーを既に科したので、手荒なことは止めて欲しい」
「退場、だったか?
そんなことで、コレは躾けられるのか?
万一、俺のハルに向けられていたら、縊るどころじゃ済まなかったぞ」
腕を組み、俺を見下ろす菊川の兄貴。
フェロモン無しのプレッシャーがジワジワ締め付けてくるみてぇで息苦しい。
つーか、教室ん中を自分のフェロモンで密封しといて、締め切った扉のこっち側にまで気を配ってたのかよ。
この人にそうまでさせるハルって一体・・・
所有フェロモンまみれの教室にも、この騒ぎは当然伝わっている。
何人かが、開けっ放しの扉から顔を出してこっちを見に来てたんだが。
「ごめん~、通してぇ」と、その山を縫って三枝ともう一人が顔を出した。
三枝と、どんな顔で会えば良いのかわからねぇ。
視線はもう一人に自然と流れた。
黒目黒髪のどこにでもいそうなβ、いや、Ωか。
ふっくら膨らむお腹を庇うように手を添えているってことは妊娠してんのか?
異様なのは、その周りのフェロモンだ。
所有フェロモンの瓶詰め。
そのフェロモンの域に入っている三枝の姿も歪んで見える。
集中していた菊川の兄貴への対応から、完全に気が逸れていた。
3
あなたにおすすめの小説
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
長年の恋に終止符を
mahiro
BL
あの人が大の女好きであることは有名です。
そんな人に恋をしてしまった私は何と哀れなことでしょうか。
男性など眼中になく、女性がいればすぐにでも口説く。
それがあの人のモットーというやつでしょう。
どれだけあの人を思っても、無駄だと分かっていながらなかなか終止符を打てない私についにチャンスがやってきました。
これで終らせることが出来る、そう思っていました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる