外れスキル【レバレッジたったの1.0】を進化させ、俺はエルフ聖女と無双する ―冒険者パーティ追放勇者、バージョンアップの成り上がり―

緋色優希

文字の大きさ
上 下
15 / 169
第一章 外れスキル【レバレッジたったの1.0】

1-15 【レバレッジなんとか3.0】

しおりを挟む
 俺達は彼らと地上へ戻った。

 彼らは自分達が倒した七十体のオークの魔石も俺達に提供してくれた。

 そして怪我人二人は上級冒険者のメンバーが担いでくれたのだ。

 まだ若そうな女性でも楽々人間一人を肩に担いでいる。
 これが上級冒険者の力なのだ。

 彼らは四人パーティで、マネージャーがエルフのセラシア、サブマネージャーはドワーフのバニッシュ、そして熊っぽい感じの獣人ビーストベアーのマロウス、人族の魔法剣士らしい若い女性のエラヴィスの四名のパーティだ。

 さっき魔法で怪我人の治療をしてくれていたのはエラヴィスだ。
 魔法剣士だとは思わなかった。

 回復魔法を使っていたので、てっきり神官系の人間なのかと思ったのだ。
 やはり魔法系の力を持った人間は凄い能力の持ち主だ。

 入り口でオークの魔石は換金してやって、貰った銀貨六百三十五枚は全部、あいつらにくれてやった。

「え、君も怪我をしているのに、こんなにもらえない。
 それにオークは殆ど君が倒したのに」

「いいから持っていけよ。
 見た感じでは、まだ治療に随分と金がかかりそうだ。
 おまけに装備も破損しまくっているだろう。

 しばらく仕事もできそうにないから四人分の生活費もいるぞ。
 それだけあっても足りるのかどうか怪しいもんだぜ。

 俺の方はほんの掠り傷だし、回復魔法をかけてもらったから、もう治ったよ。
 俺はまたオークでも狩ればいいさ」

 まったく、碌に金もないくせいに俺もよくやるよ。

「あ、ありがとう」

「ああ、お前らはあまり無茶をするなよ。
 ダンジョンは甘くない。
 無理をすると、また今日みたいな事になる。

 俺は少し名の知れた上級者パーティにいたが、それでも経営は甘くなかったんだからな。

 とりあえず無事な二人でスライムでも狩れよ。
 あれはなかなかコスパがいいぞ」

 二人は何度も頭を下げて金を受け取ってくれ、仲間の元へ去っていった。

 怪我人の二人は今ギルドの治療を受けている。
 ギルドだって無料ではないが、街の医者よりは遥かに安いし回復魔法持ちの職員も揃えている。

 それでもあの金では、一人が三か月入院するだけで殆ど残らない程度の金でしかない。

 俺の実家の半年分の生活費だが、治療費はそれだけ高い。

 そして協会なら、もし足りなくても借金という形で治療費を持ってもくれるはずだ。

 借金を返し切れずに、返済のため無理して鬼籍に入ってしまう奴もいるのだが、まあそこは互助会という事で仕方があるまい。

 俺達新人は互助会の会費も免除されている。

 協会に会費を払うのは、余裕の出て来た中級冒険者になってからなのだ。

 ああ、早く会費を払える身の上になってみたいぜ。

 ふとみれば、セラシアが後ろから俺を見ているのに気が付く。

「どうしました?」

「いや、少年。
 なかなか男前に頑張るじゃないかと思ってな」

「ああ、今の俺なら本当にあれくらいならすぐ稼げますから。

 今日だって一人なら逃げきれていました。
 いやあ、オークがあんなに湧いてくるものだったとは知らなかったなあ。

 まだまだ知らない事が多いです。
 勉強しないと生き残れない」

「怪我の治りが早いのだな。
 回復魔法はかけたのだが、もう殆ど痕も残っていないね。
 信じられないくらいの回復能力だ」

「ああ、俺って傷の治りが早いんですよ」

 怪我の場合は「回復力が」三倍なのだった。
 傷の回復時間がとかじゃない。

 これが実は凄い事で、免疫を強くするような薬草を使って回復力にちょっとイロをつけてやるだけでも、物凄く治りが早いように感じるのだ。

 それでも、せいぜい回復力が1・5倍といったあたりじゃないのだろうか。
 回復力三倍は本当に凄い数字なのだ。

 このまま行くと、もっとバージョンが進めば凄まじい回復力やトカゲの尻尾のような再生力が手に入るかもしれないな。

「そうか、頑張れ。
【レバレッジなんとか3.0】君」

 彼女は去り際に俺の肩にそのたおやかな手を置き、そう耳元で息を吹きかけるように艶めかしく囁いていった。

 驚愕する俺に悪戯な笑みとウインクを一つ残して。

「やれやれ、エルフっていうのは不思議な人達なんだなあ。

 普通は人のスキルなんて見えやしないものなんだが。

 まあスキルなんて各協会が宣伝のために公開しちまっているくらいだから、どうでもいいんだけどな」

 今日は疲れたし、少し早いがもう宿に泊まる事にした。
