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本編

センスがない

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犬の兄弟だとは思うが毛色は真っ黒だ。
だが、確実に遺伝を感じる。

なにせ頭が3つあるのだ。
やはり遺伝性の病気なのかもしれない。

しかし、こちらの犬も特に弱っている感じはなく尻尾をふりふりと元気いっぱいだ。
チャチャやチロは毛足の長い大型犬でもふもふしているのだが、兄犬は同じ大型犬だが短毛種で身体も筋肉質だ。
スラっとしていて可愛いというよりはカッコいい。

「ファルシュター、紹介しよう。ケルベロスのケル、ベロ、スーだ」

ネーミングセンスが無い。
コレは自分と同レベルのヤバさだと思う。
向かって左からケル、ベロ、スーらしい。
この子達はこの名前で嫌がらなかったのだろうか。
いや、ペンギンにペンギンと名付けた強者もいるのだから、ケルベロスを分割した名前も有りだとは思うが、もっと似合う名前もあったのではないかと思ってしまう。

「よろちくねぇ。ぼく、ファルシュター。なかよち、してねぇ」

お座りをしてくれているが、犬としてもとても大きいので頭まで手が届かず撫でる事が出来なかったので、横から身体を撫でさせてもらい挨拶をした。
ケル、ベロ、スーは嬉しそうに尻尾を振まくっている。

「本当にケロベロスが一瞬で懐いた…。ワシとの長い相棒生活でも尻尾など振った試しがないのに…」
「大丈夫ですよ。ルアンは初対面で神鳥花をプレゼントしてますし、他の獣達も薬草や花、古代魔獣の骨なんかもプレゼントしてます。あぁ、ルアンは神鳥花の他にも竜の涙も持ってきましたね」
「はぁ!?獣が自発的にか?…あの鳳凰が信じられん」
「すぐ見れますよ。なにせ獣達はルシーを見つけると寄ってきては魔法や技を披露して行くので、ルシーと一緒にいると獣の新技を見る機会が増えます」

そうなのだ。
獣達はいつも自分を楽しませようとしてくれているのか、魔法をよく見せてくれるのだ。
何匹か一緒に来ている時はコンビネーションの凄い連携技を見せてくれる時もある。
その場合、炎や水の共演であったりと何か特別なショーでも見せてもらった様な気になってしまう程だ。

そして高い頻度でギル兄様と一緒にいる事から、自ずとギル兄様も鑑賞させられるのだ。
もちろん第二の被害者はパパである。
熊や虎はお屋敷に帰ってから遊びながら見せてくれるので、二人は四六時中獣の技を見せられている事になるのだが、二人ともとても優しく、自分に甘いので嫌な顔もせず付き合ってくれる。

「ケロちゃん、ベロちゃん、スーちゃん、きょうは、ピクニックよぉ。もりで、あしょぶのぉ」

ギル兄様がシェフからお弁当も預かっていたので楽しみだ。
熊や虎、兄犬と何をして遊ぼうかな。
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