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日常編:ミヤビ✕マサムネ/好きになってごめんなさい
植物園デート
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「なぁ正宗、週末ヒマ?」
雅は制服のポケットから二枚のチケットを取り出し、ひらひらと揺らしてみせた。
「……それは?」
「植物園のチケット!知り合いに貰ったんだよ。で、お前と行こうかと思ってさ。」
「俺が?」
「当然!」
正宗は少し考え込む。雅の誘いに乗ると、いつも妙な騒ぎに巻き込まれる。でも、植物園なら静かに過ごせそうな気もする。
「……まぁ、いいけど。」
こうして週末、二人は植物園へと向かった。
園内に入ると、木々の匂いがふわりと広がり、穏やかな空気が流れている。雅はすぐに地図を広げ、どこに行こうか考え始めた。
「まずは温室だな!」
ガラス張りの温室の扉を開けると、湿った暖かい空気が包み込む。大きなヤシの木が天井まで伸び、その間にカラフルな熱帯植物が並んでいた。
「おー、すげぇな……。」
雅は興奮気味に歩き回り、正宗は静かに後をついていく。通路脇に設置されたプレートが目に入り、雅がそれを読んだ。
『バナナの木は実は草です』
「え、マジ?」
正宗はちらりと雅を見た。
「……木だよね?」
「ぜってぇ木だよ!」
その時、温室の奥から館内放送が流れてきた。
「こちらは世界最大の花、ラフレシアの展示エリアです。この花は強い腐臭を放つことで有名ですが、実際に咲くタイミングは非常に限られています。」
雅は目を輝かせながら看板を指差した。
「お前、嗅いでみる?」
「絶対に嫌だ。」
次に向かったのは、日本庭園エリア。
「なぁ、お前ん家の庭とかこんな感じだよな?」
「……え、そうかな。」
静かな池の周りに、綺麗なモミジが揺れている。雅はふと手を伸ばして葉を触った。
「こっちの葉、ギザギザだな……。」
「モミジにも種類があるんだって。これはイロハモミジらしい。」
「へぇ、お前こういうの詳しいんだな。」
正宗はそっけない顔のまま、ほんの少しだけ得意げに首を傾けて手元のスマホを隠した。
最後に二人がたどり着いたのは、ハーブ園だった。
「ラベンダーってさ、香りが長持ちするらしいぞ。」
「……お前、それ買う気か?」
「えぇー、どうしようかなぁ……。部屋に置いたらいい匂いになりそうだけど……世話とか大変だしなぁ。」
雅はふとラベンダーを眺めながら、正宗の顔を見た。
「お前は何か買うの?」
「……俺はいいや。」
「じゃあ、おれもいいや。」
こうして、雅と正宗の植物園での穏やかで楽しい時間は、静かに終わりを迎えた。
雅は制服のポケットから二枚のチケットを取り出し、ひらひらと揺らしてみせた。
「……それは?」
「植物園のチケット!知り合いに貰ったんだよ。で、お前と行こうかと思ってさ。」
「俺が?」
「当然!」
正宗は少し考え込む。雅の誘いに乗ると、いつも妙な騒ぎに巻き込まれる。でも、植物園なら静かに過ごせそうな気もする。
「……まぁ、いいけど。」
こうして週末、二人は植物園へと向かった。
園内に入ると、木々の匂いがふわりと広がり、穏やかな空気が流れている。雅はすぐに地図を広げ、どこに行こうか考え始めた。
「まずは温室だな!」
ガラス張りの温室の扉を開けると、湿った暖かい空気が包み込む。大きなヤシの木が天井まで伸び、その間にカラフルな熱帯植物が並んでいた。
「おー、すげぇな……。」
雅は興奮気味に歩き回り、正宗は静かに後をついていく。通路脇に設置されたプレートが目に入り、雅がそれを読んだ。
『バナナの木は実は草です』
「え、マジ?」
正宗はちらりと雅を見た。
「……木だよね?」
「ぜってぇ木だよ!」
その時、温室の奥から館内放送が流れてきた。
「こちらは世界最大の花、ラフレシアの展示エリアです。この花は強い腐臭を放つことで有名ですが、実際に咲くタイミングは非常に限られています。」
雅は目を輝かせながら看板を指差した。
「お前、嗅いでみる?」
「絶対に嫌だ。」
次に向かったのは、日本庭園エリア。
「なぁ、お前ん家の庭とかこんな感じだよな?」
「……え、そうかな。」
静かな池の周りに、綺麗なモミジが揺れている。雅はふと手を伸ばして葉を触った。
「こっちの葉、ギザギザだな……。」
「モミジにも種類があるんだって。これはイロハモミジらしい。」
「へぇ、お前こういうの詳しいんだな。」
正宗はそっけない顔のまま、ほんの少しだけ得意げに首を傾けて手元のスマホを隠した。
最後に二人がたどり着いたのは、ハーブ園だった。
「ラベンダーってさ、香りが長持ちするらしいぞ。」
「……お前、それ買う気か?」
「えぇー、どうしようかなぁ……。部屋に置いたらいい匂いになりそうだけど……世話とか大変だしなぁ。」
雅はふとラベンダーを眺めながら、正宗の顔を見た。
「お前は何か買うの?」
「……俺はいいや。」
「じゃあ、おれもいいや。」
こうして、雅と正宗の植物園での穏やかで楽しい時間は、静かに終わりを迎えた。
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