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痛み

エイデン様の訪問

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目覚めてから3日ほど経った午後、執事からエイデン様が見舞いに来てくれると聞いて、僕は胸の奥がザワザワとした。正直、エイデン様に会うのは怖い。最後に会ったあの時のエイデン様の凍りついた表情が忘れられなかった。

一方でエイデン様に会いたいという、湧き上がる様な気持ちが僕を満たした。そして約束の夕方の時間に執事に案内されてエイデン様が顔を見せた。


僕は身体を拭いてもらったり、髪に薬草のオイルを馴染ませて拭き取ってもらったりと身支度はしていたものの、湯船に入ったわけではなかったので、少し気後れがしていた。

クッションに寄り掛かった僕の顔を見るなり、エイデン様は僕のベッドサイドへとふらふらとやってきて、跪いて僕の手を両手で握りしめて言った。


「サミュエル、…良かった!もう二度と目を覚さないのではないかと恐ろしかったんだ。私を許してくれるかい、サミュエル。私だってサミュエルに誠実だったわけでは無かったのに、自分の事は棚に上げて、一方的にサミュエルを恨んでしまった。

サミュエルがこんな風に命を失いそうになるほど寝込んでしまったのも、私とアルバートの間に挟まれたサミュエルが悩んでしまったせいではないのかい?

…私はサミュエルがこうして温かな身体で息づいていてくれさえ居れば、何も望まないよ。サミュエルが目を閉じてピクリと動かなかったあの時、私は知ったんだ。こうして目を合わせて、声を聞けるだけだって、これ以上ない幸運なんだって。私はサミュエルに会えて、本当に幸運だったんだ。」


そうほとばしる様な言葉のシャワーを僕に浴びせて、ハッとした様に口をつぐんだ。僕はエイデン様からこんな言葉が貰えると思っていなかったので、正直面食らっていた。けれどもじわじわとエイデン様の愛情が僕の心をいっぱいに満たして、僕はゆっくりと息を吐き出して言った。

「エイデン様…。ありがとう。僕、一度自分が嫌になってしまって…。気がついたら、…ここで眠っていたんです。…アルバート兄様曰くは、…危なかったって…。僕は戻ってきて、…良かった…?」


そう言い終わらないうちにエイデン様は僕を抱き締めて、声を震わせて言った。

「ああ、戻らなかったらお仕置きだったよ…!サミュエル。私の、私たちの側を離れてはダメだ。」

僕はエイデン様の腕の中で、逞しい身体に寄り掛かって、目を閉じて小さな声で囁いた。

「…ありがとう。…また愛をにくださいね。」







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