「サボってるだろう?」と追い出された最強の龍脈衆~救ってくれた幼馴染と一緒に実力主義の帝国へ行き、実力が認められて龍騎士に~

土偶の友

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第3章 動乱

57話 処置

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「ふぅ……。何とかなったか……」

 一瞬ひやりとする場面もあったけど、大した怪我もなく倒すことが出来た。

「いけない。アイシャ達を呼びににいかないと……」

 俺は彼女たちの元に戻ると、そこには息を潜めるようにして待っている2人がいた。

 俺が戻ったのを確認すると、2人は直ぐに布から出てくる。

「セレット! 大丈夫!?」
「セレットさん! 頭から血が!」
「大丈夫。俺は問題ないから、先にジュエルドラゴンの処理をしてくれ」
「でも……」
「俺は大丈夫だから。急がないと不味いんだろ?」

 もう一度狩るのは骨が折れそうだからここで終わらせてほしい。

 アイシャには俺の気持ちが伝わったのか頷く。

「分かった。ありがとう。いくわよ」
「はい!」

 アイシャと秘書は直ぐにジュエルドラゴンの方に走り出す。

 俺も彼女たちの護衛でついて行かなければ。

「セレットは底の布の中で休んでて!」
「アイシャ。これくらいだったら問題はないよ」
「でも……」
「いいから、早くやって手当してくれ」
「……分かったわ」

 アイシャは覚悟を決めたのか直ぐに行動を移してくれる。

 ジュエルドラゴンの死体に行くと、砂の上に横たわる奴の姿があった。

「こんなに綺麗に残ってるなんて、セレットにしか出来ないわね。急いでやるわよ!」
「分かりました! セレットさんの活躍に相応しい働きをしないといけません!」

 2人は協力して何かの液体を出したり、魔道具を出したりしてジュエルドラゴンの宝石に処置を施していく。

 砂嵐の中だというのにその動作が乱れることはない。すさまじい集中力だ。

 俺は邪魔が入らないように湧いて出てくる魔物達を片っ端から刻んで待つ。

 それから数時間で処置は完了したらしく、ジュエルドラゴンの死体は既に収納袋に入れられている。

「終わったか?」
「ええ……って、セレットの治療をしないと!」
「大丈夫だよ。そこまで深い傷じゃなかったからな。魔力を回して傷は塞がってる。ほら」

 俺はアイシャに傷口を見せるように近づく。

「でも……血が……」
「いいんだよ。それよりも早く帰ろう。ここだとゆっくり休めないだろう?」
「そうですけどー。そろそろ時間が……」

 秘書が空を見上げる。砂嵐で中々見えないけど、周囲の暗さも相まってもう日が落ちかけているのだろう。

「ここで泊るか?」
「そうするしかないわね……。ごめんね。もう少し早く出来れば良かったんだけど……」
「気にするな。そもそもこんな奥にいたんだ。どっちにしろ泊るしか選択肢は無かったって」
「そう……ね。分かったわ」
「ああ、早速準備をするぞ」
「ええ」

 それから一緒に宿泊の準備をして、テントを張る。

 中に入ると一段落といった所か。

「このテントは襲われたりしないのか?」

 何も考えずに中に入ってしまったが、襲われる可能性を考えたら一人は外にいた方がいいのかもしれない。

「このテントはさっき私達が被っていた布で作られているから大丈夫よ。それよりも傷を見せて」
「もう塞がってるって」
「それでもよ」

 アイシャがそう言って俺の傷を見て居る。

 俺は普通に床に座っているのだけれど、アイシャは膝で地面に立って、俺の頭を見下ろすように見て居るからその……。何と言うか、彼女の胸が目の前でちらついて何とも言えない気持ちになる。

 言いたいけど、彼女は俺の心配をしてくれて居る訳で。俺もやましい気持ちがあるという訳じゃない訳で……。

「冷た」

 一人悶々としていたら傷口辺りに冷や水をかけられた気がする。

「ごめん! 大丈夫!?」

 アイシャ心配そうに俺の顔に近づく。彼女は手に綺麗な布を持っていて、もう片方の手には水を発生させる魔道具が握られていた。

「だ、大丈夫。いきなりでびっくりしただけだ」
「そう、ちょっとじっとしててね。ゆっくりやるから」

 アイシャは体をあげて、さっきと同じような態勢に戻る。そして、俺の血と砂が固まったのを、優しく拭き取ってくれた。

「はい。これで大丈夫よ」
「すまん」
「何言ってるの。貴方がいたから出来たことなのに。これくらいで謝らないで」
「分かった」
「さ、他に汚れた所とかはない?」
「大丈夫だ」
「それじゃあご飯にしましょうか!」
「そうだな。腹が減った」
「私もペコペコですー」
「私が腕によりをかけて作るからね。期待しててよね!」

 アイシャが作った料理はとても美味かった。
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