174 / 195
本編
作戦失敗
しおりを挟む
「ファルシュターぼっちゃまは本当に天使のような子ですね。孫を許して下さりありがとうございます」
「ファルシュター様、ありがとうございます」
「まっちぇ!ぼく、ファルって、よんで?しゃまはいやよぉ」
天使扱いは慣れてしまったのでスルーできるが、これだけは譲れない。
リント君が自分の事を様付けで呼ぶのなら、コチラも同じ対応をさせていただく所存です。
「ルシーは様付けで呼ばれるのが嫌なんだね。可愛いな。リントもファルって呼んであげてよ……2度目はないけどね」
ギル兄様がフォローしてくれたので、なんとか様付けは回避出来たと思う。
最後、ボソッと呟かれた言葉は聞こえなかったけど、いつもの優しい笑顔だったので特に問題ではないだろう。
「俺もぼっちゃまって呼ぶ」
何故だ。
リント君はギル兄様の事はギルバートと呼び捨てにしたり、ギルと愛称で呼んでいるのに、何故自分がぼっちゃまなんだ。
このお屋敷の正真正銘おぼっちゃまはギル兄様だ。
なにより歳の近い少年にぼっちゃまと呼ばれたくはない。
大人から見たら歳の差もあるので仕方がないと諦めもつくが、ギル兄様と同い年なら自分とは七歳差だ。
いくら仕えているからと言っても、ギル兄様とは友達の様に接しているのなら、自分の事は友達の義弟だと思って気軽に接して欲しい。
「ぼっちゃま、ダメよぉ。ファルちゃんねぇ」
そっちがその気なら、こちらにも考えがあるのだ。
呼ばれて自分だけが恥ずかしい思いをするのは嫌だ。
それなら呼ぶ方にも恥ずかしい思いをしてもらおう。
彼ならきっとファルちゃんと呼ぶ事に、抵抗を示す筈だ。
そうなったら、こちらの勝ちだ。
普通に呼び捨てにしてもらおう。
「わかった。ファルちゃん、俺とも仲良くして貰えると嬉しい」
どうしたんだ、リント!
そんなキャラじゃなかっただろう!
何を普通の顔をしてファルちゃんなんて呼んでいるんだ。
これではただ自分が痛いヤツなだけじゃないか…。
「ファルちゃんって呼ばれたかったの?僕もルシーちゃんって呼ぼうか?」
ほら見ろ。
ギル兄様がとんでもない勘違いをしてしまったじゃないか。
ギル兄様は今まで通りルシーと呼んで下さい。
そして、お爺さま。
小さな声でファルちゃん、ファルちゃんと呟くのはやめて下さい。
お爺さまはさっきまで呼び捨てにしてくれていたのだから、そのままでお願いします。
計画は失敗してしまったが、距離は縮まったので良しとしよう。
パパは明らかにホッとした表情をしているし、きっとリント君の今後を心配していたのだと思う。
自分も家族の崩壊現場など見たくなかったので、パパと同じかそれ以上にホッとしたのは言うまでもない。
「ファルシュター様、ありがとうございます」
「まっちぇ!ぼく、ファルって、よんで?しゃまはいやよぉ」
天使扱いは慣れてしまったのでスルーできるが、これだけは譲れない。
リント君が自分の事を様付けで呼ぶのなら、コチラも同じ対応をさせていただく所存です。
「ルシーは様付けで呼ばれるのが嫌なんだね。可愛いな。リントもファルって呼んであげてよ……2度目はないけどね」
ギル兄様がフォローしてくれたので、なんとか様付けは回避出来たと思う。
最後、ボソッと呟かれた言葉は聞こえなかったけど、いつもの優しい笑顔だったので特に問題ではないだろう。
「俺もぼっちゃまって呼ぶ」
何故だ。
リント君はギル兄様の事はギルバートと呼び捨てにしたり、ギルと愛称で呼んでいるのに、何故自分がぼっちゃまなんだ。
このお屋敷の正真正銘おぼっちゃまはギル兄様だ。
なにより歳の近い少年にぼっちゃまと呼ばれたくはない。
大人から見たら歳の差もあるので仕方がないと諦めもつくが、ギル兄様と同い年なら自分とは七歳差だ。
いくら仕えているからと言っても、ギル兄様とは友達の様に接しているのなら、自分の事は友達の義弟だと思って気軽に接して欲しい。
「ぼっちゃま、ダメよぉ。ファルちゃんねぇ」
そっちがその気なら、こちらにも考えがあるのだ。
呼ばれて自分だけが恥ずかしい思いをするのは嫌だ。
それなら呼ぶ方にも恥ずかしい思いをしてもらおう。
彼ならきっとファルちゃんと呼ぶ事に、抵抗を示す筈だ。
そうなったら、こちらの勝ちだ。
普通に呼び捨てにしてもらおう。
「わかった。ファルちゃん、俺とも仲良くして貰えると嬉しい」
どうしたんだ、リント!
そんなキャラじゃなかっただろう!
何を普通の顔をしてファルちゃんなんて呼んでいるんだ。
これではただ自分が痛いヤツなだけじゃないか…。
「ファルちゃんって呼ばれたかったの?僕もルシーちゃんって呼ぼうか?」
ほら見ろ。
ギル兄様がとんでもない勘違いをしてしまったじゃないか。
ギル兄様は今まで通りルシーと呼んで下さい。
そして、お爺さま。
小さな声でファルちゃん、ファルちゃんと呟くのはやめて下さい。
お爺さまはさっきまで呼び捨てにしてくれていたのだから、そのままでお願いします。
計画は失敗してしまったが、距離は縮まったので良しとしよう。
パパは明らかにホッとした表情をしているし、きっとリント君の今後を心配していたのだと思う。
自分も家族の崩壊現場など見たくなかったので、パパと同じかそれ以上にホッとしたのは言うまでもない。
応援ありがとうございます!
30
お気に入りに追加
3,349
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる