異世界に飛ばされた僕の従騎士生活

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

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王都へ

夜会の準備

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「王よ、如何でしたか?」

我は抜け目のない顔をしながらこちらを見つめる未だ衰えぬ麗しさを感じる宰相を見た。

「そうだな、まぁ確かに珍しい見かけだ。目の奥に何かを感じたが、悪いものではない。
氷漬けと言われていたフォーカスがあそこまでピリつくほど手中に入れてる若者だ。見た目の優麗さ以上に実力も有るのだろう。」

宰相は眉間に皺を寄せて考えるように言った。

「しかしフォーカスも、らしくない。通常であれば直ぐにこちらに連絡して引き渡して居るだろうに。」


「ハハハハ。シンの後見が誰だと?フォーカスの腐れ縁ルカだぞ?
あのフォーカスが悪友ルカに頭を下げてまで我らからシンを遠ざけようとしたその事ひとつとっても、フォーカスの執着が窺い知れるものだ。

我は国のために役立ってくれるならば、異界の者でも利用しよう。
まぁフォーカスのあの姿は見たくても見れるものでは無かったからな、いい見ものであった。

…我としてはかつての自分を見てる様な気がして近視感まで感じたほどだ。なぁ、バロン。」

我は顔を僅かに赤めたかつての従騎士を見つめた。


我に忠誠を誓い、従騎士から一人の騎士となった今でも我が元にて支えてくれる盟友。

そして後継のためのか弱き貴妃とは違う、心からの忠誠と命を預けあうバロンの締め付けを思い起こし身体の奥が疼いてくるのを感じた。

「…バロン。今宵は良い酒が入ったゆえ付き合ってくれ。月も明るく美しい夜だ。」

そう言いながらバロンをじっと見つめると、バロンは瞳の奥を微かに揺らげながら答えた。

「はっ。王の思し召しの通りに。…私も月を楽しみたく思うておりました。」




今目の前に広がっているのは服、服、服の氾濫だ。

貴族の令息が着る様な優美で飾り立てられたあれこれが目の前にこれでもかと広げられている。

僕はその中で只々流れに身を任せていた。


「まぁ、やっぱりこちらがもっとお似合いだわ。」

キャラキャラとまるで少女の様な笑顔で僕を着せ替え人形にしているのは、ルカ様の母君だ。

リール公爵の正室であり、三人の大きな御子息が居るとは思えないほど美しいご婦人は麗しい笑顔で僕を見つめた。

「私の息子達はシンと違って無骨でしょう?ルカは小さな頃は可愛らしかったけれど、今じゃすっかりゴツくなってしまって。
その点、シンは異界の者のせいかしら、骨格からしてたおやかね。
それにしても、っふふふ、フォーカス様のあんなに心配そうなお顔が見れるなんて長生きはするものね。」

ルカの母君や女中達におもちゃにされて今夜の夜会の準備をさせられていた。

僕は少々ぐったりとはしてしまったけれど、同時に懐かしさも感じていたんだ。
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