推しの為なら悪役令息になるのは大歓迎です!

こうらい ゆあ

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「あまつさえ、貴様ユレイユを呪い殺そうと怪しげな儀式をしているようだな!他の者からも複数報告が入っている」
 あ~……やっぱりアレ見られてたのか……
 はい。アレックス様とユレイユの恋愛成就を、日々祈願しておりました。
 ってか、ユレイユの健康と幸せを願って毎日神さまにお祈りしています。
 ユレイユは僕にとって神さまだから、ユレイユ自身を信仰しているのと一緒だけど……
 でも、彼の幸せが第一だから、この世界の神さまに『ユレイユが幸せになりますように』って、毎日お祈りしてました。

 僕がユレイユを信仰しているなんて、周りにバレたら恥ずかし過ぎて死ねる!って思って、こっそりやってたのに……
 やっぱり誰かに見られてたんですね。
 断罪イベントで言われてるのを知っていたから、絶対にバレないように気を付けていたんだけど、ムダな努力だったみたい……
 僕、ファン失格かも……
 ユレイユを呪い殺すとか、そんな怖いこと絶対しないのに……
 でも、それでユレイユを怖がらせてたなんて……
 ホントにファン失格だと思う。
 今すぐ自分で穴を掘って生き埋めになりたい。
 死んでお詫びします。


「最後に、放課後ユレイユを呼び出した上、アレコレ問い詰めていた姿も目撃されている!」
 はい。ユレイユを呼び出したことなんて一度もないけれど、ユレイユに呼び出されたことはあります。

【誓いの星屑】のペンダントをユレイユから貰ったあと、何度も誰もいない教室とか中庭、あとユレイユの部屋に呼び出されました。
 最初はちゃんとペンダントを返そうと毎回持って行ってたんだよ?
 でも、いつもはぐらかされちゃって……
 なぜかいつも頭がボーっとしてしまって、ユレイユと部屋で何があったのか思い出せない状態。
 しかも、部屋に戻ったら返したはずのペンダントがいつも首に掛けられていました。
 ユレイユの花やハチミツみたいないい匂いに包まれると、身体だけじゃなくて頭もぽわぽわしちゃって、記憶が混濁してしまうことが多いんだよね。
 多分、推しと同じ空間にいるせいだと思う。
 だって、ユレイユが僕の頬を撫でたり、耳元で囁いてくるんだもん。
 推しにそんなことをされたら誰だってキャパオーバーになると思う!
 だから、気付いた時にはいつも僕の部屋の前で「おやすみ」って、ユレイユが優しく囁いてくれていた。

 あ、でもユレイユから忠告を受けたことはあるよ?
 誰も居ない放課後の空き教室で、ユレイユに壁ドンされながら耳元で牽制されたあの日。
「アレックス殿下との婚約を破棄しろ。キミにはもっとお似合いの相手がいるだろ?」って……
 耳が蕩けそうな程、甘い囁きに昇天しそうでした。
 アレックス様との愛は着々と培われてるんだってわかって、本当に嬉しかった~
 これでユレイユは世界で一番幸せになれるんだって思ったし、僕がちゃんと悪役令息としての役目をまっとう出来てるって確信したもんね。
 ただ、ユレイユの甘くて可憐な匂いを間近で感じて、熱のこもった目で見つめてくるからキスされるんじゃないかってドキドキしちゃった。
 そんなの絶対あり得ないのにね。
 ユレイユが愛しているのは、僕なんかじゃなくて王太子殿下であるアレックス様って決まってるんだから♪
 でも、ユレイユの宝石みたいな目に見つめられたら、前髪のカーテン越しだったのに目が離せなかった。
 僕の推しはやっぱり素敵な人なんだって再確認した。

 あ、当然何度も首を縦に振って了承したよ?
 だって、僕の推しからのお願いなんだから当然享受するに決まってるでしょ?
 それに、ユレイユが幸せになるにはアレックス様との王道エンディングが一番!
 そのために僕はここまで頑張って来たんだから!


「これだけの証言があるなかで、申し開きはあるか?」
 床にペタンとへたり込んだ僕を見て、周りの人たちはクスクスとあざけり笑っている。
 王太子殿下の婚約者なんて不応相な立場にあぐらをかいていた僕をいい気味だと笑っている声が聞こえる。
 実際そうだったし、嫌われてもしかたないことを今までしてきた。
 僕なりの悪役令息をちゃんと演じきれた証拠だよね。

 でも、ちょっとだけ、悲しいな……
 僕もみんなと仲良くしたかったし、友だちになりたかった。
 大好きなBLゲームの世界に転生したんだから、素直に楽しみたかった。
 そんなこと、僕には言う権利なんてないんだけど……
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