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本編

呪われたの?

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「にいしゃま…ペンちゃん、しんじゃった」
「獣はアレくらいじゃ死なないから大丈夫だよ。でも、危ないからルシーは近づいちゃダメだよ」

あまりの恐怖に近くに来てくれたギル兄様に抱きついてしまった。
あんな風に顔が凍っているのに本当に生きているのだろうか。

「ごめんな、ファルシュター。怖かっただろ。馬鹿は回収していくから気が向いたらまた遊んでやってくれ」

確かに怖かった。
いや、現在進行形で怖い。

だって、顔が凍ったままペンギンはフリッパーを大きく動かして踊っているのだ。
ダンスというよりは体操に近いと思うが、フリッパーを上下に動かしたり振ってみたりと大忙しだ。
しかもずっと自分を見ている。
ベクストの腰にくっついていた呪いの花人形と同じくらいの恐怖映像だと思う。

「暴れるな!お前はまだ仕事中だ。会えただけでも良かっただろうが」

隊長はペンギンを小脇に抱えているが、ペンギンは激しく抵抗しているのか身体を捻って降りようとしている。
絶対に離さないで下さい。
ペンギンとは仲良しだが、顔が凍ったまま近づかれるのはホラーだ。
多分、泣くと思う。

「ペンちゃん、おちごと、がんばってねぇ」

それにペンギンは今は仕事中らしい。
ペンギンは怪我や病気を治す事が仕事なので、職務怠慢は人命にかかわってしまう。
しっかりと仕事をして欲しい。

ペンギンは仕事に戻る事に納得したのか、抱えられたままフリッパーを器用に振ってバイバイをしてくれた。
早く顔の凍りが溶ける事を願っている。
馬もそろそろ帰る様だ。
訓練場にいたのだから、まだ訓練が残っているのかもしれない。
自分の所為で時間を無駄に使わせてしまったが、相棒もニコニコとお爺さまと会話をしていたのできっと時間的には大丈夫だったのだろう。

「カルちゃんも、おちごと、がんばってねぇ」
「本当にファルシュターは猛獣使いの様だな。カルファが素直に戻っていくぞ」
「お爺様も心の準備が出来て良かったですね。これで自分の相棒だけがおかしくなった訳じゃないと安心出来る筈です。隊員達はみんなそうして心の平穏を手に入れたそうですよ」

そうだった。
お爺さまの相棒は何処にいるのだろう。
犬や狐、グリフォンと一緒にいると思うので4匹を探したのだが近くにはいない様だった。

「おーい。会いたがっていたファルシュターを連れて来たぞ!早く来ないとピクニックへは置いていくからな」

お爺さまがそう叫ぶと、一瞬で目の前に大きな犬が現れた。

お爺さまの相棒は犬の兄弟だったらしい。
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