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本編
素敵アイテム再び
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自分が高級そうな店内に縮こまっている間に、優雅な足取りで近付いてきた店員さんにパパが声をかけていた。
「注文していた物を取りに来たんだが…」
「お待ちしておりました。どうぞ、此方へ」
店の奥にある個室に通されると、ソファに座る様に促された。
わかってはいたが個室の中も豪華だ。
一向に気が抜けない。
熊と虎は店には入って来なかったのだが、自分も外で一緒に待たせてもらえばよかったと、本気で後悔した。
横に座っているギル兄様だけが頼りだ。
とりあえずは置物の様に動かずジッとしていようと思う。
「お待たせ致しました。ご注文のお品は此方でお間違え無いでしょうか」
店員さんが恭しくトレーに乗せて持ってきたのはブローチだった。
金と銀で細工されており、真ん中には宝石が光っている。
宝石は綺麗な薄い青色で透明感が凄いのだが、これは魔道具ではなく宝飾品ではないだろうか。
おじいちゃん達が作る魔道具はもっと機械仕掛けが凄い逸品なのだ。
「あぁ、素晴らしい出来だ。感謝する」
自分には何かはわからないが、パパはとても満足しているみたいだ。
「ギルバート、これは君へのプレゼントだよ」
なんと、ギル兄様へのプレゼントだったとは。
やるな、パパ。
「僕にですか?」
ギル兄様も知らなかった様なので、サプライズだったのだろう。
嬉しそうにブローチを手に取るギル兄様が尊いです。
「これ…」
「今ならもう大丈夫だろう?」
通じ合っている2人と蚊帳の外状態の自分。
しかし、自分は空気が読める子である。
話はわからなくても、ギル兄様が嬉しそうなら自分も嬉しい。
動く事は出来ないが心の中では拍手喝采だ。
「ルシー、この宝石の中、見える?」
そんな自分にギル兄様は気をつかって話しかけてくれた。
「ファル君にも贈るからね」
パパが自分にもと言っているが、こんな高級そうな物はいらない。
しかし、宝石の中に何か入っているのだろうか。
ギル兄様は宝石の中を見るように言っていた。
ギル兄様の手の中にあるブローチを覗き込むと、何かの模様が描かれていた。
絵心がない自分には何が描かれているのか全くわからない。
「にゃに?」
「これは白熊と鯱、それから竜が描かれているんだよ」
どうやら家族構成の図案が模様化されているようだ。
本来なら10歳の誕生日に贈られる物だったのだが、ギル兄様が竜人族としての自分を嫌悪していた事からパパは贈るのを見送っていたらしい。
そして、魔道具としての性能は1日に1回だけだが贈った人に連絡が取れるという優れ物だった。
ただし一方通行なので、ギル兄様からパパへしか連絡は出来ないようだ。
それでも羨ましい。
どうやって連絡が来るのかはわからないが、待っているだけで毎日が楽しくなりそうだ。
勿論、ギル兄様限定でだが。
「我が家の伝統なんだよ。ファル君の時は白熊と、竜と…何になるのかな?」
パパに任せたらコロポックルになりそうだ。
「父上、ありがとうございます」
何度でもいうがギル兄様が嬉しいなら、何も問題ないのだ。
パパが店員さんに声をかけてブローチを包んでもらった。
そしてやっとこの高級店から出られてホッとしてしまったのか、お店を出た直後に転んでしまった。
恥ずかしい。
ギル兄様が慌てて抱き起こしてくれ、そのまままた抱っこで移動する事になってしまったのだが、やはりもう少し足腰の強化が必要だと痛感した。
明日から自分で歩く努力をしようと思う。
「注文していた物を取りに来たんだが…」
「お待ちしておりました。どうぞ、此方へ」
店の奥にある個室に通されると、ソファに座る様に促された。
わかってはいたが個室の中も豪華だ。
一向に気が抜けない。
熊と虎は店には入って来なかったのだが、自分も外で一緒に待たせてもらえばよかったと、本気で後悔した。
横に座っているギル兄様だけが頼りだ。
とりあえずは置物の様に動かずジッとしていようと思う。
「お待たせ致しました。ご注文のお品は此方でお間違え無いでしょうか」
店員さんが恭しくトレーに乗せて持ってきたのはブローチだった。
金と銀で細工されており、真ん中には宝石が光っている。
宝石は綺麗な薄い青色で透明感が凄いのだが、これは魔道具ではなく宝飾品ではないだろうか。
おじいちゃん達が作る魔道具はもっと機械仕掛けが凄い逸品なのだ。
「あぁ、素晴らしい出来だ。感謝する」
自分には何かはわからないが、パパはとても満足しているみたいだ。
「ギルバート、これは君へのプレゼントだよ」
なんと、ギル兄様へのプレゼントだったとは。
やるな、パパ。
「僕にですか?」
ギル兄様も知らなかった様なので、サプライズだったのだろう。
嬉しそうにブローチを手に取るギル兄様が尊いです。
「これ…」
「今ならもう大丈夫だろう?」
通じ合っている2人と蚊帳の外状態の自分。
しかし、自分は空気が読める子である。
話はわからなくても、ギル兄様が嬉しそうなら自分も嬉しい。
動く事は出来ないが心の中では拍手喝采だ。
「ルシー、この宝石の中、見える?」
そんな自分にギル兄様は気をつかって話しかけてくれた。
「ファル君にも贈るからね」
パパが自分にもと言っているが、こんな高級そうな物はいらない。
しかし、宝石の中に何か入っているのだろうか。
ギル兄様は宝石の中を見るように言っていた。
ギル兄様の手の中にあるブローチを覗き込むと、何かの模様が描かれていた。
絵心がない自分には何が描かれているのか全くわからない。
「にゃに?」
「これは白熊と鯱、それから竜が描かれているんだよ」
どうやら家族構成の図案が模様化されているようだ。
本来なら10歳の誕生日に贈られる物だったのだが、ギル兄様が竜人族としての自分を嫌悪していた事からパパは贈るのを見送っていたらしい。
そして、魔道具としての性能は1日に1回だけだが贈った人に連絡が取れるという優れ物だった。
ただし一方通行なので、ギル兄様からパパへしか連絡は出来ないようだ。
それでも羨ましい。
どうやって連絡が来るのかはわからないが、待っているだけで毎日が楽しくなりそうだ。
勿論、ギル兄様限定でだが。
「我が家の伝統なんだよ。ファル君の時は白熊と、竜と…何になるのかな?」
パパに任せたらコロポックルになりそうだ。
「父上、ありがとうございます」
何度でもいうがギル兄様が嬉しいなら、何も問題ないのだ。
パパが店員さんに声をかけてブローチを包んでもらった。
そしてやっとこの高級店から出られてホッとしてしまったのか、お店を出た直後に転んでしまった。
恥ずかしい。
ギル兄様が慌てて抱き起こしてくれ、そのまままた抱っこで移動する事になってしまったのだが、やはりもう少し足腰の強化が必要だと痛感した。
明日から自分で歩く努力をしようと思う。
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