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新しい生活

僕の馬

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僕が乗った芦毛の馬は、乗り慣れるとなるほど良い馬だった。頭が良いのか、こちらの思いを受け取るのが上手く、短い間に僕たちはすっかり仲良くなった。僕はこの馬にフーガと名付けた。漢字では風雅だ。ふふ、カッコいい。

僕と風雅が馬場を駆け足で走ってると、カークさんの姿が見えた。風雅に合図して僕はカークさんの元に馬を乗りつけた。


カークさんはちょっとギョッとした顔をしたんだけど、風雅が前足をふり上げたせいかな?

「カークさん!先日はありがとうございました。今日は馬を選びに来たんです。どうですか?素晴らしい馬でしょ?フーガって言うんです。とっても大人しくて良い子なんです。」

僕は鞍を掴んでサッと飛び降りると、擦り寄ってきた風雅の顔を撫でた。芦毛のグレーがとても美しい。

「フーガ、お前はとても美しいね。僕はお前が気に入ったんだ。僕と一緒にやってくれるかい?」


風雅は僕の顔をまじまじと見つめて、ぶるりといな鳴いた。僕はクスクス笑うと風雅の首に頬を寄せて抱きついた。暖かくて優しい匂いがする。こちらをボーッと見ていたカークさんに気づくと、僕は急に恥ずかしくなってしまった。

「すみません、フーガが可愛すぎて夢中になっちゃって。実は明日、馬上からの弓引きの訓練があるので、今日は騎馬訓練なんです。」

カークさんは咳払いをすると、ちょっと風雅から後ずさって言った。


「そうだと思ったんだ。俺も明日その訓練に参加する予定だったから、馬に乗りに来たって訳さ。」

「カーク、お前は午前中も騎馬だったろ?馬に負担だから午後は無しだ。巡回に行け。」

「ジャック兵士長、そりゃ無いですよ~。」

哀れな声で嘆くカークさんを置き去りに僕たちは馬場に戻った。

「シン君、弓掛けの時は下半身だけで、上半身を支えなければならない。やった事はあるのか?」

「はい。ですが弓も違いますし、状況が違うので上手くできるかはやってみないと…。」

「では、今から手綱を片手で、次に両手を離してという感じで、馬脚もゆっくりから始めてみよう。」


僕は風雅に落とさないように頼むと馬場を駆けた。

風雅に乗るのは素晴らしい経験だった。僕の呼吸とぴったり重なるように躍動する馬体は落ちる不安も感じさせなかった。

どちらかと言うと、僕の腿の筋肉が先に音を上げてしまった。

僕は汗で湿った風雅の身体を撫でて労うと、風雅はちょっと得意気にいな鳴いて、僕たちはすっかり相棒になったんだ。





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