ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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23 新生徒会

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「笹部は、中等部でよくα同士でやりあっていたからな。
俺も見かけたことはある。
高等部に入ってから、わざわざもう一度やりあおうとするαがいないから大人しくなっているがな」

「そうなんやぁ」


高等部からの編入組である三枝は、中等部の笹部のことを知らない。

ただの喧嘩なら教師も出てくるが、α同士の決闘となると当事者の決着がつくまで手を出さないのは社会と同じ。
一対一の決闘は第三者の目がある場所で申し込まれる。
プライド高いαは、力の差があってもよっぽどのことがなければ断れない。

笹部の場合、わざと相手を焚き付けて決闘を申し込ませていた節もある。
一年生の時は、笹部のおかげでどれだけクラスが乱されたか・・・

あの頃の俺は、決闘での立ち会いもしないし、喧嘩で大勢に囲まている笹部を見掛けても我関せずで無視していた。
近寄りすぎて、野次馬のβに「教師が来るまで仲裁してほしい」と言われても、俺はフェロモンコントロールが出来ないからな。
偽装がバレる失態は、一切犯したくなかった。

そう言えば、笹部の相手には女子生徒もいた。
マウントに男女の区別がない。
α女性が優位と言うこともあって、男性が受けた決闘の勝ちを譲る場合も多かったんだが。
笹部の場合、女子生徒の顔も容赦なく殴っていたのを思い出した。

うん、この事はβ社会で生きてきた三枝には教えない方がいいな。


「なんに怒ったのかわからないけど、どうせ明日にはケロッとしてるって。
笹部は、後に引かないからな」

「それって、巻き込まれた私達には理不尽なんですけど?」 

「だな」


樟葉先輩は、杉本先輩と不満げだ。
だが、一年共に活動していて力では笹部の方が上なのを俺も感じている。
二人がこの件をわざわざほじくり返して、残り一週間の生徒会活動を不意にすることは無い。

来週末には体育祭。
それが過ぎれば、部活動の予算割りに、新生徒会初のイベント、学園祭がやってくる。
去年は樟葉先輩に頼っていたが、今年はヤマが自分流に変えたいところも有るようだしな。
気を引き締めて取り掛かるとしよう。
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