異世界に召喚されたけど間違いだからって棄てられました

ピコっぴ

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Ⅱ.新生活・自立と成長と初恋

53.妖精王と狼犬②

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 カインハウザー様も持っている、第三の眼とも言える、精霊や魔道の軌跡などを視る事の出来る能力スキルを、精霊眼と言うらしい。

 あの狼犬シーグも、精霊眼を持っていて、しかも彼自身、風と地の精霊の加護を受けているらしい。
 だから、闇落ちを斃しても感染しなかったのね。
 きっと、精霊がバリアみたいになってたんだわ。

 大神殿の地下の泉で禊ぎをする時に、羽衣がフッと消えたのは、どこかに飛んでいったとか、カバンいたんだバックルの金属部分の錆びに触れて消滅したのでもなく、私に憑依する事で潜み、姿を消していたのだという。
《神気もすり減って変質しかけテルシ、よどんだ空気はけがれを呼び込みやすそうダシ、お金や、オノレの利権ばかり気にスル信者達を守護する事に、モ~飽き飽きシチャッテ、逃げ出すいい機会だったノヨネ》

 妖精って、羽衣になったり、幽霊みたいに憑依できるのね。凄いなぁ。と、思ったら、サヴィアみたいに胸を張り反っくり返るようにのたまった。

《誰でも出来る訳じゃないワヨ。ワタシは、たくさん生きてきて、たくさん結婚したから色んなチカラを持ってるノヨ》

 結婚したら、能力を授かるの? 妖精って、その生態は謎に包まれてるなぁ……


 * * * * *


 陽も落ちて、定例会議も済み、寛ぐ前のカインハウザー様達と少し遅めのお夕飯をいただく間も、女王さまは私の隣の席に陣取り、さっき食べたばかりなのに、蜂蜜がたっぷりかかった花蕾ブロッコリをモシモシ食べている。

《カインハウザー ……えっと、セルティックだっけ? ワタシ、シオリは勿論のコト、アンタの事も気に入ってるのヨ》
「それはどうも。女王さまのお気に召す食事を用意出来ればいいのですが」
 クックッ 喉の奥で笑いながら返す。

《アンタの畑の野菜もいい艶してるケド、やっぱりワタシは花が好きなのヨネ。日時計のそばの、光の精霊がいっぱい祝福してる花壇、アソコの花を、つぼみのままシオリのブラウニーの蜂蜜で漬けて、瓶詰めをつくっておいてくれたら、ソレを毎日もらうワ》

 光の精霊の祝福を受け、光の霊気とマナと、花咲く直前の栄養がたっぷり含んだところを、蜜漬けで養分を逃がさずに丸ごと食べたいのだとか。

「カインハウザー様の許可さえいただけたら、私が毎日、少しづつ摘んで、蜜づけをつくります」
「もちろん構わないよ。あそこの花の妖精達とも、シオリなら仲よくやれるだろう」

 以前、貴族ではないと仰られてたけれど、とても上品に、音を立てずにカトラリーを使い、クズを散らかさずに食事を摂れるカインハウザー様。
 機能性を優先されたデザインではあるけれど上質な生地の服の印象も相まって、初見の人が見れば、貴族の若君に見えるだろう。

《近々、花畑のそばの小屋で、シオリのお城を作るんデショ? もちろん、守護してるんだから、ワタシも一緒に棲んでいいのヨネ?》
「構わないよ。シオリのお城って?」
《男だって自立したら、自分の城と賞して、過ごしやすい空間を整えるデショ? コドモは秘密基地をつくりたがるケド。ソレと一緒ヨ》
 出来れば、お花や生き物の棲みやすい空間にしてヨネ。女王さまはウキウキである。

《とにかく、あの山の上の神殿は居心地悪くて、今回シオリの守護をしなくても、近いうちに逃げ出してたワネ》

「そんなに?」
 後でカインハウザー様が耳打ちしてくれたけど、妖精の飽きっぽい気紛れな性格もあるのではないかという。
《ワタシは、結婚を繰り返して大きくなったから、多少の穢れは追い払えるし、この高貴で光輝なワタシならではのオーラに、弱っちい魔獣どもは寄ってこないケド、それでもあの閉鎖空間はヨクナイワ》

 神殿と言うからには、神気に満たされた神聖な場所だと思ってたけれど、女王さまの言うには、神気を逃さまいとして壁だらけの閉鎖的な空間にしてしまったから、霊気も空気も澱んで、よくないのだという。

「まあ、たいていの神殿は、高い天井と太い柱で、風通しよくするものだけどね。あそこは特別だよ」

《ワタシのしとねは、花びらの布団に小動物の枕がいいケド、贅沢は言わないワ。シオリのお城が完成するまでは、シオリに憑依しているワネ》

 充分、注文が多い気もするけど、無理難題って程でもないので、心のメモ帳に書き込んでおく。
「小動物の枕って? 毛皮が欲しいの?」

《恐ろしいワネ。ワタシのために態々わざわざ命を狩らなくても、リスや猫、犬なんかが丸まって、ワタシの枕になってくれればいいノヨ》

 生き物の温かみと、生命力を感じながら、鼓動を子守歌に眠るのが好きなのだという。

「ちょっと、わかるかも……」
《デショ? あの犬でもいいワヨ》
「あの犬?」

 カインハウザー様が食いついてきたので、強引に話を変える。

「カインハウザー様。女王さまのご希望を整えるためにも、明日からでも、花壇のお花を分けてもらいますね。小屋の方は、いつから手を入れ始めていいですか?」



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次回、Ⅱ.新生活・自立と成長と初恋

 54.妖精王と狼犬③


 
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