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26 伯爵家の護衛
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クララの部屋の前には二人のメイドがいた。メイドが悲鳴をあげるのを無視をして突き飛ばすがその扉には鎖がされて鍵前がつけられていた。
『ドンドン! ドンドンドンドン!』
「クララ! クララ! そこにいるの? クララ!」
扉を叩きながら叫んでもクララの声は聞こえてこない。
そうこうしているうちに先程の執事らしき者が護衛を二人連れてきた。僕はちらりとそちらを見たが扉を叩きクララを呼び続けた。
「おいっ!」
連れられてきた護衛が僕を止めようと声を上げるとすぐにそのうちの一人が僕を扉から引き剥がす。僕はそれを振り解くように暴れたが大人の屈強な男に勝てるわけもなく床に抑えられた。
『よっし! よくぞやってくれたっ!
僕は公爵家の人間だと理解もしていないようだぞ!』
爵位を考えればこのようなことはやっていいことではない。伯爵家に雇用されている護衛がまさか王弟公爵家より上のわけがない!
僕はそれを利用することにした。首をできるだけ持ち上げて僕を押さえつけていない方の護衛を睨む。その護衛は僕の顔を見て驚いた表情になった。チャンスだ。
「僕の父上は王弟だ。僕が父上にお願いすれば国王陛下まで話が通るのをわかっているのだな?」
僕はまだ声変わりはしていないけどできるだけ低い声でそう言った。
「もう一度・だ・け・聞く。国王陛下にも報告される覚悟で僕を止めているんだな? 僕へのこの暴力がまかり通ると思っているのだな?」
本当は父上は『他家には極力関知してはいけない』と常々言う人だ。王弟家であり公爵家だからこそその発言があまりにも効力を持ちすぎるゆえのお考えだ。きっと僕がお願いしてもマクナイト伯爵様に一言いう程度であろう。
『クララを助けるためならいくらでも叱られている!』
だがハッタリは効いた。
護衛が手を離し僕と目を合わせた護衛が僕を立たせてホコリを払う。
「お怪我はありませんか?」
立たせた方の護衛が無表情に質問してくるが顔を青くしている押さえつけた方の護衛はどう見ても若い。
「ここで脱いで青あざを確認したいところだけど今は我慢してあげる」
若い護衛が肩を揺らして動揺しているのを横目に僕は執事を睨みつけた。
「クララを監禁しているのか?」
僕は先程よりさらに低い声でできるだけ凄みのあるように言った。
「ち、違います……」
執事らしき者が下を向いたまま首をぷるぷると振っている。
家を守ることが執事の務めだ。伯爵家の執事であるならば僕のこの横暴な行いがまかり通らないこともある。体を張って止める執事もいるだろう。それは『伯爵家を守る』という大義で時には必要なものだ。
公爵家の者を止められないことと伯爵家を守ること。この二つの矛盾を上手く調整することが優秀な執事の腕である。
つまり執事教育をまともに受けていない使用人だいうことだろう。執事ではなく執事らしき者、これならば説伏せられるかもしれない。
「ならこの鎖と鍵は何だ? マクナイト伯爵様はご存知なのか?」
更に上から口調で脅してみる。
「い、いえ……。それは…… そのぉ……」
しどろもどろになる執事のような者は子供の僕の脅しに震えている。
僕はその者の顔をじっくりと見たが何度見てもその顔に使用人としても見覚えがなかった。
「僕は何度もここに来ているが君のこと知らないのだけど? 今の執事は君なのかい? 前の執事はどうしたの?」
執事のような者は肩を揺らして完全に動揺していた。
『これも伯爵様に後で確認しなければならないな。
だが、それより今はクララの救出だ』
僕は打って変わって優しく子供らしく声を出した。
「とにかく。鍵をすぐに開けてよ。クララが無事ならそれでいいんだよ」
執事のような者は顔をあげてポケットを探り出す。
「やめなさいっ!」
マクナイト伯爵夫人は豪華なスカートを捲し上げて息を切らせて走ってくる。
『ドンドン! ドンドンドンドン!』
「クララ! クララ! そこにいるの? クララ!」
扉を叩きながら叫んでもクララの声は聞こえてこない。
そうこうしているうちに先程の執事らしき者が護衛を二人連れてきた。僕はちらりとそちらを見たが扉を叩きクララを呼び続けた。
「おいっ!」
連れられてきた護衛が僕を止めようと声を上げるとすぐにそのうちの一人が僕を扉から引き剥がす。僕はそれを振り解くように暴れたが大人の屈強な男に勝てるわけもなく床に抑えられた。
『よっし! よくぞやってくれたっ!