 昨日よりはもっとマシな普通の宿に。

 そういや自分が先に倒していたオークの、銀貨二十枚分の魔石を換金してくるのを忘れた。

 まだ金は残っていたからいいけど。

 さすがに、あの金をサラシで巻いておかないと、おちおちと安心して寝てもいられないような木賃宿はもう御免だな。

 今日は本当に疲れたので、心のバランスを取るために、銀貨一枚と大銅貨五枚の少しいい食事を奮発してから、【レバレッジなんとか3.0】のスキルについて視ていた。

 基本機能にまた新しい物があった。

【レバレッジ対象拡大】

 こいつは自分だけでなく、他人の能力も派生スキルによってアップできるようになったようだ。

 対象は選べるらしい。
 そりゃそうだよな。
 敵も味方もお構いなしだったら、むしろ無い方がマシな機能になってしまう。

 どうせなら、あのオークの大群に囲まれていた時にこの力があればなあ。

 だがそれは今の俺にとっては皮肉な能力だった。
 現状ではソロ冒険者の俺には不要な物だったのだから。

「ま、こいつがあれば有用だろうから、そのうちにどこかのパーティが受け入れてくれるかもな」

 とりあえず、あの外れスキルの噂が薄まって、俺自身が十分に強い力を発揮できるようになったらという仮定での話なのだが。

 これでも三人力ってところだろうから、十分心強いけどな。

 元々、スパルタに鍛えられていただけあって、俺は自力が高いのだ。

 スキルのバージョンが上がれば、かなりやれると思う。
 あんな無限のオーク地獄なんかじゃなければな。

 そして肝心の派生スキルの方なのだが、当然のように特殊技能スキルを選択した。

 今日はあれのお蔭で命拾いをしたのだし。
 まだ何があるかわかったものじゃない。

 ありきたりな攻撃能力なんかなら後でもいい。
 そして手に入れたものは【マグナム・ルーレット】という派生スキルだった。

 こいつは、どうやら追加ブーストの能力のようだった。
 能力を二倍(マグナム)から六倍まで上げてくれるようだ。

 今なら最大で十八倍まで上がる勘定になる。
 一回使うと十分で効果が切れる。

 これは強引に本来のレバレッジを捻じ曲げて使用するので体に負担をかけるため、クールタイムが存在し、それは倍数により様々だ。

 二倍ならば五分、三倍ならば十分、四倍ならば二十分、五倍なら三十分、六倍ならば一時間は使えない。

 嬉しい事に、あの厄介なサイコロと違ってクールタイム以外のペナルティはないようだ。

 おまけに特殊スキルを使っている時でも、それと平行して使用が可能だ。

 そして他の人間に対しては同時に何人でも使える。

 強いメンバーと一緒に戦うのなら、こいつでかなりいけそうな気がするな。

 今もこのマグナム・ルーレットが自己回復能力をブーストしてくれたので、俺が本日負った怪我は疲労も含めて跡形もなくなってしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!

海夏世もみじ
ファンタジー
 旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました  動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。  そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。  しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!  戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!

異世界にクラス転移したら全員ハズレスキルを持たされた

アタラクシア
ファンタジー
 人生で数度もない貴重なイベントである修学旅行。この風鈴高校に通う二年二組の生徒たちも、長い間待ち望んでいた修学旅行に胸を躍らせていた。  はしゃぐバスの中――突然周りが黒く染まり、生徒たちは下へ下へと落下してしまう。  目が覚め、見えた景色は――現実の法則が意味をなさない、まさに『異世界』であった。  クラス全員ハズレスキル!?前代未聞の異世界転移に少年少女らは立ち向かう。 ――根源に至る『四騎士』 ――世界征服を企む『ナイトメア』 ――新世界を作ろうとする『ネビュラ教』  異世界の様々な情勢に振り回されながらも奔走する。目指すは「クラスメイト全員の合流」と「元世界への帰還」。  はたして彼らは全員合流し、元の世界へと帰れるのか。  長くも奇妙な修学旅行が今始まる――。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

処理中です...