ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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27 学園祭準備

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先程まで、俺を緩く拘束していた腕がまるで別物に変わっていた。
ヤマの腕に受け止められた、だけなのに。
寝間着越しに伝わるヤマの熱で、身体が蕩けていく感覚に襲われブルブル小刻みに身体が震える。
歓喜と期待に、頭の中まで蕩けそうだ。

ヤマの熱が、フェロモンが、俺の身体と心を侵食していく。

番の発情に、Ωの魂に火がつく。

もう、そうなると元から抗う気がない俺は簡単に均衡を失い、淫らなΩをヤマに晒して悦び啼くだけだ。
ギシギシと音をたてて伸びた牙に耳朶をかじられ、堪らずビクンッと身体が跳ねた。

あぁ、もぉ・・・


「ヤマァ、食べてぇ」


ドロリと内腿を濡らす蜜の感触。
既に、番に応える準備は出来ている。
寧ろ、一秒でも早く受け止めたいと渇望し、ヒクヒク後孔が焦れてむず痒い。
羞恥心が無いわけじゃないから、この浅ましいくらい忠実に反応してしまう瞬間だけはどうしても理性が戻り視線がさ迷う。

けれど、ヤマに応えられる身体を本気で恥じているわけじゃないし。
ヤマが俺に発情している証だと思えば、嬉しい。
それに、淫らな俺をヤマはいつも可愛い、可愛いと。
寧ろ、もっと乱れろとばかりに煽るくらいだ。

意識していないと、ヤマに全てを委ねてしまいたくなる。
でも、それじゃダメだ。
番だから応えたいんじゃない。
俺がヤマに応えたい。

ヤマが、俺を食べるなら。
美味しくたっぷり味わって食べて欲しい。
その牙で、何度も俺に番の証を刻んで。
ヤマの熱を受け止めさせて。

うっすら開いた瞳に、発情したヤマの赤らんだ顔が映る。
瞼に、唇に、何度もキスを落とされ、その首に思わずすがりついた。
このヤマを知っているのは、俺だけだ。
俺だけの、ヤマ。
それが目の前に、手の中にある。
舌を絡ませ、深く、より深く口づける。
ヤマと俺のが混じった唾液を飲み干して、漸くヤマの膝に乗り上げていたことに気付いた。

俺を見上げるヤマが、乱れた息を整え気遣ってくる。


「カナ、あの、続けて、いい?
明日も、学校が・・・」


頬に触れた熱い掌に頬を寄せ、その先を遮る。
自分の発情に引きずられてしまう俺を、ヤマは気にするんだよな。
それを習性だと割りきらず、番のΩを性処理道具扱いもしない。
早く、早くと性急に交わろうとするこの気持ちが、ヤマのものか俺のものかなんていちいち確認する必要がどこにあるんだ。
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