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スキル入れ替えからの。攻城戦【ツヴァイ編】
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しおりを挟む「「躍歩頂肘!」」
2人の声が重なりスキルワードを叫ぶ。
後ろに下がった2歩分の距離を詰めようとした結果が、2人とも同じスキルを使用したのだ。
その結果、お互いのスキルが相殺。 なんとも微妙な空気が流れる。
が。
「躍歩頂肘!」
その空気感に惑わされずに、シャナがスキルを発動。
シャナが肘をを伸ばして手首を捻り、人参の先端をサウザーの頭部にヒットさせる。
「ツッ!」
サウザーが短い声を上げて、サウザーのHPゲージが減り、サウザーが少しだけ体制を崩す。
「アタッ!」
シャナがクルリと人参を半回転させて、体制を崩したサウザーに人参を突き出すように追い討ちを掛ける。
「クッ!」
シャナの攻撃を食らって、サウザーのHPゲージが更に減る。
「ホアタァ!」
シャナが蹴りをサウザーに放つが、これは流石にサウザーは受け止める。
シャナの攻撃を受け止め、体制を整える為に2歩分後ろに下がるサウザー。
「トンファーかよ。」
サウザーが、シャナの手に持つ人参(武器)を見ながら言う。
★トンファー:武器★
*およそ45センチメートルの長さの棒の片方の端近くに、握りになるよう垂直に短い棒が付けられている。
基本的に2つ1組で、左右の手にそれぞれ持って扱う。
握り部分を持った状態では、自分の腕から肘を覆うようにして構え、空手の要領で相手の攻撃を受けたり、そのまま突き出したりして攻撃することが可能。
逆に長い部位を相手の方に向けて棍棒のように扱う事が出来る。
それらは手首を返すことで半回転させて瞬時に切り替えられ、さらには回転させて勢いを付けつつ相手を殴りつけることも出来る。
それだけでなく、長い棒の部分を持ち、握り部分を相手にむけて鎌術の要領で扱うことも可能。
主に刀を持つ敵と戦うために作られた、攻防一体の武器である。
元々、USOでも。
剣と剣の戦いでも、足技や拳による打撃技は或るにはあった。
ただ、格闘職の無いバージョンでは、相手に与えるダメージは少なく。
与えるダメージは1~3程度だった為に重要視はされていなかった。
主に、蹴りや拳による打撃技は、相手への牽制やフェイント程度だった。
*注意*
*USOに置いては、絞め技や、関節技でのダメージは無い。
*また、絞め技などでの【気絶】や【失神】などの状態も無い。
「よく、そんな扱いの難しい武器使えるなぁ・・・。」
サウザーが心底感心したように、シャナの手に持つ人参を見て言う。
「子供の頃から、コレを使って遊んでいたからね。」
そう言って、手に持つ人参をクルクル回すシャナ。
USOでは、大抵の動く事と言う行為には、アシストシステムが働いて、大抵のプレイヤーの動きをサポートしてくれる。
だが、根本的な動きは、プレイヤー自身の動きが要となり、プレイヤーが現実世界で何処まで動けるかが、通常時のUSO内での動きに大きく関わってくる。
シャナが。ここまでトンファーと言う武器をソツなく扱えるのは。
シャナが幼少の頃より、玩具とは言えトンファーと言う物を扱ってきたからだ。
「もしかして、【ジャッキー・リー】のファン?」
サウザーが、シャナに向かって言う。
「あっ! 分かる!?」
少し嬉しそうに答えるシャナ。
「そりゃ、その構えを見ればね・・・。」
シャナの、左手のトンファーを背中に隠すような姿勢を見てサウザーが言う。
「あはは・・・。そういうアンタは、【ブルース・チェン】のファンでしょ。」
ファイティングポーズを取りながら、軽くステップを踏むサウザーを見てシャナが言う。
「いいねぇ。 今度、映画の話で盛り上がりたいねぇ。」
サウザーが笑顔でシャナに言う。
「喜んで。 でも、今は手抜きは無しだよ。」
そう言って、シャナが右手のトンファーの回転を止める。
「抜く訳ないっしょ。」
サウザーが、右手の親指で鼻を軽く擦り構える。
「「ファイト!!」」
2人の声が重なり、戦いが再開される。
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