OUTSIDER

TERRA

文字の大きさ
28 / 156
日常編:ミヤビ✕マサムネ/好きになってごめんなさい

植物園デート

しおりを挟む
「なぁ正宗、週末ヒマ?」
雅は制服のポケットから二枚のチケットを取り出し、ひらひらと揺らしてみせた。
「……それは?」
「植物園のチケット!知り合いに貰ったんだよ。で、お前と行こうかと思ってさ。」

「俺が?」
「当然!」
正宗は少し考え込む。雅の誘いに乗ると、いつも妙な騒ぎに巻き込まれる。でも、植物園なら静かに過ごせそうな気もする。

「……まぁ、いいけど。」
こうして週末、二人は植物園へと向かった。

園内に入ると、木々の匂いがふわりと広がり、穏やかな空気が流れている。雅はすぐに地図を広げ、どこに行こうか考え始めた。
「まずは温室だな!」

ガラス張りの温室の扉を開けると、湿った暖かい空気が包み込む。大きなヤシの木が天井まで伸び、その間にカラフルな熱帯植物が並んでいた。
「おー、すげぇな……。」
雅は興奮気味に歩き回り、正宗は静かに後をついていく。通路脇に設置されたプレートが目に入り、雅がそれを読んだ。
『バナナの木は実は草です』 
「え、マジ?」
正宗はちらりと雅を見た。
「……木だよね?」
「ぜってぇ木だよ!」

その時、温室の奥から館内放送が流れてきた。
「こちらは世界最大の花、ラフレシアの展示エリアです。この花は強い腐臭を放つことで有名ですが、実際に咲くタイミングは非常に限られています。」

雅は目を輝かせながら看板を指差した。
「お前、嗅いでみる?」
「絶対に嫌だ。」

次に向かったのは、日本庭園エリア。
「なぁ、お前ん家の庭とかこんな感じだよな?」
「……え、そうかな。」
静かな池の周りに、綺麗なモミジが揺れている。雅はふと手を伸ばして葉を触った。
「こっちの葉、ギザギザだな……。」
「モミジにも種類があるんだって。これはイロハモミジらしい。」
「へぇ、お前こういうの詳しいんだな。」
正宗はそっけない顔のまま、ほんの少しだけ得意げに首を傾けて手元のスマホを隠した。

最後に二人がたどり着いたのは、ハーブ園だった。
「ラベンダーってさ、香りが長持ちするらしいぞ。」
「……お前、それ買う気か?」
「えぇー、どうしようかなぁ……。部屋に置いたらいい匂いになりそうだけど……世話とか大変だしなぁ。」

雅はふとラベンダーを眺めながら、正宗の顔を見た。
「お前は何か買うの?」
「……俺はいいや。」

「じゃあ、おれもいいや。」
こうして、雅と正宗の植物園での穏やかで楽しい時間は、静かに終わりを迎えた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

同居人の距離感がなんかおかしい

さくら優
BL
ひょんなことから会社の同期の家に居候することになった昂輝。でも待って!こいつなんか、距離感がおかしい!

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。顔立ちは悪くないが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…? 2025/09/12 ★1000 Thank_You!!

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

僕の恋人は、超イケメン!!

八乙女 忍
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?

処理中です...