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第二章 バルバディア聖教国モンサラント・ダンジョン
2-71 萌えないけど燃えています
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俺は、『精霊界のアイドル・グレイテスト・フレイア』様にお願いして一行を温めつつ、聖山を下って行った。
呼吸の調整も、風の精霊『蒼穹のアイドル・ライトリー・ウインディア』様にお願いしておいたので、全員元気が出たようだった。
あの人達って息が苦しくて元気がなかったんだな。
元々、聖山を登るためにかなり無理をしていたのかもしれない。
一応、前後に各二頭の狼を護衛につけ、十四頭の狼キャラバンを編制して、それ以外の子は収納へ退避させた。
他の敵が潜んでいないか、俺自身も感覚を尖らせて充分に注意を払っていたが、そして特に何事もなく無事に七合目に到着した。
あれからずっと建物の入り口あたりでずっと待っていたらしいご両親が、俺達を見ると駈け出してきた。
「ジャニス、ジャニス!」
「よくぞ無事で」
そいて、母親は俺の方に駆け寄って何度も頭を下げながら、それを差し出してくれた。
「ありがとうございます。
ありがとうございます。
あの、これ後金です」
てっきり後金は大金貨五枚だと思っていたのだが、大盤振る舞いに白金貨一枚をくれた。
うわあ、気前がいいなあ。
いや、子供が無事に帰ってきて嬉しかったのだろう。
他の人は警備の人達がやってきて世話をしてくれているようだ。
俺はとりあえず十四頭の狼達を一旦戻した。
だが俺はすぐに、そこにいない奴の事に気付いて首を捻った。
「おかしいな。
リナの奴、まだ戻って来ていませんか?」
「え、ええ。
あのお嬢さんと狼なら、まだ」
「そいつは変だな。
そういや、ジャニス君。
中で何かあったのかな。
というか、連れていかれてからどんな感じになっていたんだい」
「えーと。
よくわからないです。
中には人間が作ったのではないような不思議な感じの檻があって、そこに他の人も放り込まれていて、僕も入れられました。
土が盛り上がって出来たようなトイレみたいな物までありました。
たぶん魔法で作ったのではないでしょうか」
「へえ、すると相手の誘拐犯は、おそらく人間じゃないかもしれないって言う事だなあ」
話を聞く限りでは、かなりサービスのいい幽閉場所のようだった。
人間の可能性も捨てきれない。
普通、魔物が人間のお尻の後始末の心配はしてくれないよな。
食い物とかどうしていたのだろう。
確かに他の人間も痩せこけている感じはしていなかった。
牢屋の先輩方は、一ヶ月も食い物無しでは生きていられまい。
彼は頷いて話を続けた。
「そうなのかもしれません。
何故かトイレの紙も置いてくれてあって、同じく土魔法で作ったような水場から飲み水も出るみたいだし。
いわゆる刑務所みたいなものなのかなあ。
刑務所は見た事ないですけど。
その傍であいつらが見張ってました」
「うーん、よくわからないな。
どうするつもりだったのだろう。
しかもこんな山の中で、たかが九人程度を。
まあいいや。
何にせよ、君達が無事で戻れてよかった」
だが、何か展望台の方で騒いでいる人達がいた。
聖都が見える方角で指を差して騒いでいるようだった。
なんだろう。
だが、俺もすぐに異変に気づいて、慌ててそちらの集団に駆け寄った。
「なんだ、あの煙は!」
それは聖都の大神殿のあたりから幾筋も立ち上っていたのだった。
そしてよく耳を澄ますと、空気が薄く遠いここまでも、微かな聖都の喧騒が届いていた。
きっと現場は地獄の有様なのだろう。
そして、何か黒い巨大な物体が幾つも蠢いている。
あれは、まさか!
「くそ、道理で誰も来ないはずだ。
あっちの方が本格的に襲撃されていたのか。
ウインディア!」
「はいな。飛ぶわよ!」
俺は崖に向かって駆け、大跳躍を見せ、そしてそのまま精霊の風魔法に乗って飛んだ。
むろん、呼吸関係や温度関係は彼女達が面倒を見てくれている。
「くっそ、どうなっているんだ」
あっという間に祈りの塔の屋上に舞い降りた俺は、そこに広がる光景に吃驚した。
「うお、こいつは!」
さっきの奴と同じサイズの大蜘蛛が暴れていたのだ。
さっきの黒い巨大な物の正体はこれか。
大蜘蛛は全部で二十匹ほどか。
こいつはキツイな。
こいうのは怪獣活劇とでもいうのかね。
どこの芝居小屋や劇場で上演するんだよ、こんな物。
呼吸の調整も、風の精霊『蒼穹のアイドル・ライトリー・ウインディア』様にお願いしておいたので、全員元気が出たようだった。
あの人達って息が苦しくて元気がなかったんだな。
元々、聖山を登るためにかなり無理をしていたのかもしれない。
一応、前後に各二頭の狼を護衛につけ、十四頭の狼キャラバンを編制して、それ以外の子は収納へ退避させた。
他の敵が潜んでいないか、俺自身も感覚を尖らせて充分に注意を払っていたが、そして特に何事もなく無事に七合目に到着した。
あれからずっと建物の入り口あたりでずっと待っていたらしいご両親が、俺達を見ると駈け出してきた。
「ジャニス、ジャニス!」
「よくぞ無事で」
そいて、母親は俺の方に駆け寄って何度も頭を下げながら、それを差し出してくれた。
「ありがとうございます。
ありがとうございます。
あの、これ後金です」
てっきり後金は大金貨五枚だと思っていたのだが、大盤振る舞いに白金貨一枚をくれた。
うわあ、気前がいいなあ。
いや、子供が無事に帰ってきて嬉しかったのだろう。
他の人は警備の人達がやってきて世話をしてくれているようだ。
俺はとりあえず十四頭の狼達を一旦戻した。
だが俺はすぐに、そこにいない奴の事に気付いて首を捻った。
「おかしいな。
リナの奴、まだ戻って来ていませんか?」
「え、ええ。
あのお嬢さんと狼なら、まだ」
「そいつは変だな。
そういや、ジャニス君。
中で何かあったのかな。
というか、連れていかれてからどんな感じになっていたんだい」
「えーと。
よくわからないです。
中には人間が作ったのではないような不思議な感じの檻があって、そこに他の人も放り込まれていて、僕も入れられました。
土が盛り上がって出来たようなトイレみたいな物までありました。
たぶん魔法で作ったのではないでしょうか」
「へえ、すると相手の誘拐犯は、おそらく人間じゃないかもしれないって言う事だなあ」
話を聞く限りでは、かなりサービスのいい幽閉場所のようだった。
人間の可能性も捨てきれない。
普通、魔物が人間のお尻の後始末の心配はしてくれないよな。
食い物とかどうしていたのだろう。
確かに他の人間も痩せこけている感じはしていなかった。
牢屋の先輩方は、一ヶ月も食い物無しでは生きていられまい。
彼は頷いて話を続けた。
「そうなのかもしれません。
何故かトイレの紙も置いてくれてあって、同じく土魔法で作ったような水場から飲み水も出るみたいだし。
いわゆる刑務所みたいなものなのかなあ。
刑務所は見た事ないですけど。
その傍であいつらが見張ってました」
「うーん、よくわからないな。
どうするつもりだったのだろう。
しかもこんな山の中で、たかが九人程度を。
まあいいや。
何にせよ、君達が無事で戻れてよかった」
だが、何か展望台の方で騒いでいる人達がいた。
聖都が見える方角で指を差して騒いでいるようだった。
なんだろう。
だが、俺もすぐに異変に気づいて、慌ててそちらの集団に駆け寄った。
「なんだ、あの煙は!」
それは聖都の大神殿のあたりから幾筋も立ち上っていたのだった。
そしてよく耳を澄ますと、空気が薄く遠いここまでも、微かな聖都の喧騒が届いていた。
きっと現場は地獄の有様なのだろう。
そして、何か黒い巨大な物体が幾つも蠢いている。
あれは、まさか!
「くそ、道理で誰も来ないはずだ。
あっちの方が本格的に襲撃されていたのか。
ウインディア!」
「はいな。飛ぶわよ!」
俺は崖に向かって駆け、大跳躍を見せ、そしてそのまま精霊の風魔法に乗って飛んだ。
むろん、呼吸関係や温度関係は彼女達が面倒を見てくれている。
「くっそ、どうなっているんだ」
あっという間に祈りの塔の屋上に舞い降りた俺は、そこに広がる光景に吃驚した。
「うお、こいつは!」
さっきの奴と同じサイズの大蜘蛛が暴れていたのだ。
さっきの黒い巨大な物の正体はこれか。
大蜘蛛は全部で二十匹ほどか。
こいつはキツイな。
こいうのは怪獣活劇とでもいうのかね。
どこの芝居小屋や劇場で上演するんだよ、こんな物。
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