僕は公爵家の人間だと理解もしていないようだぞ!』
爵位を考えればこのようなことはやっていいことではない。伯爵家に雇用されている護衛がまさか王弟公爵家より上のわけがない!
僕はそれを利用することにした。首をできるだけ持ち上げて僕を押さえつけていない方の護衛を睨む。その護衛は僕の顔を見て驚いた表情になった。チャンスだ。
「僕の父上は王弟だ。僕が父上にお願いすれば国王陛下まで話が通るのをわかっているのだな?」
僕はまだ声変わりはしていないけどできるだけ低い声でそう言った。
「もう一度・だ・け・聞く。国王陛下にも報告される覚悟で僕を止めているんだな? 僕へのこの暴力がまかり通ると思っているのだな?」
本当は父上は『他家には極力関知してはいけない』と常々言う人だ。王弟家であり公爵家だからこそその発言があまりにも効力を持ちすぎるゆえのお考えだ。きっと僕がお願いしてもマクナイト伯爵様に一言いう程度であろう。
『クララを助けるためならいくらでも叱られている!』
だがハッタリは効いた。
護衛が手を離し僕と目を合わせた護衛が僕を立たせてホコリを払う。
「お怪我はありませんか?」
立たせた方の護衛が無表情に質問してくるが顔を青くしている押さえつけた方の護衛はどう見ても若い。
「ここで脱いで青あざを確認したいところだけど今は我慢してあげる」
若い護衛が肩を揺らして動揺しているのを横目に僕は執事を睨みつけた。
「クララを監禁しているのか?」
僕は先程よりさらに低い声でできるだけ凄みのあるように言った。
「ち、違います……」
執事らしき者が下を向いたまま首をぷるぷると振っている。
家を守ることが執事の務めだ。伯爵家の執事であるならば僕のこの横暴な行いがまかり通らないこともある。体を張って止める執事もいるだろう。それは『伯爵家を守る』という大義で時には必要なものだ。
公爵家の者を止められないことと伯爵家を守ること。この二つの矛盾を上手く調整することが優秀な執事の腕である。
つまり執事教育をまともに受けていない使用人だいうことだろう。執事ではなく執事らしき者、これならば説伏せられるかもしれない。
「ならこの鎖と鍵は何だ? マクナイト伯爵様はご存知なのか?」
更に上から口調で脅してみる。
「い、いえ……。それは…… そのぉ……」
しどろもどろになる執事のような者は子供の僕の脅しに震えている。
僕はその者の顔をじっくりと見たが何度見てもその顔に使用人としても見覚えがなかった。
「僕は何度もここに来ているが君のこと知らないのだけど? 今の執事は君なのかい? 前の執事はどうしたの?」
執事のような者は肩を揺らして完全に動揺していた。
『これも伯爵様に後で確認しなければならないな。
だが、それより今はクララの救出だ』
僕は打って変わって優しく子供らしく声を出した。
「とにかく。鍵をすぐに開けてよ。クララが無事ならそれでいいんだよ」
執事のような者は顔をあげてポケットを探り出す。
「やめなさいっ!」
マクナイト伯爵夫人は豪華なスカートを捲し上げて息を切らせて走ってくる。
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