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・Day1/chapter1 言いつけは百回

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「むり、や、ァン! い、いやだって……ンンぅ」
「口が止まってるぞ」
「じゅ、十回、十回目!」
「よし、いい子だ」
 口ぶりとは違い男は手を休めなかった。ぱちんと響く乾いた音と青年の苦悶の呻きが室内に響き渡る。
「じゅ、十一、ンア! ひ、十二、んクゥ……十三、も、ゆるしアァッ! じ、十四」
 叩かれてひりつく肌。
 それのみならず、叱られるこどものように尻を叩かれること自体が青年のプライドを削っていく。
「い、やぁ」
「何が嫌なんだ」
「ンは、や、やめて!」
 十五回目、ぱちんと叩かれて、男は体を飛び跳ねさせた。
「舐める、舐めるから、もっと優しくしてくれ……」
 下から男を見上げる懇願の眼差しに男はごくりと生唾を飲んだ。
「さっさとしろ」
 男の手が引く。
 汚い。自分が吐いたものとはいえ、こんなもの、口にはできない。しかし、これ以上、叩かれていては尻に穴があくのではないか。そのくらい、痛い。こんな行為を続けられたら――。
「早くしろと言ったはずだが?」
 ぱちんとまた臀部を叩かれる。
「す、する、するから!」
 青年は意を決して頭を下げる。そっと口元を開き舌を突き出した。時間が経って冷めたそれに舌をつけたとき、青年の内側にぼっと火が点った。
 自分はこの男の言いなりになり、床に舌を這わせている。あさましい。
 自分の放った精液のねっとりとした苦味に顔をしかめる。口内にいれ、無理矢理胃の中に落とし込む。途端に吐き気がこみ上げてくる。
「情けない面だな」
 男の声に顔を上げた。
「ほら、尻を出せ」
「な、なぜ……」
 ちゃんと舐めたのに。
 男は冷笑を浮かべながら答える。
「お前は優しくしてくれとだけ言っただろう?」
 そんな。
「早くしろ。もっと痛い目にあわせようか」
 そのことばは青年の脳裏に屋敷でやられた行為を次々に思いおこさせた。
「自分から晒してみせろ」
 言われるが、まま。それが一番、いいのではないか。青年は屈した。
「そうだ、そのまま、ねだれ」
 青年は交尾を求める雌犬のように男に尻を突き出した。
「ふ、ざけんなよ……」
「早く言え」
 ぱちんと尻を叩かれる。そこにはもうじゅうぶんに熱が溜まっていた。
「アッ……や、もう……頼むから、やってく、ださい……浅ましいこの尻に仕置してくださ……ぃ」
 するりと男の手が両の尻たぶを撫でた。
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