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27 学園祭準備
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俺の不安はどうやら杞憂だったようだ。
ヤマの不安に揺れていた瞳に力が戻っていくのを捉え、ほっとする。
「ヤマは、俺を幸せにしたいと言ってくれるが、俺だって同じくらいヤマのことを幸せにしたいんだぞ?」
「それなら、毎日幸せにしてもらってるよ、カナ。
俺の幸せは、カナが俺の隣で笑ってくれてることだから」
気を抜いたところに、一撃必殺のカウンター。
さらりと真顔で告げられ、勝負ではなかった筈なのに敗北感で何も言えなくなる。
くっ、煌めき王子めっ
俺が言いたかったことを的確に言ってくるとは!
しかも、菊川家の運命の番を通した恐ろしいDNAたっぷりな微笑みまで追加され、バクリッと心臓が跳ねる。
二人きりのときしか見せない極上の甘い微笑みは、普段の何倍?
いや、もう、何倍とかじゃ計れない。
レベルが違う甘さだ。
清人さんが人目も憚らずに見せる遥馬さんへの微笑みにも引けを取らない。
ヤマの言葉、声、眼差し、その身体から滲み出す濃厚なフェロモン、その全部に視界も身体も覆われて足から力が抜けそうになるが。
そこをなんとか建て直し、声を振り絞る。
「お、俺だって、ヤマが俺の隣で笑ってくれてるときが幸せだ!」
「嬉しい。
フフフ、カナ、顔赤いな。
可愛い顔、もっと見せて?」
二番煎じなセリフを、しかもつかえながらしか言えないことが恥ずかしい。
あぁ、もっとヤマに気持ちが伝わるような言葉を自分で探さないと!
眩すぎてヤマを見ていられず、目を伏せたのに。
ヤマの指が頬を撫で、お願いされると抗えない。
大丈夫、大丈夫。
ヤマの顔なんて、毎日見てるしっ
ヤマに口説かれるなんて、それこそどれだけ経験してるんだ、俺っ
そろそろ、そう、そろそろだ。
こっちの方は慣れないと、そのうち心臓発作で倒れてしまうぞ!
自分に何度も言い聞かせ、自己暗示をかけけながら顔をあげると。
全身で俺が可愛くて仕方ないと迫るヤマと目があった。
自分のことさえ、ちっとも上手く言えない自分が、こんな、目があっただけで圧倒されるヤマを甘やかすなんてまだ無理だった!
背伸びが失敗した恥ずかしさもあって、きっと首まで赤くなってるんじゃないだろうか。
「カナ、目が潤んでキラキラしてる。
目尻も赤く染まって・・・美味しそう」
ビリリッ
ヤマの色艶を含んだ囁きを正面から受け取り、腰から背中にかけて甘い痺れが走る。
今度こそ立っていられず、ヤマの方へ身体が落ちていった。
ヤマの不安に揺れていた瞳に力が戻っていくのを捉え、ほっとする。
「ヤマは、俺を幸せにしたいと言ってくれるが、俺だって同じくらいヤマのことを幸せにしたいんだぞ?」
「それなら、毎日幸せにしてもらってるよ、カナ。
俺の幸せは、カナが俺の隣で笑ってくれてることだから」
気を抜いたところに、一撃必殺のカウンター。
さらりと真顔で告げられ、勝負ではなかった筈なのに敗北感で何も言えなくなる。
くっ、煌めき王子めっ
俺が言いたかったことを的確に言ってくるとは!
しかも、菊川家の運命の番を通した恐ろしいDNAたっぷりな微笑みまで追加され、バクリッと心臓が跳ねる。
二人きりのときしか見せない極上の甘い微笑みは、普段の何倍?
いや、もう、何倍とかじゃ計れない。
レベルが違う甘さだ。
清人さんが人目も憚らずに見せる遥馬さんへの微笑みにも引けを取らない。
ヤマの言葉、声、眼差し、その身体から滲み出す濃厚なフェロモン、その全部に視界も身体も覆われて足から力が抜けそうになるが。
そこをなんとか建て直し、声を振り絞る。
「お、俺だって、ヤマが俺の隣で笑ってくれてるときが幸せだ!」
「嬉しい。
フフフ、カナ、顔赤いな。
可愛い顔、もっと見せて?」
二番煎じなセリフを、しかもつかえながらしか言えないことが恥ずかしい。
あぁ、もっとヤマに気持ちが伝わるような言葉を自分で探さないと!
眩すぎてヤマを見ていられず、目を伏せたのに。
ヤマの指が頬を撫で、お願いされると抗えない。
大丈夫、大丈夫。
ヤマの顔なんて、毎日見てるしっ
ヤマに口説かれるなんて、それこそどれだけ経験してるんだ、俺っ
そろそろ、そう、そろそろだ。
こっちの方は慣れないと、そのうち心臓発作で倒れてしまうぞ!
自分に何度も言い聞かせ、自己暗示をかけけながら顔をあげると。
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自分のことさえ、ちっとも上手く言えない自分が、こんな、目があっただけで圧倒されるヤマを甘やかすなんてまだ無理だった!
背伸びが失敗した恥ずかしさもあって、きっと首まで赤くなってるんじゃないだろうか。
「カナ、目が潤んでキラキラしてる。
目尻も赤く染まって・・・美味しそう」
ビリリッ
ヤマの色艶を含んだ囁きを正面から受け取り、腰から背中にかけて甘い痺れが走る。
今度こそ立っていられず、ヤマの方へ身体が落ちていった。
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