【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜

秋月一花

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話を聞くのが楽しい。 1話

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「そういえば、リンブルグは他国から妃を、とのことですが……一人だけなのですか?」
「ああ。こっちの国は一夫多妻だっけ」

 わたくしはこくりとうなずいた。側室の子は第一王女のビアンカさまだけだ。おそらく他国に嫁ぐことになるだろうと話していたことを思い出す。

 とても懐いてくれて、『カミラお姉さま』と花のように笑う彼女のことを、何度可愛いと思ったことか……! 王城での癒しなのよね、ビアンカさま。

「リンブルグは一夫一妻だなぁ」
「ですね。子どものことに関しても、王太子候補はたくさんいるわけですし」
「あの、王太子になりたい方って、あまりいなかったのですか?」

 いないから押し付けられた、と苦々しくつぶやくレグルスさまを見て、国の在り方って様々なのね、と遠い目をすることしかできなかった。

「まぁ、なりたい人は多少いたけど、それは陛下が指名した候補じゃない人だったし……正直、あんまり関わり合いになりなくない部類の性格のヤツだったから、こっちも結構苦労したよなぁ?」

「ええ、なかなか姑息な手を使う人でしたからねぇ」

 この人たち、どうしてそんなにあっさりと口にできるのかしら?

「まぁ、そんなわけで俺と婚約すると、国もついてくるわけだけど」
「……なんだか、不思議なくらい、大丈夫な気がしてきました」
「私もカミラさまなら絶対大丈夫だと思います。問題は私ですよ、侍女って貴族じゃなくてもなれましたっけ?」
「その手続きはリンブルグでやれば大丈夫だと思いますよー。いやぁ、面白くなってきましたね、レグルスさま」

 この状況を面白がれることに感心してしまう。心に余裕があるということかしら?

 レグルスさまはふっと微笑みを浮かべて、同意するように「そうだな」とうなずいた。

 リンブルグの国民がわたくしを受け入れてくれるかはわからないけれど、彼らの話を聞いていると大丈夫な気がしてきたわ。

「たっぷり話し込んじゃいましたね」

 最後の一切れを食べてから、ブレンさまが言葉をこぼす。

 お代わりしたカフェオレも、もう残っていない。

 長居してしまったね……それだけ、彼らの話が興味深かったということ。

「また今度、デートしましょう。今度はふたりきりでどうですか?」

 クロエにたずねるブレンに、わたくしとレグルスさまは視線をわしてから彼女を見る。

 ビックリしたように目を丸くしたけれど、頬を赤らめて「は、はい……」と承諾の言葉をつぶやいた。

 ブレンさまって結構ぐいぐいアプローチしていくタイプなのね。

 クロエも満更ではなさそうだし……このまま恋人になるのかしら?

 もしもそうなったら、素敵なことだと思う。

「俺たちも今度、ふたりきりでデートしよう。きみの身体が戻ってから、になるけどさ」

 レグルスさまに誘われて、自分の顔が赤くなるのがわかった。ゆっくりとうなずいて彼を見ると、嬉しそうに目元を細めて笑った。
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