ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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21 夏休み side 倭人

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約束の正午ちょうどに、カナと三枝と樟葉が乗り合わせて南の離れに到着した。
俺が途中まで作ったパンや、兄貴お手製のランチを食べながらのお喋りはあったけど。
カナは、夏休み中になんとか三枝にΩとしての自覚をもって欲しいと悩んでいたからな。
話が脱線しかけた時に、自分から切り出して三枝のためのΩ講座を始めた。

Ωと言えば、恋愛小説しか読んでいない三枝の偏った知識に、小さい頃からΩ教育も受けているカナが現実的に必要最低限の情報を追加。
発情期の対処法とフェロモンレイプが中心だったけど、Ω教育を受けていない遥馬さんも感心しながら聞いていた。
確か遥馬さんは、初回の発情期で兄貴と番になったんだったっけ?

三枝がΩに関する暗い話は苦手らしく、生活に必要な、本当に最低限過ぎる内容に留めたからカナは話したりなさそうだった。

で、次は遥馬さんが話すのかと思っていたら、なんと遥馬さん以外のことには超消極的な兄貴が変異種Ωの学術的なところを担当。
簡潔にまとめてたんだけど、肝心の三枝がどこまで理解したかは不明。

俺は、この日兄貴の口から海外留学で変異種Ωについて研究していたと聞くまで何をしに留学していたのか全く知らなかった。

確か、帰国してあんまり間を置かずに遥馬さんと番になって南の離れで住み始めてたしな。
兄貴のことだから、遥馬さんが変異種Ωだと知ってわざわざ留学して調べにいっていたのかもな。

昔から、遥馬さんには弟の俺より兄貴らしいことするくらい可愛がっていたし。
さすがに、変異種Ωだとわかる前から遥馬さんを今みたいな目では見てなかっただろうけど。

変異種Ωは、まだ謎が多い。
俺は、変異種Ωを作り出せる当事者の笹部からざっくり聞いてるけど、そのことは誰にも、カナにさえ自分から内容を漏らしていない。
変異種Ωを作る当事者が、差別と迫害を招く研究に協力することはないからな。
兄貴の話にも、当然推測の前置きがあった。
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