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空の器 (お題…こたつ、鍋パ)

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身体が熱いのは、コタツで鍋パーティのせいばかりじゃないだろうと、俺は隣に座っている真柴をチラッと見た。真柴は他の奴らと馬鹿みたいなどうでも良い話をして笑っている。俺の方を見ないのは、敢えてそうしているのか…。

「田中、俺の分もよそってくれん?」

そう、耳元で甘えるように言うので、俺は馬鹿みたいにドキドキして、熱くなってしまう。


俺が真柴の空っぽの器によそっていると、真柴の手がコタツの中で俺を引っ掻くんだ。動揺しないように、震えそうな手に意識を集中していると、ますます真柴の手が悪戯に這い回る。

俺は熱い息を吐き出すのを堪えると、ようやく真柴の前に満たされた器を置いた。


「おー、ありがと。さすが田中は俺の好きなものよく分かってんな?もう俺の奥さんになっちゃうか?」

そう言うと、コタツを囲む仲間がドッと笑うので、俺は複雑な気持ちで顔を歪めるんだ。


そんな俺にはやっぱり目もくれずに、真柴は美味そうに器の中身をかっ喰らう。俺はその食べっぷりを見るとも無しに目に入れながら、いつその器が空っぽになるのかと、無意識に待ってしまうんだ。痛すぎるな、俺。
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