オカルト研究部員の非日常な日常

秋月一花

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3章:探求

踊り場の大鏡

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 架瑠かける銀華ぎんかにそう声をかけ、彼女は「ええ、がんばるわ……」と力なくつぶやいた。

 徒歩十五分ほどのところにあるコンビニに入り、ひんやりとした空気に触れて銀華は「はぁ~」と恍惚の笑みを浮かべる。

「適当に買って、そこで食べようか」

 珍しくイートインは賑わっていない。外が暑すぎて出掛ける人が少ないのかもしれないな、と架瑠は考えつつ、豊富にある食料の中から好きなものを選んで会計を済ませ、イートインの椅子に座った。

 選ぶのは架瑠が一番早かったようで、他の部員たちは少し迷っていたようだ。

 佑心うみが買い物を終え、架瑠の隣に座る。

「こう暑いと冷たいものが食べたくなるよねぇ。飲み物も」
「大事ですよね」
「……この世界のいいところって、おいしいものが多いところだと思うわ」

 銀華たちも買い物を終え、それぞれ空いている席に座り、全員で「いただきます」と両手を合わせた。

 それぞれが買ったものを食べ、飲み物をぐっと一気にあおる。暑い中を歩いていたから、冷たい水分が全身にめぐる感覚に、ほぅ、と息を吐く。

「ちょっとここで休憩してから、学校に戻ろうか」
「そうね、食べてすぐにあの暑さはちょっと……いいえ、かなりの苦行だと思うわ」

 いくら日傘をさしているとはいえ、暑いものは暑いのだと銀華は表情を歪めた。

 少しのあいだ休憩し、気合を入れて学校に戻る。

 まだ空はギラギラとまぶしい。

 龍源りゅうげんに声をかけると、「おう、おかえり」と白い歯を見せて笑う。

 そのままオカルト研究部の部室に戻る気にはなれず、生徒たちが減ってきたので黒板に書いていた七不思議の場所を調べることになった。

 音楽室、理科室、美術室……オカルトらしいことは一度も起こらず、佑心はわかりやすくしょんぼりと肩を落とす。

「残りは踊り場の大鏡、か」
「ちょうど夕方なので、なにかが起こりそうで怖いですね……!」

 茉莉まつりがスマートフォンを取り出して、時刻を確認してぎゅっと架瑠の袖を掴む。

「絶対に起こらない、とは言えないからなぁ……」

 氷華ひょうか界のときも、黒板の怪異のときも、気付いたら巻き込まれていた。

 黒板の怪異は、まだ自分を狙っているのかもしれないと思い、架瑠は目を伏せる。

「まぁ、行ってみないとわからないよね。……でも、ワタシがたくさん魔法陣を用意してもなんの反応もなかったのに……」

 少し悔しそうな佑心の様子に、架瑠たちは顔を見合わせてしまった。

「羽井田先輩は、本当にオカルト好きですね……」
「謎に満ちているから面白いんじゃないか、オカルト」

 にっこりと微笑む佑心に、茉莉はどこか感心したように彼を見つめる。

 怖いものが苦手な茉莉だが、こうしてオカルトを楽しめる人が身近にいると、不思議と怖くなくなる気がして、架瑠の袖から手を離した。
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