皆まとめて婚約破棄!? 男を虜にする、毒の花の秘密を暴け! ~見た目だけは可憐な毒花に、婚約者を奪われた令嬢たちは……~

飛鳥井 真理

文字の大きさ
93 / 138

第93話 恋バナ

しおりを挟む
 

 それからシルヴィアーナは、右側に座っているルイーザをチラリと流し見た。

 いよいよ本題である。


「ですが……わたくし、今宵は他にもひとつ、大変驚いたことがございましたの」

「……まぁ、何かしら?」

 美貌の友人からの探るような流し目を受けて、エメラルドの瞳をぱちくりと瞬かせるルイーザ。

 気づかない振りをしながら口元を扇で隠し、可愛らしく小首を傾げてみせた。

「もう、ルイーザ様ったら、おとぼけになられて」

 そんな友人の態度に、子供っぽくむくれて見せるシルヴィアーナ。

 彼女がこんな風に砕けた姿をさらすのは、信頼する者たちの前でだけ……。

 妖艶で大人びた公爵令嬢しか知らない人がみたら、さぞやびっくりするだろう。



 ここのところ、まるで天災のように周囲を巻き込み引っ掻き回すサリーナのせいで、緊迫した状態を強いられていた令嬢達。

 シルヴィアーナに限らず、上手く笑えない日々が続いていた。

 だからこそ、久しぶりに明るさの戻ってきた彼女の、いつもながらのギャップにほっこりと場が和む。



 一瞬で場の空気を変えた彼女はといえば、ルイーザから話を引き出そうとズイッと身をのりだしていた。

 ヤル気満々である。

「貴方様だけはもっと、別の事で驚かれたのではありませんこと?」

 ズバリと切り込まれ、ルイーザが一瞬、答えるのを躊躇した。

 すると、すかさずダフネが口を挟んだ。


「あらあら、そうでしたわ。とっても素敵なことがありましたわよねぇ、皆様。これは聞かずにはいられませんことよ」

 彼女も面白そうな話題に乗っかることにしたようである。

 キラキラした瞳をルイーザに向けると、嬉々として問いかけた。

「わたくしも、シルヴィアーナ様と同じですの。はしたなくも好奇心が押さえきれませんことよっ。剣聖様との事、教えてくださいまし!」

「まぁ、ダフネ様ったら……」

 普段は冷静沈着な彼女にまでグイグイこられて、タジタジになるルイーザ。



 目を白黒させている彼女に構わず、求婚の場面を思い出してうっとりとしながらアンジュリーナが続けた。

「素敵でしたわねぇ。まるで、オペラのワンシーンを見ているようでしたわっ」

「ええ、ええっ。胸がキュンとしましたわよね、アンジュリーナ様!」

「分かりますわ、ダフネ様!」


 親しい友人の恋バナにワクワクする気持ちを押さえず、声が弾む。

 こんなおいしい話、じっくりと聞かない訳にはいかないだろう。

 政略結婚が当たり前のハワード王国では高位貴族になる程、この手の恋バナは珍しいのだから。


 三人の令嬢達の心が、燃え上がった瞬間だった。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

「身分が違う」って言ったのはそっちでしょ?今さら泣いても遅いです

ほーみ
恋愛
 「お前のような平民と、未来を共にできるわけがない」  その言葉を最後に、彼は私を冷たく突き放した。  ──王都の学園で、私は彼と出会った。  彼の名はレオン・ハイゼル。王国の名門貴族家の嫡男であり、次期宰相候補とまで呼ばれる才子。  貧しい出自ながら奨学生として入学した私・リリアは、最初こそ彼に軽んじられていた。けれど成績で彼を追い抜き、共に課題をこなすうちに、いつしか惹かれ合うようになったのだ。

【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

私を裁いたその口で、今さら赦しを乞うのですか?

榛乃
恋愛
「貴様には、王都からの追放を命ずる」 “偽物の聖女”と断じられ、神の声を騙った“魔女”として断罪されたリディア。 地位も居場所も、婚約者さえも奪われ、更には信じていた神にすら見放された彼女に、人々は罵声と憎悪を浴びせる。 終わりのない逃避の果て、彼女は廃墟同然と化した礼拝堂へ辿り着く。 そこにいたのは、嘗て病から自分を救ってくれた、主神・ルシエルだった。 けれど再会した彼は、リディアを冷たく突き放す。 「“本物の聖女”なら、神に無条件で溺愛されるとでも思っていたのか」 全てを失った聖女と、過去に傷を抱えた神。 すれ違い、衝突しながらも、やがて少しずつ心を通わせていく―― これは、哀しみの果てに辿り着いたふたりが、やさしい愛に救われるまでの物語。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

処理中です...