551 / 911
22 夏休み side 命
2
しおりを挟む
「いやー、もぉ、みこちゃんすごいっっ」
下駄箱の並んだ玄関から外に出たら、階段の下から感極まった三枝君が走ってきてそのままの勢いで抱き締められた。
顔だけ離して、身体を密着させたまま興奮しながらさっきの舞について熱く語ってくれる三枝君。
三枝君こそ凄い。
三枝君の側にいると、自然と笑顔になれる。
甚平姿の三枝君の後ろには、浴衣姿のかなちゃんと菊川君。
普段と変わらない洋服のけぇちゃんと竹居くんもいた。
「フフフ、皆来てくれたんだねぇ」
「松野君も来てんねんけど、さっき一緒に来てた麻野君が迷子になってもーて探しに行っててな。
笹部君は、バイトで来れへんかってん。
あと、芝浦君も!
仕事らしぃけど、芝浦君こそ来なあかんやんなぁっ
番のみこちゃんの晴れ舞台やでっっ」
プリプリ怒る三枝君。
番をβ同士の恋人よりも、もっともっと強くて甘い関係だと誤解したままなんだなぁ。
夏休み直前に自分が変異種Ωだと分かったばかりなのに、そのことに傷付いた素振りも見せないし僕達の前だと全然変わらない。
強いなぁ。
「たぁちゃんは、忙しいからねぇ」
たぁちゃんは、忙しい。
忙しいし、忙しくなくても来れない理由がある。
最後の神子だった僕が、もうそのお役目から解放されていること。
これは、祖神様の直属臣下の末裔である御三家にも承認されていたことだったんだけどね。
番を得るまでは諦めず、最後まで僕を神子として終わらせたかった一派。
あわよくば、僕を代わりに得ようとしていた一派。
反目するαの共通の標的だからね。
関係者が紛れ込んでいる御珠神社には来れないよ。
難癖をつけられるかもしれないし、イヤミなら山程言いそうな人ばかりだからね。
たぁちゃんには、本当に・・・本当に悪いことをしてしまった。
そんな僕の翳った表情を、けぇちゃんは見逃してくれない。
皆で屋台が並ぶ参道に向かって歩き始めたら、「大丈夫ですか」と心配されてしまった。
「フフフ、大丈夫だよぉ」
絶対に作り笑いってバレてしまうけど。
作り笑いでも、笑っていれば楽しくなるんだよ?
だから僕は、大丈夫だよ。
下駄箱の並んだ玄関から外に出たら、階段の下から感極まった三枝君が走ってきてそのままの勢いで抱き締められた。
顔だけ離して、身体を密着させたまま興奮しながらさっきの舞について熱く語ってくれる三枝君。
三枝君こそ凄い。
三枝君の側にいると、自然と笑顔になれる。
甚平姿の三枝君の後ろには、浴衣姿のかなちゃんと菊川君。
普段と変わらない洋服のけぇちゃんと竹居くんもいた。
「フフフ、皆来てくれたんだねぇ」
「松野君も来てんねんけど、さっき一緒に来てた麻野君が迷子になってもーて探しに行っててな。
笹部君は、バイトで来れへんかってん。
あと、芝浦君も!
仕事らしぃけど、芝浦君こそ来なあかんやんなぁっ
番のみこちゃんの晴れ舞台やでっっ」
プリプリ怒る三枝君。
番をβ同士の恋人よりも、もっともっと強くて甘い関係だと誤解したままなんだなぁ。
夏休み直前に自分が変異種Ωだと分かったばかりなのに、そのことに傷付いた素振りも見せないし僕達の前だと全然変わらない。
強いなぁ。
「たぁちゃんは、忙しいからねぇ」
たぁちゃんは、忙しい。
忙しいし、忙しくなくても来れない理由がある。
最後の神子だった僕が、もうそのお役目から解放されていること。
これは、祖神様の直属臣下の末裔である御三家にも承認されていたことだったんだけどね。
番を得るまでは諦めず、最後まで僕を神子として終わらせたかった一派。
あわよくば、僕を代わりに得ようとしていた一派。
反目するαの共通の標的だからね。
関係者が紛れ込んでいる御珠神社には来れないよ。
難癖をつけられるかもしれないし、イヤミなら山程言いそうな人ばかりだからね。
たぁちゃんには、本当に・・・本当に悪いことをしてしまった。
そんな僕の翳った表情を、けぇちゃんは見逃してくれない。
皆で屋台が並ぶ参道に向かって歩き始めたら、「大丈夫ですか」と心配されてしまった。
「フフフ、大丈夫だよぉ」
絶対に作り笑いってバレてしまうけど。
作り笑いでも、笑っていれば楽しくなるんだよ?
だから僕は、大丈夫だよ。
1
あなたにおすすめの小説
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる