外れスキル【レバレッジたったの1.0】を進化させ、俺はエルフ聖女と無双する ―冒険者パーティ追放勇者、バージョンアップの成り上がり―

緋色優希

文字の大きさ
上 下
160 / 169
第二章 バルバディア聖教国モンサラント・ダンジョン

2-72 壮絶ダンスタイム

しおりを挟む
「姐御達はどこだ」

 いた!

 各自が神官達を率い、バニッシュが鍛え、また修理した武器の数々で神官達も戦っていた。

 だが、あいつらばかりは、さすがの彼らも手を焼いているだろう。
 簡単に倒せる相手じゃない。

 にもかかわらず、皆怯むことなく戦っている。

「みんな!」

「任しといてー」
「ひゃあ、キモイ奴がいっぱいだわいな」
「標本箱には収まりそうもないわねー」
「氷漬けでどうかしら」
「どこかに埋める?」

 俺は一応考えてみたのだが、そんな時間は勿体ない。

 俺の結論はこうだ。

「よっしゃ、踊るぜ」

「もう!
 言うと思った~!」

「どうせなら、もっと可愛い仲間を増やそうよ」

「そうそう。
 こう萌えるような展開とかないの⁉」

「うるせえよ。
 可愛い魔物なんて、ぜんぜん出てこないじゃんか!」

 俺は速攻で、あいつを呼び出した。

「来い!
 モンスパー1」 

 モンスタースパイダーの略だ。
 もうネーミングに拘っているような場合じゃないので名づけは適当だった。

 数は増やす予定なので、ナンバリング付きなのだ。

 そして現れた俺の眷属になった大蜘蛛モンスパー1が元仲間の大蜘蛛を後ろから襲い、拘束し動きを止めた。

 敵は神官や冒険者との戦いで疲弊していたものか、その強烈な拘束を解く事はできなかったようだ。

 それでもまだ暴れてやがったが、さっそく脳天に遠慮のない【テールスピン・クラッシュ】を食らわせてやった。

 先程と同じスキル構成でルーレットの出目六を獲得し、俺はアタックをかけていった。

 この槍は意思のような物を持っているので俺の意思に反応して、暴れて動く蜘蛛の頭を見事に追尾してその真上にズガンと落ちる。

 なんのことはない。
 槍で脳天に天空からぶち当たるだけである。

 ただの脳天きりもみ降下だ。
 大蜘蛛には、あれが結構効くみたいなんで。

 それに、大神殿付近で派手な火焔魔法を使うなんてできない。

 ただでさえ王都は破壊され、今回も痛手を被ったのだ。

 せっかく人が金策に協力しまくっているというのに、なんという事だ。
 それがこちら側に一番地味に効いている攻撃なんじゃないか?

 ここは他にグランディアとフリージア達も奴らの足を止める。

 ウインディアは俺の機動補佐に残り、他の二名は苦戦しているところの応援に行った。
 他の霊獣や魔物達も全員応援に向かわせた。

 みんなはバラバラに戦っているから、どこにいるのかわからない。
 きっとこの異常事態を喜んでいるのは先輩くらいのものだろうな。

 ああ、先輩があそこにいた。
 やっぱり嬉々として戦っているよ。

 あの宝箱から出て来た傾奇者スタイルの衣装をお披露目しながら、オリハルコン製のナックルで殴りつけている。

 しかも、それで巨大蜘蛛の奴が今一匹ダウンしているし。

 もう何もかもが無茶苦茶だ。
 あちこちに怪我人がいっぱいだし。

 あ、また先輩の相手の蜘蛛が根性で立ち上がってきて、先輩が嬉しそうにしている。

 俺は拘束力に長けた精霊二体が止めてくれた奴の脳天にも一発ずつお見舞いして、スペシャルダンスを踊った。

 なんというか、超高速で、しかも強烈アピールの奴。

 ピシっピシっとポーズを決めるような感じに強烈アピールする方式で、俺の編み出したオリジナルのクイックダンスなのだ!

 何しろ、俺は時間制限付きの勇者だからな。

 マグナム・ルーレットの出目六の効力が戦闘中に切れると面倒だ。
 あれはクールタイムが一時間もあるからな。

 そして一発で三体を仲間に引き入れ、新たな敵を四体に増やした大蜘蛛と精霊二体で拘束し、今度は六体を一度に仲間にした。

 とにかく時間制限があるので、速攻に次ぐ速攻だ。

 俺が一番忙しい。
 まあ踊るのはまとめて一発で済ませるのだが。

 残り十一体は隷属化した蜘蛛十体とグランディアにかからせて、抑え込んで動きを封じた。

 これで敵はもう聖都で暴れられない。

 あとは精霊二体が交互に蜘蛛を拘束して動きを完全に止めさせ、俺が槍攻撃を行い、そして最後にはガンガンと踊って隷属化を行っていた。

 実に忙しい戦いだった。

 これで大蜘蛛との戦闘は終了したのだが、まだ少しだけ時間が余っていたので二十一体の大蜘蛛と一緒に踊ってみた。

 それで何も捕獲できるわけじゃないけど踊りまくった。

 いつの間にか、あちこちの応援に出しておいた俺の眷属が全部集まってきていて、全員集合で踊っていた。

 そしてタイムアップの際には、両手を頭の位置まで上げて広げて、同時に腰を落として両足を曲げて膝を右にぐっと曲げた、妙に芝居のかかった感じのラストポーズはピシっと決まったぜ!

 どこかの芝居小屋で見たような奴だけどね。

 もちろん素敵な、恍惚となった笑顔も忘れない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!

海夏世もみじ
ファンタジー
 旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました  動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。  そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。  しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!  戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!

異世界にクラス転移したら全員ハズレスキルを持たされた

アタラクシア
ファンタジー
 人生で数度もない貴重なイベントである修学旅行。この風鈴高校に通う二年二組の生徒たちも、長い間待ち望んでいた修学旅行に胸を躍らせていた。  はしゃぐバスの中――突然周りが黒く染まり、生徒たちは下へ下へと落下してしまう。  目が覚め、見えた景色は――現実の法則が意味をなさない、まさに『異世界』であった。  クラス全員ハズレスキル!?前代未聞の異世界転移に少年少女らは立ち向かう。 ――根源に至る『四騎士』 ――世界征服を企む『ナイトメア』 ――新世界を作ろうとする『ネビュラ教』  異世界の様々な情勢に振り回されながらも奔走する。目指すは「クラスメイト全員の合流」と「元世界への帰還」。  はたして彼らは全員合流し、元の世界へと帰れるのか。  長くも奇妙な修学旅行が今始まる――。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

食うために軍人になりました。

KBT
ファンタジー
 ヴァランタイン帝国の片田舎ダウスター領に最下階位の平民の次男として生まれたリクト。  しかし、両親は悩んだ。次男であるリクトには成人しても継ぐ土地がない。  このままではこの子の未来は暗いものになってしまうだろう。  そう思った両親は幼少の頃よりリクトにを鍛え上げる事にした。  父は家の蔵にあったボロボロの指南書を元に剣術を、母は露店に売っていた怪しげな魔導書を元に魔法を教えた。    それから10年の時が経ち、リクトは成人となる15歳を迎えた。  両親の危惧した通り、継ぐ土地のないリクトは食い扶持を稼ぐために、地元の領軍に入隊試験を受けると、両親譲りの剣術と魔法のおかげで最下階級の二等兵として無事に入隊する事ができた。  軍と言っても、のどかな田舎の軍。  リクトは退役するまで地元でのんびり過ごそうと考えていたが、入隊2日目の朝に隣領との戦争が勃発してしまう。  おまけに上官から剣の腕を妬まれて、単独任務を任されてしまった。  その任務の最中、リクトは平民に対する貴族の専横を目の当たりにする。  生まれながらの体制に甘える貴族社会に嫌気が差したリクトは軍人として出世して貴族の専横に対抗する力を得ようと立身出世の道を歩むのだった。    剣と魔法のファンタジー世界で軍人という異色作品をお楽しみください。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

処理中です...