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第二章 バルバディア聖教国モンサラント・ダンジョン
2-72 壮絶ダンスタイム
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「姐御達はどこだ」
いた!
各自が神官達を率い、バニッシュが鍛え、また修理した武器の数々で神官達も戦っていた。
だが、あいつらばかりは、さすがの彼らも手を焼いているだろう。
簡単に倒せる相手じゃない。
にもかかわらず、皆怯むことなく戦っている。
「みんな!」
「任しといてー」
「ひゃあ、キモイ奴がいっぱいだわいな」
「標本箱には収まりそうもないわねー」
「氷漬けでどうかしら」
「どこかに埋める?」
俺は一応考えてみたのだが、そんな時間は勿体ない。
俺の結論はこうだ。
「よっしゃ、踊るぜ」
「もう!
言うと思った~!」
「どうせなら、もっと可愛い仲間を増やそうよ」
「そうそう。
こう萌えるような展開とかないの⁉」
「うるせえよ。
可愛い魔物なんて、ぜんぜん出てこないじゃんか!」
俺は速攻で、あいつを呼び出した。
「来い!
モンスパー1」
モンスタースパイダーの略だ。
もうネーミングに拘っているような場合じゃないので名づけは適当だった。
数は増やす予定なので、ナンバリング付きなのだ。
そして現れた俺の眷属になった大蜘蛛モンスパー1が元仲間の大蜘蛛を後ろから襲い、拘束し動きを止めた。
敵は神官や冒険者との戦いで疲弊していたものか、その強烈な拘束を解く事はできなかったようだ。
それでもまだ暴れてやがったが、さっそく脳天に遠慮のない【テールスピン・クラッシュ】を食らわせてやった。
先程と同じスキル構成でルーレットの出目六を獲得し、俺はアタックをかけていった。
この槍は意思のような物を持っているので俺の意思に反応して、暴れて動く蜘蛛の頭を見事に追尾してその真上にズガンと落ちる。
なんのことはない。
槍で脳天に天空からぶち当たるだけである。
ただの脳天きりもみ降下だ。
大蜘蛛には、あれが結構効くみたいなんで。
それに、大神殿付近で派手な火焔魔法を使うなんてできない。
ただでさえ王都は破壊され、今回も痛手を被ったのだ。
せっかく人が金策に協力しまくっているというのに、なんという事だ。
それがこちら側に一番地味に効いている攻撃なんじゃないか?
ここは他にグランディアとフリージア達も奴らの足を止める。
ウインディアは俺の機動補佐に残り、他の二名は苦戦しているところの応援に行った。
他の霊獣や魔物達も全員応援に向かわせた。
みんなはバラバラに戦っているから、どこにいるのかわからない。
きっとこの異常事態を喜んでいるのは先輩くらいのものだろうな。
ああ、先輩があそこにいた。
やっぱり嬉々として戦っているよ。
あの宝箱から出て来た傾奇者スタイルの衣装をお披露目しながら、オリハルコン製のナックルで殴りつけている。
しかも、それで巨大蜘蛛の奴が今一匹ダウンしているし。
もう何もかもが無茶苦茶だ。
あちこちに怪我人がいっぱいだし。
あ、また先輩の相手の蜘蛛が根性で立ち上がってきて、先輩が嬉しそうにしている。
俺は拘束力に長けた精霊二体が止めてくれた奴の脳天にも一発ずつお見舞いして、スペシャルダンスを踊った。
なんというか、超高速で、しかも強烈アピールの奴。
ピシっピシっとポーズを決めるような感じに強烈アピールする方式で、俺の編み出したオリジナルのクイックダンスなのだ!
何しろ、俺は時間制限付きの勇者だからな。
マグナム・ルーレットの出目六の効力が戦闘中に切れると面倒だ。
あれはクールタイムが一時間もあるからな。
そして一発で三体を仲間に引き入れ、新たな敵を四体に増やした大蜘蛛と精霊二体で拘束し、今度は六体を一度に仲間にした。
とにかく時間制限があるので、速攻に次ぐ速攻だ。
俺が一番忙しい。
まあ踊るのはまとめて一発で済ませるのだが。
残り十一体は隷属化した蜘蛛十体とグランディアにかからせて、抑え込んで動きを封じた。
これで敵はもう聖都で暴れられない。
あとは精霊二体が交互に蜘蛛を拘束して動きを完全に止めさせ、俺が槍攻撃を行い、そして最後にはガンガンと踊って隷属化を行っていた。
実に忙しい戦いだった。
これで大蜘蛛との戦闘は終了したのだが、まだ少しだけ時間が余っていたので二十一体の大蜘蛛と一緒に踊ってみた。
それで何も捕獲できるわけじゃないけど踊りまくった。
いつの間にか、あちこちの応援に出しておいた俺の眷属が全部集まってきていて、全員集合で踊っていた。
そしてタイムアップの際には、両手を頭の位置まで上げて広げて、同時に腰を落として両足を曲げて膝を右にぐっと曲げた、妙に芝居のかかった感じのラストポーズはピシっと決まったぜ!
