150 / 263
小さな嵐の吹くところ
47.埒もない考えにはまり込む
しおりを挟むおはようございます。
昨日更新分の46話が、幾つかの、予測変換のままに送り仮名や助詞の重複など書き手として恥ずかしい、見苦しい物をお見せして申し訳ありませんでした。
誤字報告機能がアルファポリスにもあったなら、大変なことになっていたでしょう😓
該当箇所の修正と、数ヵ所、少しでも読み易いようにと文面を手直ししました。
尚、内容に変更はありません。
❈❈❈❈❈❈❈
オルギュストと婚約前の、まだ小さくて愛くるしい頃のシスティアーナが、絵本に出て来るような『王子さま』に拘りがあったのはエルネストも覚えている。
同様に、白馬に乗ったマントを翻す騎士に憧れていたのも知っているし、次男である自分が、領地に益のある商人や文官ではなくあえて騎士を目指したのも、システィアーナが『きらきら王子さま』のような颯爽とした『白馬の騎士』がかっこよくて好きだと言っていたからだ。
だからこそ、ストンと落ちた。
アレクサンドルが髪を大切に手入れしてまで伸ばしているのは、例え自覚がなく無意識だったとしても、システィアーナの発言が影響しているのだと。
──自分もそうだから
どんなに時間が取れなくても、疲れていても眠くても、いつでも清潔感とサラサラで艶のある髪質を保つように努めていたのは、年頃の格好つけでも見学会で群がる令嬢達にモテたいからでもない。
ただただ、システィアーナの憧れの『王子さま』に近い容姿を維持したいがためだ。
自らも線引きをして他人に懐に踏み込ませないようにしているアレクサンドルにとっても、下心もなく屈託なく『大好き』と言われた事は、特別な出来事であったに違いない。
頰に朱がさすということは、多少なりとも思い当たり自覚したということ。
更に思い当たってしまったのが、今まで王太子でありながら、妃を迎えず婚約者も決めずに来たのは、システィアーナの存在が関係しているのではないのか?
エスタヴィオがアレクサンドルと同じ二十歳の時にはアレクサンドルは二歳、すぐにフレックも生まれる年だ。
誰もそんな事は言わないが、一度考えてしまったことはエルネストの中でどんどん膨らみ、正解のような気がしてならない。
だが、それを口にして確かめる勇気もない。
もし違っていたら失礼な考えをしてしまった事になるし、自覚していなかったのに意識させてしまうかもしれない。
どんどん怖い考えにはまり込んでしまう。
ユーヴェルフィオがアレクサンドルに、エルネストをシスティアーナの次の婚約者に推してくれと頼みに行った時、エスタヴィオの許可が降りないと言われたのは、すでにそう──システィアーナをアレクサンドルに与える事が決まっていたからなのではないのか?
考えれば考えるほどそうである気がして、眩暈と動悸が激しくなり、気分が悪くなってきた。
そんな親友エルネストの様子が心配であるし、あまり見ない動揺している兄と揶揄いたい弟の間で、どちらの気持ちも解るだけに発言を控えざるを得ないフレキシヴァルト。
また、兄の変化に微笑ましく思いつつも、エルネストの苦しそうな様子に胸が痛むユーフェミアは、この場を逃げ出す事を選択した。
「殿方の難しい政治の話を聴いていても面白くないでしょう? どうでしょう、マリアンナ殿下。外の薔薇園の四阿で女同士、仕切り直しをしませんか?」
渋々ながらもマリアンナが了承すると、ほっとため息を漏らす。
ユーフェミアの意図を正しく汲み取ったフレックが助け船を出す。
「女性ばかりで外にやるのはいけないね──アスヴェル、エルネスト。ここは他の騎士も居るから構わないよ、レディ達について行きなさい」
ついでに、壁際に控えていた侍女やメイド達に命じて、四阿に茶席を用意させる。
内心、兄達やユーンフェイルの会話が気になるが、後ろ髪を引かれつつもユーフェミアは、マリアンナとアルメルティア、システィアーナとアナファリテをも伴って、サンルームから庭園へと出た。
0
お気に入りに追加
5,596
あなたにおすすめの小説
愛されなかった私が転生して公爵家のお父様に愛されました
上野佐栁
ファンタジー
前世では、愛されることなく死を迎える主人公。実の父親、皇帝陛下を殺害未遂の濡れ衣を着せられ死んでしまう。死を迎え、これで人生が終わりかと思ったら公爵家に転生をしてしまった主人公。前世で愛を知らずに育ったために人を信頼する事が出来なくなってしまい。しばらくは距離を置くが、だんだんと愛を受け入れるお話。
男爵令嬢が『無能』だなんて一体誰か言ったのか。 〜誰も無視できない小国を作りましょう。〜
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「たかが一男爵家の分際で、一々口を挟むなよ?」
そんな言葉を皮切りに、王太子殿下から色々と言われました。
曰く、「我が家は王族の温情で、辛うじて貴族をやれている」のだとか。
当然の事を言っただけだと思いますが、どうやら『でしゃばるな』という事らしいです。
そうですか。
ならばそのような温情、賜らなくとも結構ですよ?
私達、『領』から『国』になりますね?
これは、そんな感じで始まった異世界領地改革……ならぬ、建国&急成長物語。
※現在、3日に一回更新です。
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
婚約破棄された公爵令嬢は虐げられた国から出ていくことにしました~国から追い出されたのでよその国で竜騎士を目指します~
ヒンメル
ファンタジー
マグナス王国の公爵令嬢マチルダ・スチュアートは他国出身の母の容姿そっくりなためかこの国でうとまれ一人浮いた存在だった。
そんなマチルダが王家主催の夜会にて婚約者である王太子から婚約破棄を告げられ、国外退去を命じられる。
自分と同じ容姿を持つ者のいるであろう国に行けば、目立つこともなく、穏やかに暮らせるのではないかと思うのだった。
マチルダの母の祖国ドラガニアを目指す旅が今始まる――
※文章を書く練習をしています。誤字脱字や表現のおかしい所などがあったら優しく教えてやってください。
※第二章まで完結してます。現在、最終章について考え中です(第二章が考えていた話から離れてしまいました(^_^;))
書くスピードが亀より遅いので、お待たせしてすみませんm(__)m
※小説家になろう様にも投稿しています。
家族と婚約者に冷遇された令嬢は……でした
桜月雪兎
ファンタジー
アバント伯爵家の次女エリアンティーヌは伯爵の亡き第一夫人マリリンの一人娘。
彼女は第二夫人や義姉から嫌われており、父親からも疎まれており、実母についていた侍女や従者に義弟のフォルクス以外には冷たくされ、冷遇されている。
そんな中で婚約者である第一王子のバラモースに婚約破棄をされ、後釜に義姉が入ることになり、冤罪をかけられそうになる。
そこでエリアンティーヌの素性や両国の盟約の事が表に出たがエリアンティーヌは自身を蔑ろにしてきたフォルクス以外のアバント伯爵家に何の感情もなく、実母の実家に向かうことを決意する。
すると、予想外な事態に発展していった。
*作者都合のご都合主義な所がありますが、暖かく見ていただければと思います。
【本編完結】はい、かしこまりました。婚約破棄了承いたします。
はゆりか
恋愛
「お前との婚約は破棄させもらう」
「破棄…ですか?マルク様が望んだ婚約だったと思いますが?」
「お前のその人形の様な態度は懲り懲りだ。俺は真実の愛に目覚めたのだ。だからこの婚約は無かったことにする」
「ああ…なるほど。わかりました」
皆が賑わう昼食時の学食。
私、カロリーナ・ミスドナはこの国の第2王子で婚約者のマルク様から婚約破棄を言い渡された。
マルク様は自分のやっている事に酔っているみたいですが、貴方がこれから経験する未来は地獄ですよ。
全くこの人は…
全て仕組まれた事だと知らずに幸せものですね。
婚約者に犯されて身籠り、妹に陥れられて婚約破棄後に国外追放されました。“神人”であるお腹の子が復讐しますが、いいですね?
サイコちゃん
ファンタジー
公爵令嬢アリアは不義の子を身籠った事を切欠に、ヴント国を追放される。しかも、それが冤罪だったと判明した後も、加害者である第一王子イェールと妹ウィリアは不誠実な謝罪を繰り返し、果てはアリアを罵倒する。その行為が、ヴント国を破滅に導くとも知らずに――
※昨年、別アカウントにて削除した『お腹の子「後になってから謝っても遅いよ?」』を手直しして再投稿したものです。
生まれたときから今日まで無かったことにしてください。
はゆりか
恋愛
産まれた時からこの国の王太子の婚約者でした。
物心がついた頃から毎日自宅での王妃教育。
週に一回王城にいき社交を学び人脈作り。
当たり前のように生活してしていき気づいた時には私は1人だった。
家族からも婚約者である王太子からも愛されていないわけではない。
でも、わたしがいなくてもなんら変わりのない。
家族の中心は姉だから。
決して虐げられているわけではないけどパーティーに着て行くドレスがなくても誰も気づかれないそんな境遇のわたしが本当の愛を知り溺愛されて行くストーリー。
…………
処女作品の為、色々問題があるかとおもいますが、温かく見守っていただけたらとおもいます。
本編完結。
番外編数話続きます。
続編(2章)
『婚約破棄されましたが、婚約解消された隣国王太子に恋しました』連載スタートしました。
そちらもよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる