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本編

冒険者は許されない

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お昼ごはんは屋台街で食べる事になった。
屋台街とはその名の通り、屋台で食べ物や雑貨を売っているお店がいっぱいあるみたいだ。
購入した商品をそのまま外で食べるのだが、休憩用にベンチなども配置されているので疲れたら座る事も出来るので領民の多くが毎日利用しているし、冒険者が旅の準備に活用したりと大盛況らしい。

そんな騒がしい場所でギル兄様は大丈夫なのかと思ったが、巡回で慣れているのと是非自分に食べさせたい物があるとの事で決行された。
ギル兄様のオススメの食べ物なら胃がはち切れても完食したい。

だが、屋台街へは熊と虎は行かないらしい。
一緒に行けると思っていたので残念だが、色々な匂いが混ざって臭いのかもしれない。
自分達が食べ終わったら合流してくれるらしく、近くで待っていてくれる様だ。
何かお土産でも買ってもらおう。
そう、自分は情けない事に無一文だ。
パパやギル兄様に買って貰うしか今は方法がないのだが、必ず出世払いでお返しします。
自分が働ける年齢になるまでにどれほどの金額がかかってしまうのか見当もつかないのだが、出来れば細かく帳簿でも付けて置いて欲しい。

相棒を見つけて騎士団に入団する事が第一目標だったが、なるべく早く働きたいと思っているので冒険者もいいかもしれない。
何歳から登録出来るのだろうか。
間違いなく3歳では無いので、今は無理だろう。
それに、多分だがこの運動神経では魔物を倒す事は出来ない。
採取系の依頼だけで食べていけるのかも不安だ。

「ぼうけんちゃ、いちゅ、なりぇりゅ?」
「ルシーは冒険者になりたいの?」
「うーん。はやく、おちごと、ちたいの」

別に冒険者でなくても構わないのだが、なるべく早くにお金を稼ぎたい。
いや待て。
この言い方だと守銭奴だと思われそうだ。
お金関係を濁して伝えようにも目的がお金以外無いのでこれ以上言葉が続かない。

「冒険者は確か7歳からだったと思うけど、お仕事なら他にもいっぱいあるよ?僕はルシーには危ない事はしてほしく無いな」
「パパも反対だよ!というか、絶対にダメ!」

何故そんなにも冒険者が認められないのかはわからないが、もしかしたら騎士団とは仲が悪いのだろうか。

「ルシーのお仕事はいっぱい食べて、いっぱい寝て、もっともっと元気になる事だよ。大きくなって冒険者になりたかったらその時は一緒に登録しようね」

ギル兄様は騎士団でも出世しそうだし、お家を継がなきゃいけないのに自分と一緒に冒険者になるのは無理だと思う。
7歳まではまだ猶予もあるし、それより先に相棒が見つかれば問題はないのだ。
やはり相棒探しを優先して行うのが良いだろう。

「うん。ぼく、あいぼう、みちゅける!しょれで、じゅっと、にいしゃまといりゅ!」
「そうだよ。ルシーは僕とずっと一緒だよ。大きくなっても一緒に暮らそうね」

そんなに脛をかじらなければ生きていけない様に見えているのだろうか。
確かにゼウスローゼン家はお金持ちだろうが、自分は養子だし、ちゃんと弁えているつもりだ。
同居してもらえるのは嬉しいが経済的にもちゃんと自立して少しずつでも返済する気でいる。
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