どこかの芝居小屋で見たような奴だけどね。
もちろん素敵な、恍惚となった笑顔も忘れない。
いた!
各自が神官達を率い、バニッシュが鍛え、また修理した武器の数々で神官達も戦っていた。
だが、あいつらばかりは、さすがの彼らも手を焼いているだろう。
簡単に倒せる相手じゃない。
にもかかわらず、皆怯むことなく戦っている。
「みんな!」
「任しといてー」
「ひゃあ、キモイ奴がいっぱいだわいな」
「標本箱には収まりそうもないわねー」
「氷漬けでどうかしら」
「どこかに埋める?」
俺は一応考えてみたのだが、そんな時間は勿体ない。
俺の結論はこうだ。
「よっしゃ、踊るぜ」
「もう!
言うと思った~!」
「どうせなら、もっと可愛い仲間を増やそうよ」
「そうそう。
こう萌えるような展開とかないの⁉」
「うるせえよ。
可愛い魔物なんて、ぜんぜん出てこないじゃんか!」
俺は速攻で、あいつを呼び出した。
「来い!
モンスパー1」
モンスタースパイダーの略だ。
もうネーミングに拘っているような場合じゃないので名づけは適当だった。
数は増やす予定なので、ナンバリング付きなのだ。
そして現れた俺の眷属になった大蜘蛛モンスパー1が元仲間の大蜘蛛を後ろから襲い、拘束し動きを止めた。
敵は神官や冒険者との戦いで疲弊していたものか、その強烈な拘束を解く事はできなかったようだ。
それでもまだ暴れてやがったが、さっそく脳天に遠慮のない【テールスピン・クラッシュ】を食らわせてやった。
先程と同じスキル構成でルーレットの出目六を獲得し、俺はアタックをかけていった。
この槍は意思のような物を持っているので俺の意思に反応して、暴れて動く蜘蛛の頭を見事に追尾してその真上にズガンと落ちる。
なんのことはない。
槍で脳天に天空からぶち当たるだけである。
ただの脳天きりもみ降下だ。
大蜘蛛には、あれが結構効くみたいなんで。
それに、大神殿付近で派手な火焔魔法を使うなんてできない。
ただでさえ王都は破壊され、今回も痛手を被ったのだ。
せっかく人が金策に協力しまくっているというのに、なんという事だ。
それがこちら側に一番地味に効いている攻撃なんじゃないか?
ここは他にグランディアとフリージア達も奴らの足を止める。
ウインディアは俺の機動補佐に残り、他の二名は苦戦しているところの応援に行った。
他の霊獣や魔物達も全員応援に向かわせた。
みんなはバラバラに戦っているから、どこにいるのかわからない。
きっとこの異常事態を喜んでいるのは先輩くらいのものだろうな。
ああ、先輩があそこにいた。
やっぱり嬉々として戦っているよ。
あの宝箱から出て来た傾奇者スタイルの衣装をお披露目しながら、オリハルコン製のナックルで殴りつけている。
しかも、それで巨大蜘蛛の奴が今一匹ダウンしているし。
もう何もかもが無茶苦茶だ。
あちこちに怪我人がいっぱいだし。
あ、また先輩の相手の蜘蛛が根性で立ち上がってきて、先輩が嬉しそうにしている。
俺は拘束力に長けた精霊二体が止めてくれた奴の脳天にも一発ずつお見舞いして、スペシャルダンスを踊った。
なんというか、超高速で、しかも強烈アピールの奴。
ピシっピシっとポーズを決めるような感じに強烈アピールする方式で、俺の編み出したオリジナルのクイックダンスなのだ!
何しろ、俺は時間制限付きの勇者だからな。
マグナム・ルーレットの出目六の効力が戦闘中に切れると面倒だ。
あれはクールタイムが一時間もあるからな。
そして一発で三体を仲間に引き入れ、新たな敵を四体に増やした大蜘蛛と精霊二体で拘束し、今度は六体を一度に仲間にした。
とにかく時間制限があるので、速攻に次ぐ速攻だ。
俺が一番忙しい。
まあ踊るのはまとめて一発で済ませるのだが。
残り十一体は隷属化した蜘蛛十体とグランディアにかからせて、抑え込んで動きを封じた。
これで敵はもう聖都で暴れられない。
あとは精霊二体が交互に蜘蛛を拘束して動きを完全に止めさせ、俺が槍攻撃を行い、そして最後にはガンガンと踊って隷属化を行っていた。
実に忙しい戦いだった。
これで大蜘蛛との戦闘は終了したのだが、まだ少しだけ時間が余っていたので二十一体の大蜘蛛と一緒に踊ってみた。
それで何も捕獲できるわけじゃないけど踊りまくった。
いつの間にか、あちこちの応援に出しておいた俺の眷属が全部集まってきていて、全員集合で踊っていた。
そしてタイムアップの際には、両手を頭の位置まで上げて広げて、同時に腰を落として両足を曲げて膝を右にぐっと曲げた、妙に芝居のかかった感じのラストポーズはピシっと決まったぜ!
どこかの芝居小屋で見たような奴だけどね。
もちろん素敵な、恍惚となった笑顔も忘れない。
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