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49話 最終決戦③

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 私はフユカの『共有』を借りて何とか攻撃を躱していた。

「小癪なあああああ!!!」
「今は仕方ないよ!」
「ハルさん! 尻尾が!」
「え!?」

 私はトカゲサルの両腕の攻撃に意識を集中させていて、いつの間にか近付いていた尻尾に気付けなかった。

 バシン!

「なんの!」

 私はその攻撃を踏ん張って耐えきった。しかし、奴は直ぐに攻撃を繰り出してくる。

「足が止まった様だな?」
「『ピンポイントショット』!」
「ぬぅ!」

 フユカが時間を稼いでくれている最中に私は奴から距離を取る。

「危なかった……。ありがとうフユカ!」
「ブレス来ます!」
「え!?」

 この距離でブレス? どうする? どうすれば!

「『胞子シールド』!」

 ボアアアアアアアア!!!

 躱せない。そう思った瞬間。ナツキの緑色の盾が私の目の前に展開される。

「ハル! フユカ! 待たせたわね!」
「ナツキ!」
「ナツキさん!」
「行くわよ! 蘇れリザレクション

 ナツキが魔法を使うと、私たちの直ぐ傍でアキが復活する。

 私はトカゲサルが来ない内に急いで回収をした。

「助かったよー」
「これくらいはやらないとね!」
「直ぐに魔法は使える!?」
「まっかせてー! 風の槍よウインドジャベリン×3!」
「今の弱点は頭です!」
「おっけー!」

 アキの魔法が奴の頭を串刺しにせんと飛んでいく。

「ちぃ!」

 奴は両腕は使い防御する。もう大分ボロボロのはずだけれど攻撃力などは一切落ちる様子がない。

「そろそろだと思うんだけどねー!」
「っていうか覚醒とかもどうなってるのかしら!?」
「それがねー。調べてもほとんど分かんなかったんだよねー」
「僕もです! ただ、覚醒したら物凄い力が出るって言われているので一応装備はしてますけど」

 覚醒の護石。私たちはキングモグーラに貰った物を一応つけている。それもこれも、破竜の護石を装備することが出来たため、折角ならと空いた枠に収まった。

 しかし、どうやって使っていいのか分からずに装備しているだけだ。これなら変えてきた方が良かったかもしれない。

 私たちは一度距離を取る。

「でもどうしよう! 近づいたらブレス! 離れたらあの光線が飛んでくるんだけど!」
「まだブレスの方がマシよ! 近付きましょう!」
「でも拳が届かない位を維持してねー!」
「危険な行動はお知らせします! 近くで!」
「おっけー! 行こう!」

 私は奴の近接攻撃が届かない位の距離を調整して走る。

 奴は近付いて来ようとするけど、アキの魔法やフユカのピンポイントショット、ナツキのシールドに阻まれて中々近付けない。遠くから戦えば行ける。そう思っていた。

「う、うぅ……うほおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
「何!?」
「分かんない!」
「距離を取りましょー!?」
「奴の体温が物凄く上がっていますー!」

 又あの範囲を巻き込んだ攻撃が来るのか。そう思ったけれど違っていた。

炎の槍よファイアジャベリン×3! ダメ! 攻撃も全部消されてるー!」
「何が起こっているのかしら!?」
「分かんない! でもきっとヤバそうだよ!」
「熱がドンドン上がっていきます! 『未来視』!」

 フユカが何が起きるかみようとする。

「え? これは……」

 フユカの言葉を聞いたところで、私たちの視界は真っ白に包まれた。



「なに……?」

 私が気が付いた時には、普通に走っていた。私の側に他の3人も当然のようにいる。ステータスを確認しても、特に異常はない。

「何があったのかな……?」
「分からないわ」
「ステータスも問題ないっぽいけど……」
「奴の姿が!」
「「「え!?」」」

 私たちはフユカの声でトカゲサルの方を見る。

 奴は、10mを超えるような巨体になっていた。しかも、それだけではない。

「くはははははははは。まさかここまで見せることになるとはな。ワシが幻想種たる所以を教えてやろう」

 奴の姿は2足歩行する黄土色の完全な竜の姿になっていた。ただし、体中はゴリラの様な筋肉で膨れ上がり、竜? と思わせるような姿になっている。羽も全て再生されていて、飛ぶことも出来るのかもしれない。頭だけは三角形の様に尖って前に出ていて、あれで突き刺して来そうだ。

 牙や爪も鋭く太陽の光を反射して……。いたが直ぐに反射しなくなる。

「天気が!?」
「嘘でしょう!?」
「どういうことー!?」
「分かりません!」

 さっきまでは晴天だったのに、気が付いたら真っ黒な雲で覆われてしまう。

「くはははははははは。ワシと戦うのだ。晴れでは面白くなかろう。相応しい会場というものがある! 溶岩隕石ヴォルカニックメテオ!!!」

 奴がそう叫ぶと、雲から赤と黒が混じった巨大な何かが何十個、何百個も降り注いでくる。

 ドオオオン! ド、ド、ド、ド、ドオオオオオオオオン!!!

「きゃー!」
「走って逃げて!」
「溶岩の雨ー!?」
「僕が指示した方に逃げてください!」
「わかったー!」

 溶岩が雨のように降り注ぎ、落ちた場所の草は一瞬にして燃え上がり、その場所は入ったら一瞬で溶けてしまいそうな溶岩が出来上がる。

 私が走る場所も減らされていく。

「くはははははははははは! いいぞ! これこそ最終決戦に相応しいステージだ! さあ! 幻想種として、ワシの力を見せてやる! 焼却光線インフェルノノヴァ×3!」

 奴は楽し気に3本ものあのレーザーを放ってくる。

 無理だ。これは躱しきれない。1本でも精一杯だったのに、どうやって。

 私の少し前の辺りと、私に直撃するコース、そして私の少し後ろ。どこに逃げても当たる。やつの光線は私たちを逃がす気はなかった。

 何とか避けれないか。必死に考える。けれど、他の3人は

「無理よ……」
「今回はダメだったかー」
「いい所まで行ったと思うんですけど……」

 3人の口から、弱音が零れていた。
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